コロナ3度目の注射をきっかけにして

 当施設でも始まった3度目の接種だけれど

最近、勤務している介護施設の運営が右肩下がりになっています。

介護職の基本スキル、排せつや食事、入浴の介助に携われないスタッフが増加しているからです。

また、一定のスキルを持ったスタッフが離職してしまう傾向もあり、施設に残るスタッフの質が問題となっています。

コロナ3度目の接種が始まり、スタッフの中には副作用から発熱の症状があったりして、勤務が取りやめになるケースも出ていて、そのカバーが他のスタッフで補えない、もしくは一部のスタッフだけに負担が増加するという傾向が一層強くなりました。

数日前、やはりスタッフが急きょ休んだことで、現場の仕事量が一変しました。

今回も同様のことが起こっていて、コロナの接種が実施されれば、当日や翌日の発熱反応は十分に予見できる話です。

しかし、スケジュールに全く余裕がないので、特に全てできるスタッフが休んだ時に出勤が重なると本当に地獄を見るように忙しくなります。

何より利用者へのフォローが十分にできなくなり、予定されている作業を熟すだけの介護サービスになってしまう現状が背景や原因が明確なだけに一スタップとして苦しくなるのです。

なぜ、人材育成に力を注がないのか?

これまで介護業界に携わって感じるのは、「介護」には底がありません。

「してもらえるならいくらでもして欲しい」というのが人間の心理で、それは介護だけの話ではなく、社会で生きる時にも言えるでしょう。

例えば仕事を探す時、誰だって楽で高い報酬が得られる仕事を望むでしょう。

しかし当然ですが、そこには取得しているスキルや経験、人脈などが関係し、誰でもそのような高待遇にはなりません。

だからこそ、いかにして少しずつでも自身の理想に沿えるように対策を講じるのです。

それは介護業界にも言えて、例えば利用者となる時、しっかりとした技術やスキル、設備などを持った施設を選ばなければ、望むようなサービスは受けることができません。

また施設もしっかりと人材育成に力を注いでいかないと、利用者の望むようなケアは行えませんし、結果的に空室が増えて経営を圧迫します。

そうなれば、人材育成どころの話ではなく、存続すら危ぶまれるでしょう。

その意味では、こみちが勤務している施設も初代の施設長が退任されて、別の新たな施設長、さらに別の施設長へと変更されて行く中で、スタッフの大量流出があり、スタッフの顔ぶれもここ半年でかなり変わりました。

特に未経験の新人スタッフが増え、その中で意欲的なスタッフだけがスキルを向上させているような状況なのです。

こみちも自分自身のために未経験から介護業界に入り、オムツ交換などの作業も失敗しながら段々と上手くなったと思います。

しかしある時を境に感じるのは、できるようになればなるほど仕事が増えて、環境的に過酷になって行くのです。

しかも、常勤契約からパート契約に切り替えた途端、昇給をはじめ、賞与などの待遇面で想像以上に冷遇を受けた感じです。

こみちと同等かそれ以下の技術力を持ったスタッフの多くについて、彼らへの技術指導は導入されることなく、厳しい職場状況になるとできるスタッフが走り回るという構図は以前から疑問がありました。

育成しない理由は、「しない」のではなく「できない」からでしょう。

冒頭でも触れましたが、「介護」には底がありません。

ある意味で「介護とは何か?」の明確な考え方がないと、必要なサービスさえ考えることができません。

そこが決まってこそ、現場対応も決まり、スタッフ育成も始めることができます。

しかし、「介護とは求められることをする」というような「底」のない方針のままでは、日々の運営で段々と質が低下し、スタッフのモチベーションも低下して、その内できるスタッフが抜けてしまうという状況になります。

そして、勤務している介護施設が正にそうで、密かに信頼している先輩の一人もここ数ヶ月の言動を見ていると離職のタイミングを図っているように思えます。

こみちのように、介護の仕事を経験し、そこから発展させたいと思っているようなタイプは別としても、介護の仕事を頑張れば大変でもしっかりと将来的に約束されているという安心感がないと、スタッフとしても本腰を入れられないばかりか、ある程度スキルアップできたらより好条件の施設へと移ってしまうでしょう。

とても当たり前の話ですが、「基本」を無視しても、さらに向上したい時には結局「基本」に立ち返るしかありません。

一気に突破するのでないなら、それはいつでも「マスト」な話です。

人材育成で手を抜けば、施設運営の手間は大きく減らせます。

しかしそのツケは必ず巡ってきて、スタッフの流出やサービスの低下を招きます。

何より、元の経営状況に戻すだけでも数年掛かるでしょうし、近隣に同じような施設があれば、そのまま倒産や閉鎖に追い込まれるかもしれません。

施設長として招かれたら、何を考え、どう行動するべきかが、やはり「基本」なのでしょう。

そこにやりがいや意欲がないまま、ただ座り続けるだけでは、結局、その下で働くスタッフも育ちませんし、悪い習慣をひきづったまま仕事を続けてしまいます。

末端で働くこみちのようなスタッフにすれば、仕事をしない先輩たちが多くいて、彼らと組まされた時は覚悟するしかないと思いながら働いて楽しいでしょうか。

介護業界全体の傾向とは言いませんが、そんな介護施設もあって、実際にサービス低下が目に見えて始まっていることも流れとしては当然だったりします。