妻が泣きました…
理由は、昨日の病院のことが理由です。
昨日の病院のことというのは、以前、脳内出血を患った父親が数日前から後頭部の痛みを訴えていて、一般的な頭痛のつもりで鎮痛剤を飲んで一度は治ったのですが、また翌日も痛みがぶり返し、くも膜下出血などの大きな病いの可能性もあるので、病院へ行こうという流れになりました。
その日、母親は仕事があって、それが何時間掛かるのか、予定を変更できないのか、でもくも膜下出血の可能性やそれに伴う今後の展開を説明しましたが、一方的に「無理!」というので、母親を担当から外しました。
妻は仕事。
残るはこみちしかいません。
そして、こみちは予定を一つキャンセルして、父親と病院へ行ったのですが…。
キャンセルしたのは、小さな新規の仕事。
縁がなかったと思えば、キャンセルも納得できます。
しかし、妻の考えは少し違っていて、両親に甘いこみちの態度を日ごろから我慢していたようで、「あの仕事、断ったの?」と言ったのです。
確かに、小さな仕事ですが、上手く行けば未来にも繋がるという仕事。
父親の件がなければ、断ることはなかったでしょう。
しかも、妻の指摘はもう一点で、「仕事で無理」という母親の稼ぎにどれだけ大きな意味があるのかということ。
診断の結果、くも膜下出血の兆候は見られなかったのですが、出血していれば即入院ですし、家族としての生活もまた変化します。
今の父親の体調不良は、それだけ家族を変えてしまうほど、大きな要因になっています。
実は、母親、ここ数ヶ月でかなり認知機能が低下しています。
日常生活を継続する行動は今でもできますが、急に起こった出来事に対応できなくて、別の病院で母親が父親を連れて行った時に、その病院の看護士さんに「奥さん、話を理解できていますか?」とかなり強く言われたそうなんです。
確かに、最近の会話はどこか噛み合っていないと感じることも多く、それはよく言う「天然気質」も関係していますが、相互関係を汲み取ることが母親の場合、特に苦手です。
誰かの話をベースに、次の言葉を繋いだ会話がほぼできません。
これは、こみちが介護士として働き、知識を学んで気づいたことですが、「自閉症」ではありませんが、周囲の人や状況を観察することが母親はできないタイプなのです。
なので、自分から話題を見つけて、一方的に話すことはできます。
しかし、カウンセリングのような、相手に気持ちを語ってもらい、そこから次の展開へと結びつけるような会話は出来ません。
そして、仕事や家事でも、どこまでやっておくとキリが良くなるのかという判断も苦手で、あっちもこっちもと同時進行させて、全てが終わるのは一般的な予想よりも数倍を要します。
つまり、「仕事で無理!」という母親の発言は、普通なら終わっている仕事がまだ終わらないのか、新たな出来事を加えてしまうと、本人的に収まらないのかのどちらかです。
妻の不満は、キャンセルして失った損失額を母親は知らないということ。
病院に行って帰って、ことが済んで終わりだと思っていますが、キャンセルによってそれなりの損失が発生しています。
じゃあ、この金額が母親に支払ってもらうのかとなるのですが、逆に状況を薄々理解している父親が5000円を出していたのは、遠回しに申し訳ないと思ったからでしょう。
「お小遣いあげたから出せるんでしょう!?」
お金を出した父親に、母親が言いました。
そこで、父親も感じた気持ちを説明できればいいのですが、父親は父親で気持ちを話すことができません。
不満な様子を見せて、その場は終わりました。
でも、父親や母親に状況を理解できるでしょうか。
妻の不満も十分に理解できます。
でも、両親を切り離す以外には解決策はなくて、今の母親は出掛ける準備をしつつ、まだ出掛けません。
じゃあ、昨日の予定を今日にズラすことができたはずです。
でも、そう言っても、10分でできる人ではありません。
1時間も2時間も時間を空けないと、一つのことができないんです。
しかも、抜けていたりしてやり直したり。
強いこだわりがあって、頑なに方法を変えることができません。
失敗して、状況が悪くなっても、変えられないんです。
「このままじゃ、行き詰まるよ」と言ったこともありますが、その状況に近づいていることも気づいていないようで、行き詰まったことが起きて(例えば父親の病院)、逃げるという方法で母親は回避します。
もっと父親には愛情があるのかと思っていましたが、ある面ではとても冷めていて、ある面では過保護なくらいに愛情を見せます。
でも愛情を見せるのは、余裕があった時だけ。
誰かの助けがなければ、母親は思っている以上に割り切りの早い人です。
だからこそ、妻は不満を口にして泣いたのでしょう。
父親や母親のやり方に合わせていたら、結局は家族全員が行き詰まることになるからです。
この文章を書いている時、母親はもう出掛けたと思っていました。
でもまだ出掛ける準備をしています。
朝から些細な家事をして、化粧や着替え、でもまだ出掛けられないのです。
そりゃ、何やっても終わらないでしょう。
そんな母親のけつ拭きをしているほど、暇で余裕のある人などいないからです。
妻がワンワンではなく、ポロッと泣いたのは、こみち家の行き詰まった深刻な状況を理解しているからこそだと思います。