中高年が「心得たい」ことを深掘りしよう!

 中高年の魅力とは何か?

日常生活でも、加齢による機能低下を感じることが増えます。

細かな作業や長時間労働など、若い頃なら苦でもないことが苦手になってくるでしょう。

例えば、介護業界で中高年の採用を積極的に行う理由として、介護が効率重視の仕事ではなく、相手のペースに合わせて作業を進めることが求められるのも一因です。

極端な話をすると、30代までは感じなかったこととして、「自分の人生」というものを振り返るのも中高年になってからで、「成長」や「進歩」を感じる場面が年々減ってしまいます。

その意味では、「何かを始める」という一歩の価値をより理解できるのも中高年で、「何も起きないまま老いてしまう人生で本当にいいのか?」と考えることが増えるでしょう。

60代、70代になると、現役で仕事を持っている人もいますが、年金や貯えを使って生きる人も増えます。

しかし、労働人口の減少は今後さらに深刻な社会問題で、ある意味で「日本」という国も今後は大きく変化して行くことでしょう。

若い頃に十分働いたから、「定年後は悠々自適に暮らそう」というのも、今の年金受給者組まではできたとしても、これから定年を迎える我々世代の時には随分と事情が変わっていなければおかしい話です。

それだけに「中高年」の魅力をもう一度見直して、今のスキルに何をプラスするべきかを考えることが大切です。

「介護スタッフ」という選択肢

現役のサラリーマンで、役職ある人なら、かなりの金額を稼いでいることでしょう。

もしも介護スタッフに転職すると、日勤帯だけでなく、早朝や夜間、深夜帯も働くことになるかもしれません。

しかも場合によっては今の待遇を維持できないかもしれません。

だから、「介護スタッフ」という選択肢はないと結論づけるのは少し早合点でしょう。

なぜなら、今はまだ加齢を感じるくらいでも、この先になればさらにいろんな面で老いを感じますし、確実に自身の生活を維持できなくなって誰かの負担に頼ることになるからです。

こみちが介護スタッフとして働いていた時も、「お金を出している」とサービスされることを当然と考える利用者もいました。

しかし、考えてみれば、「現役時代に頑張ったんだ!」という感覚と、「老後はのんびりしたい」という思いが誰にでもあります。

まさか、老いて自身の身の回りを誰かに世話されなければいけなくなるとは思ってもいないでしょう。

ところが現実の話として、社会的地位や資産に関わらず、家族からのサポートでは難しくて、介護施設で暮らすことになる高齢者もいます。

現役世代からすると、一人の高齢者を家庭内で支えるのは、他の全てを後回しにするくらいの覚悟が必要です。

つまり、思うほど「老後はのんびり」という感覚にはなれません。

気持ちのどこかで、健康面や金銭面、家族のことなどを悩みながら、でも段々と自身のことさえできなくなってしまう現実に直面し、生きているのが高齢者です。

つまり、現役世代の時に介護スタッフとして数日でも老後の実情を体験すると、本当に必要なことが分かってきます。

「お金を出している!」という言葉が、そう大きな価値を持たず、むしろ介護スタッフとして世話してくれる人に感謝することが増えるでしょう。

仕事として就労しなくても、ボランティア活動などでも介護施設を体験することで、誰もが考え方を変えるでしょうし、それは残された自身の人生をさらに有意義にしてくれます。

具体的な介護技術よりも、老いた人をどんな気持ちでスタッフが支えているのかを知ると、もう「老後の資金は〇〇円必要だ!」とは考えないでしょう。

もちろん、お金も必要ですが、老いた人の世代を、全面的に支えるということは、「もしかして?」と思いつくような様々なトラブルも介護スタッフは黙々と処理しています。