コロナ禍における「ターミナルケア」の問題点

 「ターミナルケア」とは?

介護士として施設で働く場合、行う介護サービスには「ケアプラン」に基づいた「目的」があります。

通常の場合、利用者の今後を見据えたケアプランが立案され、例えば在宅復帰や利用者の望む暮らしに近づけるケアが盛り込まれます。

しかし、ターミナルケアになると未来的なケアではなく、「今」を大切にしたケアに移行され、苦痛を回避する対策が行われます。

「ターミナルケア」のもう一つの側面

「ターミナルケア」が実施される状況とは、なんらかの理由からその人の健康や生命に回復の見込みがなく、「未来」ではなく「今」をより優先した生き方が必要になっているとも言えます。

それだけ、寿命という観点では一般人以上に真摯に向き合う必要があります。

だからといって、利用者とその家族の仲が良いとは限りません。

少なからず家庭に問題を抱え、例えば施設に入った利用者のもとにほとんど訪れることがない家族もいます。

例えば遠方の場合もあれば、それぞれが望む暮らしを尊重するあまり、交わることが減ったり無くなったりすることは十分にあり得る話です。

ただ訪問頻度に表れるばかりではなく、ターミナルケアになった利用者のケア方針でも個々で意見に相違が生じたりします。

これまでの特徴としては、利用者家族からは「できる限りの治療をお願いしたい」というもので、逆に利用者自身は「特に大掛かりな治療を望まない」というようなケースも見かけます。

これはあくまでも憶測ですが、利用者の中には家族に会いたいと考えている方も多く、施設でどれだけ介護士がサポートをしても、家族から受けられる生きる喜びに代わることはできません。

その意味では、施設で孤独に暮らしていると、どうしても生きる喜びを感じ難くなってしまうことはあります。

その結果、治療についても多くは望まず、延命措置には消極的な利用者も多くなります。

一方で、あまり施設を訪れることがない利用者家族は、どこかで自身が介護できていない後ろめたさを感じるようです。

しかし、なんらかの理由もあってそれを改善できないことも加わり、「できる限りの治療」という言葉で気持ちを示そうとするのかもしれません。

特に経管栄養と呼ばれる処置が始まると、利用者は自身で食事もできないまま、栄養素だけを体内に取り込み、その結果として延命が可能となります。

中には利用者から「生きているのが辛い」というような訴えもあって、その度に介護士としては前向きな希望を見つけて気持ちを支えています。

コロナ禍に起こる「ターミナルケア」の問題

一般的に介護施設の多くは外部の人が頻繁に館内を訪れることを望んでいません。

それだけコロナ感性のリスクは大きな問題だからです。

一方で、ターミナルケアが開始された利用者の場合、家族との面会が一部制限されることがあります。

そうなると、危篤状態は例外的だとしても、終末期に家族や親しい親戚と顔を合わせたいでしょう。

例えば一時的に「外泊」という選択を選び、利用者が自宅に戻ることも希望として出るでしょう。

施設としても、ターミナルケアの方針としても、希望に応じたい一方で、感性リスクや施設戻った後の受け入れ方も十分に検討しなければいけません。

事実、コロナワクチン2回接種済みのケースでも、家族の感性により自宅待機となることも十分にあって、まして施設内でのクラスターとなれば影響は小さくありません。

このような問題をいくつも抱えながら、コロナ禍の時代に施設は厳しい判断にせまられながら、ターミナルケアにも対応しています。