介護職で年収1000万円超えは可能なのか?という話

 介護職は儲からない!?

年収1000万円以上稼ぐには、サラリーマンなら月収70万円超えが目安になると思う。

ざっくりとした計算をすると、日当で3万円以上稼ぐことが課題だろう。

時間給で3000円以上。

そう考えると、介護職の求人募集で時間給3000円以上を提示する企業は簡単には見つからないだろう。

というのも、介護職の場合、介護士は利用者と対面しながらサービスを提供することが多い。

身体介護などでは一対一になる。

つまり、介護士の報酬を利用者一人分から捻出することになるのだから、介護報酬を考えても思うように給料を上げることが難しい。

儲かる職業

例えば会社の社長というポジションは、従業員を何人も雇う。

つまり、従業員それぞれが個別に顧客の対応をすると考えると、結果的に社長は同時に複数の顧客から利益を受けることができる。

単純に言えば、10人を雇う社長が100人を雇えば、受け取れる報酬額も10倍にできるということだ。

介護職では儲からないのか?

介護職と言っても、介護業界の何をサービスとして提供するのかがポイントだろう。

例えば、介護用品を扱う店を経験するなら、それこそ社長というポジションが儲かるという話になって、いかに従業員にサービスを提供してもらえるのかを工夫することが大切になる。

つまりは、介護施設の施設長でもいい。

ただ、施設運営で介護報酬だけが利益になっている場合、基本的に他の施設長と大きな利益の差が生じないだろう。

言うなれば、介護報酬とは別の部分でどれだけ利益を上乗せできるのかが経営手腕となる。

介護職を経験してみると、利用者にどれだけ多くの時間を割けるのかはとても難しいもので、サービスをきめ細やかに行うほど、どうしても人件費がかさむ。

サービスを画一化し、ある意味で介護職の担う業務を制限しなければ、利益はなかなか捻出できない。

例えば、レクリエーションである介護職が1時間を担当した。

その際に参加費を利用者から別途受け取れる仕組みを作り、いわゆる社内起業のような仕組みができたらどうだろうか。

レクリエーションだけではなく、おやつ作りやその他のイベントを介護職が主担当になり、クラブ活動のような仕組みで参加してもらうというものだ。

極端に言えば、日帰り旅行など、週一で参加者をいろんな場所に連れ出すという計画を介護職が主体となって担うのだ。

その時は、その担当者が社長で、仲間の介護職を雇う形になる。

参加者たちの参加費を受け取って、経費を差し引き分配する。

ここまで話していると、薄々気づくかもしれないが、介護職だから儲からないのではなく、決められた仕事がそもそも稼げない仕組みなら稼ぐことは難しい。

逆に儲けられるような仕組みを作れば、そこにアジャストできる人は稼ぐことができる。

そう考えると、介護職に従事し、利用者と対面でサービスを提供している限りは介護報酬から割り出された利益が給料に反映される。

だったら、例えば理美容師の資格を取り、介護施設をいくつかまわりながら、利用者の頭髪を整える仕事の方が稼げるように思う。

さらにいえば、数名の有資格者を従業員として雇い、自分が社長となって彼らに施設をまわってもらえれば、一人では稼ぐことができない以上の収入が期待できる。

どうしても介護職にこだわるなら、料理などで強みを見出し、富裕層向けの介護サービスを提供する方が稼げるだろう。

というのも、介護サービスの料金はとても算出が難しい。

同じことをしても嬉しいと思ってもらえるサービスなのかは、手順やサービスの質だけでは決まらないからだ。

豊かである暮らしが満足度を決めるのではないのと同じで、同じ時をどんな人と過ごしたのかで幸福度が決まると思う。

でもそれを個々の介護職に求めることは難しく、施設運営でサービスを向上させることが難しい一因にもなっている。

系列の同じ介護施設でも、雰囲気が異なって感じるのは、介護サービスの質を簡単には画一化できないからだろう。

都会的なさっぱりとした触れ合いを好む人もいれば、もう少し距離感が近い郊外型の触れ合いが好みということもある。

より利用者のニーズに寄り添うからこそ、介護サービスの提供は簡単には行えない。

つまり、施設側にとって理想的な介護士が増えればいいけれど、介護報酬という範囲で運営する以上は報酬額だけを上げることは難しい。

かと言って、見習いの介護士よりもベテラン介護士の方が仕事に慣れているとしても、そのベテラン介護士が2倍働いて、2倍の報酬を受けられるものではない。

実際に介護士として働いて気づくのは、現場のスタッフだけで話し合って仕事をより頑張る方向に押し進めないことだ。

そうなると、サービス残業が当たり前になり、一回の勤務で30分から1時間が無給の奉仕になってしまう。

そうではなく、施設としてどんなサービスを提供するのかを先に決めて、そこから末端の介護職が担うべきサービスを明確に理解するという流れが必要だと思う。

サービス残業しなければできないサービスは、基本的にカットするべきだと思う。

当たり前のように定刻よりも先に出勤し、定刻よりも遅くまで働く流れは、結果的に成り手を減らしてしまう。

機械で任せられる部分は人の関与をなくし、効率の上がる道具や備品は介護士のためにも積極的に導入して欲しい。

忙しい介護職のスケジュールの中で、さらに環境整備の整っていない職場は最悪で、何かしたい時にも時間ばかり掛かってしまう。

そうなるか否かは、施設長の介護サービスに対する理解と経営手腕だと言える。

制度上、現場で働く介護職で1000万円以上を稼ぐのは難しい。

ただ、介護の仕事でしか味わえない経験や発見も多い。

それは異業種では味わえないことだから、それを金銭としてではなく、自身の人生経験としてどこまで価値あるものと捉えられるのかだろう。

それこそ、全てにおいて高級な施設でも、人の温もりに欠けていると寂しいものである。

金額だけでは分からないことも多いから、人は様々な働き方を望んでいる。

より多くの利益を得たいのであれば、それに適した職を探すべきだし、介護職でしか味わえない良さもある。

介護職で1000万円以上を稼げないとは思わないけれど、仕事の性質上、稼ぐことを優先しても結果的に中途半端なサービスになってしまうようにも思える。

介護予防の段階で、健康や生き甲斐に関するサービスの提供を促すような事業であれば、介護を含めたもっと大きな視点でサービスの提供が可能になると思う。