第31回介護福祉士試験から学ぶ
介護の基本
特に迷いそうな問題が無かったので、省略します。
コミュニケーション技術
問27 逆転移が起こっているのは?
「逆転移」とは、介助する人が無意識のうちに患者となる相手に感情を移入させる状態を指します。
この言葉の意味を知っていれば正解できたでしょう。
問31 感情を伝えない利用者への対応
ボディータッチ(非言語)によるコミュニケーションが用いる。
問33 叙述体での記述
叙述(じょじゅつ)体とは、時系列で記録する方法です。
また、逐語体というのは、発言通りに記録する方法。
生活支援技術
問37 脊髄小脳変性症の特徴
脊髄小脳変性症の人は、体幹のバランスが取りづらく、ふらつきが起こります。
歩行時、手すりなどがあると転倒予防に有効です。
問41 適切なものを選ぶ
一読した時点で、設問内容が理解できませんでした。
正解は4番ですが、確かに4番の内容はボディーメカニクスの解説にも合致します。
問49 皮膚の乾燥が強くなった高齢者入浴介護で気をつけること
擦り過ぎないようにすることで、肌荒れの防止に繋がります。
一見、乾燥してからの保湿剤も良いように思いますが、「十分に」がポイントで、肌の乾燥に影響するので不適切。
問50 差し込み便器の使い方
プラスチック製の差し込み便器は、表面がとても冷たいので、夏場はともかく、冬場などは肌に触れると寒さを感じます。
その意味で、使用前に温めて使うことがおすすめです。
問52 下痢をしている時の注意点
この問題は、出題当初から正解が割れたらしく、下痢に伴う脱水症状を観察ポイントと考える人もいました。
しかし、正式な発表では意識の状態である「1番」が正解とされました。
緊急性の高い観察ポイントとしては、下痢に関わらず意識があるのかが問われるので、その点が問われたと言えます。
問53 調理環境に関する問い
流水で洗うのも大切ですが、それで完結しているのではないことに注意したいところです。
問55 洗濯記号の意味
洗濯記号には、洗い方、漂白、干し方、アイロンの区別が中心。
洗い方について、まず桶のような記号の中心に書かれた「数字」は、その衣類が耐えられる上限の温度。
60とあれば、60度以下という意味。
さらに、桶の下に横線が入っていたら、1本なら「弱く」、2本なら「非常に弱く」となる。
桶に手を差し込む図では、「40度以下で手洗い」を示す。
次に「漂白」について、漂白の記号は正三角形で示され、三角の中に何も線が入っていない時は「漂白可」を意味する。
もしも三角の中に2本線が入っていたら、塩素系ではできないが、酸素系では可能になる。
大きくバツとなっていたら、漂白不可です。
干し方について、実は干し方には2種類の記号があります。
その一つが、タンブル乾燥で、タンブル乾燥とはドラム式洗濯機やコインランドリーなどで使用する「回転ドラム」による乾燥方法です。
その際の記号は正方形の枠に丸い円が描かれています。
そして、その中心部に2つの横並びの「点」がある時は、タンブル乾燥(80度以下)が可能であることを示しています。
この「点」が1つの場合、その上限が「60度以下」になります。
干し方に関する記号ですが、これも正方形の枠が基本で、中央部に縦線、又は横線が描かれています。
縦線の場合、「吊り干し可」を意味し、横線の場合には「平干し可」となります。
さらに、四角枠の左肩部分に斜め線が加わることがあり、それは「陰干し」を表します。
最後にアイロンに関する記号。
横向きに描いたアイロンがあって、図の中央部に横並びの「点」が3つ並んでいたら、200度以下でアイロン可を意味します。
この点が2つになると、150度以下。1つの場合は110度以下です。
問59 終末期で終日臥床している人の便秘予防策とは?
終末期を迎えて終日臥床する人というと、座位はもちろん、体位変換さえ困難になっているイメージが浮かびます。
そんな人への便秘策を問われた場合、まず「起こせない」と考えてしまうのですが、この問での正解は座位による老廃物の移動を促すものでした。
説明を聞けば、確かにと思う部分もありますが、終末期と終日の臥床って、どんな状態になった利用者なのでしょうか。
ターミナルケアも多いので、逆に現場イメージが邪魔をした印象です。
介護過程
問67 外出するという短期目標で
1週間という短い期間で目指す目標として「外出する」を掲げたのですから、まだ杖歩行まで回復することは難しく、そうであるなら「車椅子に座って20分」居られることから始めるのがいいでしょう。
発達と老化の理解
問69 乳幼児の標準的な発達度合い
つかまり立ちを始めるのが、一般的には10ヶ月。歩き始めるのは、18ヶ月。
2つの単語を組み合わせて話せるのが2歳。
子育て未経験者や随分と昔である場合には、イメージが浮かばないこともあるでしょう。
問70 エイジズムに該当するのは?
エイジズムとは、高齢者を役立たない存在と考えることを指します。
「頑固な性格」と評した考え方は、その理由や原因に目を向けず、「高齢者は〇〇だ!」という結論になることから、エイジングと言えます。
問72 尿失禁の種類
腹圧性尿失禁とは、お腹に力が掛かった時に漏れてしまうこと
切迫性尿失禁とは、感覚としていきなり催して漏れてしまうこと
溢流性尿失禁とは、膀胱に溜まった尿がチョロチョロと漏れ出すこと
機能性尿失禁とは、機能的にはできるのに、認知症などで結果的に漏れてしまうこと
本当に何度も何度も出題されているので、上の四つくらいは覚えておいて損はありません。
問73 反動形成とは?
反動形成とは、本来の感情とは逆の感情に出てしまう心理状態。
問74 高血圧症の治療目的とは?
改めて高血圧ではいけない理由を調べてみました。
要するに血管へ継続的にストレスが掛かってしまうからみたいです。
年齢を重ねれば、若い頃よりも老化が進み、血管の柔軟性にも影響を与えるはずです。
硬くなった内壁に強い圧力が掛かれば、それを収縮によって回避できないと、高い血圧を脆い血管で抑え込むことになり、場合によっては「破裂」してしまうかもしれません。
また、内圧に耐えようと血管の壁が分厚いなり、動脈硬化を招いたり、脳梗塞のように「詰まる」こともあります。
ポイントとして、脈圧(収縮期血圧と拡張期血圧の差)が60mmHgを超えるような場合には、動脈硬化の進行を疑うことも必要です。
いわゆる、血圧を測定し、上と下というような言い方をしますが、この上が収縮期血圧、下が拡張期血圧です。
さらに、収縮期血圧は心臓が収縮状態にあり、左心室から送り出された血液が大動脈(体の隅々に流れる)へと送り出されたことを意味します。
ちなみに、右心室から送り出された血液は肺動脈へと流れ、肺で酸素と二酸化炭素を交換します。
あまり心臓の動きを意識したことがないと思うのですが、基本的に左心室と右心室は同時に収縮し、また拡張します。
認知症の理解
問78 図を見て認知症に該当する記号を選ぶ
認知症の特徴は、進行すると生活面でのサポートも大変になること。
家族による支援では、24時間付きっきりになることもあるでしょう。
その特徴を踏まえると、要支援では割と問題視されず、要介護になって問題が悪化するものを選べば良いと思い「C」である3番を選択しました。
でもこの手の問題はあまり時間を掛けても正解できないことも想定されるので、「勘」で選ぶしかないでしょう。
問79 居宅サービスと施設サービス
いわゆる居宅サービスとは、生活基盤が自宅にあるサービスです。グループホームは、施設サービスになります。
問82 軽度認知障害に該当するのは?
認知症の検査で使うのは長谷川式が有名ですが、この検査の場合、満点が30点で、20点以下だと認知症の違いになります。
また、CDRでは健康が0、軽度が1、中度が2、重度が3となります。
問84 代表的な認知症の種類と特徴とは?
アルツハイマー型認知症の特徴はそれこそ認知機能の低下です。「物取られ」なども認知機能の低下がもたらします。
血管性認知症の特徴は、アルツハイマー型同様に認知機能の低下があります。しかし、血管性認知症の場合には、全体的にではなく、部分的に現れることも多いようです。また、感情面で抑うつ状態や感情の喪失なども認められます。
レビー小体型認知症の特徴は幻視ですが、それ以外にレム睡眠行動異常があって、比較的眠りが浅い状態のレム睡眠中に大声や暴れるなどの行動が見られます。
前頭側頭型認知症の特徴は、人格が変わったり、異常行動が見られたりします。介護でも応対が大変で、暴力を振るわれることも少なくありません。
クロイツフェルト・ヤコブ病とは、プリオン病の一種で、感染性を持つプリオンが脳細胞に付着することで脳細胞が破壊されます。
障害の理解
問87 ノーマライゼーションの理念を8つの原則にまとめた人物とは?
そもそも、ノーマライゼーションとは、障がい者や高齢者など、社会的に弱い立場に追いやられる存在を、他の人と同列に扱う社会環境を指します。
ノーマライゼーションの歴史は、1959年にデンマークで知的障害者福祉法が制定されてたことで、欧米社会に浸透しました。
そして、ノーマライゼーションを社会に向けて提唱した人物が、ミケルセンであり8つの原理まとめた人物はベンクト・ニィリエです。
問88 世界保健機構(WHO)によるリハビリの定義で、「利き手の交換」にどれが該当するのか?
パッと見ても、どれが該当するのか分かりません。
しかし、世界保健機構がリハビリに関する定義をしたのだとしたら、「どんな内容なのか?」と想像し、経済や教育に関するものよりも医学的や社会的ではないかと思うでしょう。
さらに、「利き手の交換とは何か?」を考えると、ICFのような考え方から、残存能力の活用が関係していると想像できます。
つまり、社会的な意味で「交換」をイメージするよりも、医学的な方がピンと来ます。
ただ、そこまで想像すれば正解できるかもしれませんが、結果的に分かるというレベルなので、この問題も正解できないことに時間を割く必要はないでしょう。
問89 対麻痺が生じる疾患について
対麻痺は、主に両足に麻痺がある状態です。
両手足に麻痺がある状態を四肢麻痺と呼び、その原因は頸部のダメージが考えられます。
試験でも頸部損傷による麻痺の程度や状態を問う問題が出題されますが、頸部を構成している骨を「C」の頭文字で表し、目安としてこみち自身は「C1〜4」は自力での生活が困難なレベル、「C5」なら力は弱くても肩や腕を動かせるレベル、「C6」では環境を整えれば身の回りのことをできるレベルと理解しています。
片麻痺とは、主に左半身のように、身体の左右どちらか側に現れる場合ですが、その原因は脳梗塞や出血などによるものです。
また、左右を問わず下半身に症状が現れる場合、第1胸椎から第3腰椎間の損傷を疑いましょう。
では問題で問われた腰椎損傷(この問題の正解となる)以外の疾患について掘り下げておきます。
筋萎縮性側索硬化症とは脊髄中の運動神経繊維が変形することから招く筋肉の萎縮が特徴です。
悪性リウマチとは、関節リウマチが手指関節の腫れや強張りが主な症状とするなら、加えて発熱などの症状も起こります。治療法の進歩により、悪性リウマチは減少しているとも言われます。
パーキンソン病とは、脳の神経が変化して筋力の震えや運動障害を招きます。
初期段階では片手など、必ずしも両方から発生するとは限りません。
脊髄小脳変性症とは、小脳などに起こる変化によって、運動機能や感覚機能が低下します。
問90 統合失調症の特徴的な症状を選ぶ
統合失調症になると、表情が乏しく気力が失われたり、また、幻覚や妄想が見られたりします。
選択肢の1番が妄想とあるので、それが正解となります。
問91 知的障害の特徴とは?
知的障害になる場合、必ずしも遺伝性とは限りません。むしろ、突然変異による発症の方が多いようです。
さらに、てんかんや脳性麻痺、発達障害などと合併することが多いと言われます。
問92 発達障害者が一般就労に向けたサービスとは何か?
行動支援とは、知的障害者の特徴を理解したヘルパーが、危険を回避、また外出時の介護等を行うもの。
同行支援とは視覚障がい者に同行し情報提供などを行うサービス。
就労支援B型の場合、就労でも一般就労ではありません。
就労定着支援の場合、就労が定着するように支援するもの。
つまり、職場適応援助者による支援が正解となります。
問93 網膜色素変性症の初期症状とは?
眼球の奥にある網膜の色素が変性するので、水晶体を通過した映像情報が不鮮明になると想像できます。
やもう
硝子体出血が生じる原因は、糖尿病を原因とする網膜症。眼圧の上昇は緑内障。水晶体の白濁は白内障。
問95 障害受容のステージ理論 最初の段階は?
突然の出来事に「ショック」し、今までの状況に固執して現実を「否定」したくなります。
しかし、起こったことが無くなる訳ではありませんから、依然として「混乱」が続きます。
やがて、問題を理解して「解決への努力」が始まる頃には「受容」できるようになるというのが一連の心理状態です。