もう父親一人での入浴は厳しいのかも知れない話

 父親の運動能力

確かに歩ける時もあるけれど、義務や役割として「歩くこと」の必要な作業を父親にはできません。

能力的な視点だけではなく、性格的な視点も加味するとそれが現実です。

褥瘡が腰にできて、一日中寝たままの生活スタイルに体がサインを出していますが、父親と母親で出した回答は、リビングに布団を敷くことでした。

つまり、寝たきりでもないのだから、これ以上活動量を下げない工夫をしなければいけないと言う発想には成らず、今のスタイルを続ける工夫に走ったということ。

そもそも、父親が家のことを一切しないと、家族の誰かが代わりにしなければいけません。

ゴミ捨てをする。

収集場所までゴミ袋を運ぶだけでも、歩けないければ任せることはできません。

同様に考えて、完結させられるという意味ではなく、始めることさえできないほど、やる気も失せているようで、「お父さん、すごい!!」と常に励ますことでもしないとできない人なんです。

じゃあ、母親はどうか。

母親はまだ行動できますが、していることは多くありません。

先日、保険の見直しをする機会があって、それまでは両親だけで更新していました。

ですが、何か意見するという意味ではなく、傍観者として立ち会ったのですが、かなり保険料の見直しができました。

「〇〇を変えることはできますか?」

「今、この保険は有益ですか?」

そこで感じたのは、両親はほとんど何も理解できていなくて、特徴的なポイントだけを何となく覚えているに過ぎません。

医療保険はどんな時に対象になるのか。

入院の何日目からなのか。

暗記していなくても、それを請求する方法を知っていなければ無意味です。

「あの〇〇保険の証書はどこにあるの?」

「そんなこと、急に言われても」

3日後に探してと伝えて、その間の隙間時間に探して欲しかったのですが、「どうなった?」と聞いた時に「忙しくて」と答えます。

「忙しい」は誰でも同じで、「テレビを観ること」も忙しいんです。

今、母親は父親に風呂に入れと言っています。

もう数日、入っていないからです。

「またそんなことを言う」

「俺だって忙しい」

考え方は二人とも同じで、できない理由を繰り返します。

でも入らなければ、皮膚病のリスクもありますし、病気になれば通院しなければいけません。

でもそれを母親ができるのかというと、病院の看護師にめちゃくちゃ怒られて以来、連れて行けなくなりました。

聞かれたことに答えられないので、「質問、分かりますか?」と言われてしまったそうです。

母親はかなり大きな音でも聞こえていないようで、それは冷蔵庫のドアの開け閉めを聞いても分かります。

怒っているのかというくらい騒がしいので、正直、父親とでも本当に理解して話しているのか分かりません。

ボケているということではなく、相手の質問を聞いて、何を知りたがっているかが分からないんです。

「冷蔵庫の人参だけど」と聞けば

「人参買ってくればいいの?」と答え。

「そうじゃなくて冷蔵庫の…」ともう一度言い直しても

「ジャガイモ?」という感じです。

だから「冷蔵庫に人参があるでしょう? それで肉じゃが食べたいって言っていたけど、今晩はそれでいいの?」と相手の理解に合わせて頭から略さないで伝えないと上手く伝わりません。

今、リビングでせっつかれて、父親が「風呂には入らない!」と駄々をこねています。

実はふらついて転んでも危険なので、手すりの工事も予定していて、さらに浴槽に入る時に使うボードを買うかどうか悩んでいます。

浴槽の縁に腰掛けるのでは危ないですし、少し前から母親には入浴時に見守りをお願いしています。

とは言え、倒れそうになった父親を支えるとは思えません。

介護士としては入浴は安全性も考えるとデイサービスでいいように思うのですが、父親と母親は自宅での入浴にこだわりがあります。

トイレ同様に入浴もできなくなると在宅での介護で全ては賄えません。

デイサービスを上手く利用した方がいいと思います。

と言うのも、転倒し骨折でもしてしまうと、それこそ車椅子生活で、筋力を落としてからリハビリで今以上に歩けるようにはなりません。

そう考えると「骨折」は一番避けたいことで、そのためなら在宅にこだわっている理由もないからです。

ただそう割り切れないもの人なので、今はできるだけ父親は母親に面倒を見てもらうしかないでしょう。

家族とは言え、狭い浴室で介助するのは簡単ではありませんし、何よりポジションが取れないと介助側も腰を傷めたりします。

それを母親に伝えるのも一苦労ですし、選択してもらう話し方では答えまで行きつきません。

結局、「デイサービスで入浴した方がいい」と言うタイミングでしょう。

大けがにならないヒヤリを経験し、父親が「家の風呂では危なかった」と認識しない限り、なかなか簡単ではありません。

浴室のドアも開けっぱなしで、二人で浴室にいるようですが、まだシャワーを使っているような音も聞こえません。

大丈夫でしょうか。

ちょっと様子を確認してきます。

母親が父親に「背中、洗おうか?」と聞いていました。

「大丈夫!」と言う父親。

そこで大切なのは実際に洗えているかを確認すること。

でも、その声掛けをしてすぐに離れてしまいます。

そこが勿体無い部分ですが、着替えなども母親に用意されて、父親としてはすっかり機嫌も直っています。

母親は大変かも知れませんが、しばらくはそんな感じで入浴してもらえばいいのでしょう。

ただ母親の無意識なため息が多いです。