『自己プロデュース』という考え方の話

現代人に欠かせない『自己プロデュース』

感覚的には、10年くらい前まで「自己プロデュース」の意味は「強み」や「スキル」のことでした。

だから資格取得を考えたり、経験や知識を自身の強いと捉えていました。

しかし、youtuber という職業が誕生したように、ブランディングという考え方が個人レベルでも当たり前になって、「自己プロデュース」も自分ができることではなく、社会からどう見られているのかに変わったとも言えるでしょう。

「大食い」という個性

空腹の時にラーメンを一人前食べるというのは、特別なことではありません。

しかし、10人前を食べたとしたらどうでしょうか。

確かに「よく食べるね!」という話題にはなりますが、かつての自己プロデュースの時であれば、「強み」とか「スキル」には含まれなかったでしょう。

しかし時代の変化と共に、「大食い」というワードはブランディングに有効です。

例えば、youtuber として飲食店を訪れて、その店のメニューをあれこれと食せば、それを観た視聴者が店を訪れたくなるかもしれないからです。

つまり、「大食い」はキッカケやツールで、大切なのは「広告」や「ブランディング」にどう活かせるのかという答えです。

自身のブランディングだけではなく、訪れた店舗のブランディングをも兼ねることで、さらに価値が増すのです。

もしもこれが、店を訪れて一人前を食べるだけだったら、従来の広告と変わりません。

店舗までのアクセスや営業時間、メニューなどを前面に紹介すればなおさらです。

でも視聴者はそれでは気軽に観たいとは思わないでしょう。

もちろん、何かでその店のことを知り、気になって調べたという場合なら別かもしれませんが、何か片手間にサクッと観たいようなタイミングならなおさら広告性が強くなるのも嬉しくないはずです。

「この人、めちゃくちゃたくさん食べるね!」

そんな印象から料理を食べる姿を見始めて、「美味しいそうだなぁ」と店舗名まで気になってくれたらブランディングは成功です。

個々にとっての自己プロデュース

例えば何かの分野に関して「詳しい」というポジションは、自己プロデュースとして展開できます。

一方で、「初心者」とか「初めてみる」というポジションは、誰にでもあって、その人にとっての自己プロデュース(ブランディング)にもなり得ます。

つまり、自分が物知りであるとか経験者であることが大切なのではなく、誰かにとって「役立つ」ことができればいいのです。

上手くできることも価値がありますが、実は上手くできないで困っているとか、これから始めるにあたって何から準備すればいいのかというようなポジションはとてもよくあることだからです。

新発売された商品の使い勝手。駅の乗り換え。何かの手続き。

ネット検索すれば、その答えを見つけられるでしょう。

でもポイントはその情報を探しているという段階に来ていない人も多いのです。

ぼんやりと動画を再生し「嗚呼、そうなんだ」というくらいの情報は、意外と記憶に残ったりします。

これから、自己プロデュースやブランディングを考えるなら、資格や経験のようなものばかりではなく、「知りたいんじゃないかなぁ?」という目線で考えてもいいはずです。

視聴者は「上手くできない」ことも知りたいわけで、結果的にどうすればいいのかが分かると、さらに価値が認められるでしょう。