中高年の気づき 「介護過程」って何だ?

 「介護過程」って知っているでしょうか?

「介護」未経験者の頃、こみちは「「介護」って何だ?」と思っていました。

イメージとしては、「お手伝いさん」でした。

しかし、実際に介護を学ぶと、「介護過程」に於いてその考え方が展開されています。

言い方を変えると、介護過程が苦手と感じる場合、現場作業は慣れていても、「介護とは何か?」を考えることに戸惑いがあるのかもしれません。

少し余談ですが、中高年の仕事探しという観点でも、「現場作業」からスタートして「介護過程=(分析、計画立案、実施)」に進む流れは同じです。

「介護過程」を簡単に紹介すると、日常生活に不便を感じる人を対象に、そのサポートの質や方法を導き出すことです。

具体的には、衣食住が生活の基本だとするなら、その3つに属する行為を安全に的確に行えているか確認するのです。

「衣」では、衣類の着脱、洗濯、収納など、その人がどこまでできるのか確認すれば、介護支援がどれくらいどこで必要になるのか理解できます。

同様に、「食」や「住」に関しても確認します。

ある意味の目安ですが、「介護過程」はその前提となる「介護認定」によって専門家がその対象者に必要とする介護レベルを判断します。

一般的に、「介護が必要になって来ているので注意しましょう」という段階の「要支援1又は2」、「生活の何らの場面で介護サポートが必要」という段階の「要介護1から5」(その中で最も軽度な1、最も重度の5)になります。

いわゆる介護職が仕事で掛かるのは、要介護認定を受けた人ですが、要介護1と認定された人は、日常生活のほとんどの場面で自分でもできるレベルです。

目安を示すなら、一人の介護士でも日中なら20名は担当できるでしょう。

つまり、その段階ならまだまだ自宅で家族と暮らせるでしょう。

施設入所を検討したいのは、「要介護3」から。

さまざまな状況がありますが、「車椅子」を日常的に使用している段階です。

つまり車椅子がないと移動も困難な状況になると、自宅で介護するにも廊下や玄関、浴室など、住宅を介助に合わせて改修しなければ難しくなります。

というのも適切な介護を学ばずに介護していると、家族の方が腰を痛めるなどして、二次的なトラブルに発展します。

その意味では、家族も初任者研修などを受講し、介護支援の方法を学ぶことをおすすめします。

最も重い段階が「要介護5」ですが、これは「寝たきり」をイメージすると分かりやすいでしょう。

しかし、同じ要介護5でも、実際の支援内容は幅広く、病気などで麻痺や脳障害、ペースメーカーなど、介護支援だけでなく医療支援も欠かせないケースが増えます。

特に意識障害があると、声掛けにも反応しないという状況がありますが、このケースも要介護5に含まれます。

その意味では、まず専門家によって要介護認定が行われて、その人が必要としている支援を見極め、実際にケアマネジャーに担当が移された時に、本人、家族などの希望や意向と合わせて「ケアプラン」がつくられます。

と言うのも、同じ支援段階に認定された場合でも、トレーニングなどを積極的に取り入れて生活レベルを取り戻したいと考えるケースと、毎日を楽しく暮らすことにして自然のままに生きたいと考えるケースでは、考えるべきケアプランも異なります。

つまり、現場の介護士が個々のケアプランを理解していないと、「〇〇さん、もっとリハビリしないとダメです!」と無理矢理の介護になってしまうでしょう。

その状況を支持されてできるのが、いわゆる「初任者研修」の目的で、介護過程の立案まで理解しているのが「実務者研修」で、実際に現場経験を経て具体的にケアプランに合った介護支援を考えるのが「サービス責任者」で、多くは介護福祉士の有資格者です。

介護福祉士になってさらに5年以上の経験を積み、ケアマネとなれば「ケアプラン」そのものを立案する立場になります。

よく施設経験者のあるあるとして、オムツ交換のスピードや入浴した人数を誇らしく話すシーンがありますが、その段階はいわゆる「初任者研修」の範囲です。

つまり、個々の作業を的確に安全にできるようになった介護士は、「ケアプラン」に対して理解を示し、「人生の最後をどう迎えたいのか?」に寄り添う介護を心掛けてなければいけません。

ただ現実的には介護士には沢山の仕事があるので、チーム連携など、ケアプランそのものの理解に留まらず、各介護士間でも役割分担も必要になります。