先が見えない!人生が詰んだのか?

 毎朝3時半に起きても…

正月に妹夫婦が子どもたちを連れてやって来た。

しばらく見ない内に、どんどん大きくなっていて、成長の早さを感じてしまう。

お年玉と、彼らに読んで欲しいと思う本を選んであげた。

ゲームやサッカーに興味があるようだが、渡した本を気に入ってくれたのか、しばらくは本を眺めてくれていたようだ。

その内、受験やら進学を迎えて、彼らの生活も変化し、ここに毎年来ることもなくなるだろう。

以前は来るとすぐに寄ってきて、「遊ぼう!」とせがまれた。

でも、妹夫婦から言われているのか、想像する以上に彼らは「大人」の対応をする。

泊まりたいと言われたが、それは断った。

流石に年始も仕事の妻を考えると、あれこれと大変になるからだ。

すると帰り際に、お兄ちゃんが「帰ります!」と部屋まであいさつに来てくれて、こみちも部屋から出ようとした。

彼の背中を追うように階段へと向かっていたら、背後でガチャと音がして、こみちは振り返った。

「テヘヘ」

そこにはドアの後ろに隠れていたのか、長女がドアを開けて中を覗いている。

「オイオイ!」

お兄ちゃんの後を追うのをやめて、部屋に戻った。

「久しぶりだなぁ」

思えば、4歳くらいの頃にも勝手に部屋まで来て、いつも座っている席に腰掛けて動こうとしなかった。

あれから随分と時間も経ち、段々と大人になっているのが分かる。

だからこそ、何となく距離を取りたくて、こみちは自身で避けていたように思う。

「ほら、帰るんでしょ?」

「うん。元気でね!」

流石にまだ背丈はこみちの方が高いけれど、見上げるように振り返った長女の目線は明らかに昔よりも差がなくなっている。

とても頭のいい子だから、「元気でね」としか言わなかったけれど、何かに気づき、心配になってここに来たのかもしれない。

しばらくして、妻が「〇〇ちゃん来たの?」と驚いている。

ここ数年、何度か訪ねて来たけれど、いつもリビングにいて、ゲームばかりしていたからだ。

何より、思春期近くになれば、誰だって親戚の家を訪ねても面白くはなくなるだろう。

無理して付いて来ているとこみちだけでなく、妻も思っていた。

取り残されている感覚

日々の変化が薄れてしまうことを、「老い」と感じている。

自身では変化させたいと思っているのに、その変化はほとんど感じない。

既に新年となって5日目で、世の中はそろそろ仕事も始まり、学生も学校やらで泡立たしくなるだろう。

でもこみちは今日も朝の3時半に起きて、弁当と朝食を作る。