第34回介護福祉士試験に向けて 第31回の反省と確認 「前半編」

 第31回の介護福祉士試験を振り返る

最初に、ある介護福祉士試験の対策講座で、解説していた講師の方が、「合格するための勉強を優先しましょう」と言っていました。

つまり、こみちのように「目標点は〇〇点超えだ!」というような学習はご法度で、何より介護福祉士試験の目的は「合格すること」に尽きるというもの。

なので、学習では絶対に得点するべき問題をいかに確実に得点し、そのミスを少し苦手としている問題からカバーすればいいと考えるべきなのです。

間違えても満点を狙うような学習は、目的を達成するという意味では必要ありません。

介護の仕事をしながら、眠い目を擦り勉強している多くの介護スタッフの方々は、基本を先ず間違えないことを肝に銘じましょう。

意外にも合格点は72点以上だった!?

第31回の試験問題は、平年よりも難しかったということでしょう。

一応の目安が75点とされるので、3点分修正されたということになります。

「人間の尊厳と自立」

問1 ホームヘルパーは何を言うべきか?

在宅を希望し、できるだけ自分でしたいと思っている人からの不安の訴えに対応するものなので、3番が正解。

得点するべき問題

問2 フランクルが提唱した「価値」の説明として適したものは?

正直なところ、このフランクルさんを知りませんでした。ただ、「価値」の説明として「死と愛」というタイトルから想像した時に、愛の普遍性がある一方で、生物故の寿命との関係に触れていると考えました。

その時に選択肢2がドンピシャだったので選択。正解も2番でした。

場合によっては間違えてもしかない問題でしょう。

人間関係とコミュニケーション

問3 介護施設に戸惑う利用者への対応

正解は1番。

一方的なコミュニケーションにならないように利用者との双方向のやり取りが意図されている。

しかし、こみちはこの手の問題が不得手で、「生活史への尊重」を選んでしまいました。

理由は、一人暮らしが長く、今まで人との会話を頻繁にしていなかったという「生活習慣」を踏まえて、少し距離を保ちながら接しようとしたと思ったからです。

ただ、問題文にも記述がありますが、すでに会話中の状況での「相槌」が意味する意図なので、それは相手からの発言を待つ相互のコミュニケーションとなるでしょう。

これも正解しておきたい問題でしょう。

問4 聴覚障害のある利用者との筆談によるコミュニケーション

その利点として、キーワード化して、意思疎通をスムーズにするという目的を理解しているかが問われました。

ただ、この部分もこみちの実体験としては、ある程度の内容は筆談よりも仕草で伝わるので、筆談はもう少し込み入った内容の時に使います。

感覚の違いによっては、キーワード化するという発想に繋がらないこともあるでしょう。

ちなみに正解は5番。

少し難しく感じました。

「社会の理解」

問5 「家族」の機能とは何か?

「家族」には、以下の四つの機能があります。

それが、生命維持、生活維持、パーソナリティの維持、ケアの維持と言われます。

生命と生活の違いは、個々の家族の命に関わることなのか、生活、つまり社会とのつながりが含む暮らしの維持なのかではないでしょうか。

そのように考えると、衣食住の中で生命に密着している食に対し、衣と住は生活に分類されるでしょう。

家族という枠組みの中でパーソナリティの維持とは、具体的に何を指すのでしょうか。

こみちとしては、子育てのような成長を伴う心と身体の成熟化によってパーソナリティが形成されると想像しました。

しかし、選択肢にあるのは社会化によってパーソナリティが安定化するということと問われていますが、それは違います。

そして、5番の選択肢には、介護を必要とする人を家族が支えるという行為がケア機能とされ、内容も正しいので正解となります。

問6 「地域共生社会」が目指しているのは?

厚生省が掲げるコンセプトですが、具体的に知らなくても地域共生社会という漢字から想像できるかもしれません。

問7 特定非営利活動法人(NPO法人)に関する正しい記述とは?

介護などの分野でも、NPO法人という団体の活躍をニュースなどで耳にすることがあります。

ここで、少し深掘りしておくなら、NPOとは「non-profit organization」の頭文字を取っていて、特に「profit(利益)」を目的としていない(配分することは可能)団体であることが特徴です。

つまり、みんなのために働く組織で、それが一般的な会社のように利益のためではないということがポイントです。

さらにNPO法人となると、法人格を持っている(権利の主体者に組織としてなれる)のが特徴で、特定非営利活動促進法に基づいた法人となります。

さらにさらに認定特定非営利活動法人制度によって、NPO法人の中でも特に認定を受けた団体に対して寄付することで税制面での優遇措置を受けられることで、その法人がより活躍資金を調達しやすいように整備されたりもします。

以上の知識があれば、今回の問題に迷わず正解できたはずで、正解は4番です。

こみちはたまたま正解しましたが、NPO、NPO法人、認定NPO法人の明確な違いまで理解していなかったので、今回の深掘りでまた知識が増えました。

問8 「育児・介護休業法」で適切なものは?

育児・介護休業法でポイントになるのは、正社員だけでなくパートタイムでも一定の条件を満たしていれば休業給付金が受け取れます。

「給付金」なので、その出どころは税金です。

それ故に、給付金をもらいながら就労する場合、それ以前の8割以下の金額でなければいけません。

また、給付金の申請は子どもが一歳未満と時に限られていて、雇用保険に加入していることも必須です。

つまり、個人事業主のような方は申請できないことになります。

その金額は就労していた頃の約67%とされていて、出産後8週後から原則として子どもが一歳になるまで「育児休暇給付金」を受け取ることが可能です。

では出産時にはどうなるのでしょうか。

この場合、産休という扱いになり、育児休が雇用保険であるのに対し、産休は健康保険によって出産前6週間と出産後の8週間を期間として、約67%に相当する金額を受け取れます。

では問題で問われた内容を確認してみましょう。

契約社員であっても条件を満たしていれば給付金を受け取れます。

介護休業について、連続する必要はないので設問に合致しません。

雇用主の給与給付が義務付けられてはいません。

最後の選択肢、介護休業の対象者が適合しているので、5番が正解となります。

問11 2018年に実施された介護保険制度とは?

介護保険制度の歴史が出題されているので、ここで少し知識を深掘りしておきましょう。

2000年に施行された介護保険制度ですが、1960年代から老人福祉の対策が始まっていました。

それまでの老人福祉には、利用者側でサービスを選択できないことや収入面での調査などもあって、利用に抵抗感もありました。

また、一般の病棟が介護目的に使用されるなど、コストや目的の面で改善が急務だったことも否めません。

そんな社会的な背景もあって始まった介護保険制度ですが、実情に合わせた見直しも必要となり、2005年に介護給付だけでなく予防給付も創設され、介護を必要としない暮らしに力を入れます。

また、介護施設で行う食事や居住費を給付対象から除外しました。

2008年、介護サービスを提供する事業者に対する不正を防止するなど、適切な運営管理を強化しました。

2011年、地域包括ケアシステムが導入され、医療と介護の連携、24時間対応の定期巡回サービス、介護士による喀たん吸引など、施設ありきの介護ではなく、地域という考え方で介護を見直します。

2017年、高齢者の自立支援、重度化の防止、地域共生社会の実現など、持続可能な介護サービスの在り方が盛り込まれました。

問題にも問われた介護医療院は、2018年に創設されました。

介護医療院は、長期的な医療ケアと介護ケアを併せて提供できる施設です。さらに医療ケアに比重を置く介護療養型医療施設や、在宅復帰を目指しているリハビリ等の提供も行う介護老人保健施設とも異なります。

介護療養型医療施設の廃止が決定しているので、在宅復帰が見込める介護老人保健施設では難しい利用者も安心して入所できる施設と言えます。

問12 2018年に改正された介護保険制度を選択する

施設での食費や居住費が介護保険の対象外となっていますが、それは2018年ではなく、2005年の時。

3割負担は2018年から始まっているので、正解は5番です。

問13 2016年の「障害者総合支援法」の改正内容を答える問題

折角なので、障害者総合支援法の経緯を確認しておきましょう。

まず、戦前や戦中の障害者は、現在でも続く家族によるサポートが基本とされ、救護法などによって救済を受けるに過ぎませんでした。

それが戦後の敗戦を機に、生活保護法(1946年)、児童福祉法(1947年)、身体障害者法(1949年)福祉三法が施行されます。

さらに民間の福祉事業者向けに社会福祉事業法(1951年)も創設されました。

学校教育法(1947年)により、これまで教育に対象に入らなかった障害児も教育を受けることができるようになりました。

1993年に障害者基本法が作られるのですが、この法律は心身障害者対策基本法の改正で誕生し、国や地方公共団体の責務を示したものです。

2003年になり、高齢者介護同様に利用者がサービスを選ぶシステムに変更されます。

2006年に障害者自立支援法となり、身体、知的、精神を一元化すると共に、市町村による施行へと変更されました。

そして、2012年に障害者総合支援法となります。

対象となるのは、18歳以上の障害を持つ方です。

18歳未満に関しては、児童福祉法があります。

障害者総合支援法が、障害者にとっての根幹となる法律であることは理解できました。

そして、その内容にも触れておくと、「相談支援」というものに行き付きます。

この相談支援には、市町村が行う「特定相談支援事業」の他、都道府県の知事から指定を受ける「一般相談支援事業」があります。

具体的な相談内容として、市町村では計画相談支援があり、例えばサービスを受ける計画作成もここで行います。また、基本相談支援というものもあって、幅広い相談窓口となります。

都道府県知事からの指定で行う一般相談支援事業では、既に施設の利用者が在宅に戻る相談「地域移行相談」や一人暮らしをする障害者との連絡などのサポート相談を行う「地域定着事業」があります。

ポイントとして、一人暮らしを始めたサポートであるために、グループホームなどの施設に移行しても対象とはなりません。

問13でポイントは障害者総合支援法が18歳以上を対象としていることから、2又は3以外は内容的に除外できます。

また、2の内容は地域定着事業の内容であるので正解となります。

問16 社会福祉法人に関する問題

社会福祉法人は、社会福祉法の定めに従う必要があります。設立までに2年以上掛かることも多く、その事業は福祉系に限られます。

一方で、NPO法人を設立した場合、その事業内容は予め定められた20種類の項目のいずれかに該当しなければいけません。

また社会福祉法人に比べて設立条件が簡単なこともメリットです。

以上が社会の理解までの内容となり、長くなったので一度ページを区切りたいと思います。