介護現場の人手不足問題

介護の仕事は


寄り添いをはじめとした介護の仕事には欠かせない心得をどう身につけるべきか考えなければいけません。

しかし、今の介護現場は、介護士の質や力量の前に、慢性的な人手不足が叫ばれています。

比較的若い世代の介護士は、介護現場に馴染めずに辞めてしまうことがあります。

また、30代前後になると、介護を手に職と考えて異業種から乗り込んで来た人も増え始めます。

さらに、我々のように40代や50代となり、異業種での採用が困難になって、介護を選んだ人も出てくるでしょう。

いずれにしても、さまざまな思いを持って「介護」に飛び込んで来た人々なので、介護施設は働くメリットや、将来性など、長く働ける職場環境を維持しなければいけません。

一方で、若い世代では、介護以外でもすぐに採用されることもあり、介護系の資格を持っていても異業種で頑張っている人も少なくなりません。

30代で耳にするのは、仕事内容や研修内容など、介護を生涯の仕事と考えるだけに施設のサポート体制には敏感です。

それが理由で、入職して3ヶ月にも満たない新人が、突然退職してしまった話を聞きます。

中高年世代は、比較的施設に残る傾向が高いようです。

しかしながら、若い世代や30代と比較して、体力や集中力、記憶力が低下する年代でもあるので、介護現場で求めれるさまざま勤務に応じられないことも少なくありません。

実際に、16時間の長い夜勤を終えて、その日の夕方には社内ミーティングに参加し、その翌日は早番と遅番までをカバーする(勤務時間は12時間オーバー)という激務を担当することもないとは言えません。

なぜなら、介護現場のスタッフは本当にギリギリで運営されています。

人が少ないので、介護技術を手取り足取り教える時間が取れないだけでなく、年代や新人の意気込みが期待と異なり、思うように育たないケースもあります。

つまり、介護士それぞれのスキルに差が広がっていて、同じ人数を配置しても、思うように現場が回らなかったりするのです。

さらに、30代前後は子育てで、我々中高年世代は自身の病気や親の介護などが重なり、現場を離れる事態も出てきます。

大人数の利用者を担当する職場なら在籍している介護士もそれなりの人数ですが、少人数を担当するユニットの場合、介護士も限られているので、急なリタイヤが出てしまうと、他の介護士に負担がのし掛かります。

さらに疲労から体調を崩す介護士が出ると、さらに人手不足が浮き彫りになります。

介護施設の判断


連鎖的に現場スタッフの疲労が増える前に、介護施設は「一手」を打たなければいけません。

部署間の一時的な異動も方法ですし、派遣スタッフを採用するのも方法です。

しかし、利用者によっては介護士の顔ぶれが変わることを望まないこともあります。

認知機能が低下すると、環境の変化に落ち着かない様子を見せたりします。

その意味では、介護の基本スキルが身についていても、介護現場に加わってもらえない事態もあるのです。

少し規模の大きな介護施設では、特定の配属先に固定されない介護士を準備してもいいでしょう。

さまざまな業務を担ってもらう分、報酬面で差を設ければ、業務上の負担にも満足してもらえるかも知れません。

しかし、経験的な話で言えば、介護業界で報酬を期待するくらいなら、異業種でしっかり稼ぐ方が良い時もあります。

それは、介護で求めれる範囲が広く、体力的にも精神的にも限界まで消費するので、どうしても介護士は周期的に疲弊感に襲われるからです。

活躍できる魅力が多い一方で、「介護の仕事は安い」と感じてしまうのも珍しいことではありません。

現代社会で儲かるのは?


圧倒的に稼げるのは、「箱」を作った人です。

ここでいう「箱」とは、施設やシステム、サービスを販売に乗せた仕掛け人を指します。

一方で、人手不足もあるので、働いてくれる人にどれだけ魅力を訴えられるかがポイントになってきます。

介護施設で言えば、スタッフ不足が叫ばれていても、新しい介護施設を建設するというのは珍しくことではなく、地域が重なっていなければなおさら同時に進行します。

中には、設備の老朽化が進んでいて、新たな出店よりも、環境整備に力を入れて欲しいということも出てきますが、「儲け」という意味ではギリギリ運営している状態が利益につながるとも言えるでしょう。

今後も規模に差があっても、「箱」作りを目指すことが理想だと思っています。

そのためには、専門となるフィールドを作ることも大切で、プロ並みの得意分野をたくさん見つけましょう。

資格取得後にその専門性を活かすのも1つですが、取得方法をレクチャーするビジネスだって「箱」作りに転用できます。

人手が掛からないという意味で、動画コンテンツ業はさらに普及するでしょう。

その一方で、業務上も人手が必要となる介護のような職種は、慢性的に人が集まりません。

しかも、高度なスキルを求めるよりも、多くの利用者をカバーできるような体制が求められているので、社内教育に力を入れるばかりでなく、入職しやすい特典に力を注ぐ傾向にあります。

特に高齢者介護にいたっては、必要とされる支援を継続して提供できることが大切になります。

介護士に求められるのも、基本的なテクニックで、より高い志に見合った対価はまだ期待できないでしょう。

若い世代が異業種に流れたり、30代がさらに手厚い研修を求めたり、我々中高年世代を採用してくれるのも、介護業界が異業種とは少し異なる特徴を持っているからです。

特に中高年世代は採用されるメリットを活かしつつ、「箱」作りにつながる努力も始めましょう。

現場仕事から管理職になると働きやすさも変わってくるでしょうし、介護経験を別の場所で活かすことだってできるはずです。

経験をどう使うのか考えると、人間の本質に関わる「介護」は学んでおいて無駄にはなりません。