「相手が本気になってくれる」には?

 もしも自分が逆の立場なら…

例えば求職の面接の時、貴方が面接官なら求職者の何を見るだろうか。

真面目な話、いい加減に考える段階なら、最低限のポイントさえクリアしていれば十分だろう。

しかし、採用意図や仲間になって担って欲しい期待が明確なら、要求したいポイントも的確になってくる。

「今までの職歴を教えてくれませんか?」

そんな質問を投げかけるのは、まず職歴をもう少し掘り下げて聞きたいのもあるが、こみちがその質問をするなら、論理的に話せるのか、問題点にどのようなアプローチを選択するのか、その人の思考パターンを探りたいからだ。

営業マンの立場とクリエイターの立場は違う!?

こみち自身、そのどちらも経験がある。

特に営業マンになると、クリエイターの強みを把握してそれが活かせるようにクライアントと話を進める。

だからこそ、クリエイターの実力だけでなく、苦手やダメなポイントも知っておきたい。

そうすることで、強みをフル活用できる。

全く別の話になると、営業マンは営業を、クリエイターは製作だけをしていてはいい仕事も限られた範囲になってしまう。

意外と、理想的な相手だったとしても、最初から熱心に関わってくれることはない。

なぜなら、こちらの実力も伝わっていないからだ。

しかし本音を言うと、それが正確か否かは別として、見る人がみれば、瞬時に実力など分かってしまう。

ただ、その実力も無条件で優秀ならもう手助けなど必要ないし、手助けすれば才能を開花させられるとしても、その段階にいる人材もまた数多いのだ。

ということは、あと一歩まで来た相手をさらに磨き上げるきっかけは、相手を本気にさせる魅力があったかどうかだ。

事実、プロスポーツ選手のインタビューを聞いていて思ったのだが、「相手を本気にさせることができた」に類する言葉を使っているのは、新転地に溶け込み、そこの仲間にも祝福された人たちだけだ。

逆を言えば、まだ相手も多くの才能豊かな対象者の一人として見ている段階では、ある意味でお客さんを扱うように敬いの精神が前面に出た対応をしている。

なぜなら、まだ仲間では無いし、少なくとも同じ段階にいる人はたくさんいて、その中からあえてその人である必要性もない。

だからこそ、精一杯のもてなしで、「凄いですね!」と良いところばかりを褒めて時間が過ぎる。

確かに良いところも多い。でも、もう一歩先に進めないのは理由がある。

しかし、そこには触れないだろうし、的確なアドバイスもしてはくれない。

多分、1つ褒めて、3つダメ出しするくらいが、厳しい環境の指導だろう。

今どきなら、3つ褒めて、1個ダメ出しなのかもしれない。

でも、褒めるだけということはまず無いだろう。

そんな風に思うと、相手がとてもリラックスしていて、良いところばかりを話しているのは、それだけぎりぎりのラインから外れたエリアにいるからだろう。

「ここまでした経験はないですか?」

具体的に、しかも詳細に聞いて来れば来るほど、相手には明確な狙いがある。

職歴を説明し終えて、具体的に踏み込んだ展開に進まなかったとしたら、相手は本気どころか、今の面接を早く終わらせたいと思っているだろう。