「日本」は中高年にとってどんな場所なのか?

 「海外生活」という選択肢

昨今の円安の影響や、かつて老後は物価の安い海外でという「海外生活」の良さに注目が集まっている。

そして「英会話」学習に興味が湧くのも、そんな「海外生活」への憧れが影響しているだろう。

高齢者の割合が高く、人口減少が続いている「日本」という国だが、今の中高年以降の世代にとっては、これほど住みやすい国はないと思う。

こみちは海外生活の経験がないから、それこそどこかの国と比較して出した感想ではないけれど、「治安の良さ」だけを取っても、住み続ける理由なるだろう。

もしもまだこみち自身が20代で、語学の他に何か技術を持っていたなら、海外生活という選択肢も入って来ただろう。

特に学生時代に留学しておくことで、「日本」で暮らす良さもより具体的に分かるはずだ。

田舎育ちだったこみちが、10代で東京に来て、そこで新しい友人ができた時に、出身地だけで笑われた経験はない。

なまっていたことも、個性として捉えてくれたし、こみち自身方言を使うことに違和感などなかった。

例えば、大学進学や就職先で、地元を離れることになっても、新しい場所でも生活できることはそれだけ社会が温かいからではないだろうか。

どこに行くのも、どこに住むのもできるということは、表面的には簡単にも思えるが、よくよく考えるとそれは簡単ではない。

いろんな人が集まる「東京」という場所に比べて、生まれ育った場所は地元民との距離が近かった。

長屋暮らしではなかったけれど、家の前の道路でサッカーや野球で遊ぶことができたし、だいたいそこに近所の同年代がいたものだ。

東京という街では、肩がぶつかっても、それだけで相手と距離が縮まるとは限らない。

「すいません」と言った後、ほとんどはそれっきり接点などなくなってしまう。

それだけ自由ではあるけれど、それだけ互いとの距離が遠いとも言える。

何かの経験として海外の良さを活かしたいのであれば、これから海外生活という選択も悪くない。

でも、中高年になって思うのは、「当たり前がある」ことのように感じる。

「お金があれば、物が買える」

これを当たり前に感じないこともあるだろう。

でも社会情勢が悪化すれば、「お金」よりも「物」の方が貴重になってくる。

もっと言えば、「安全」はさらに貴重だろう。

3倍稼げる可能性があったとしても、その「安全」という面で危険が高まるとしたら、中高年になったこみちは稼ぐことよりも安全であることを優先してしまう。