人の道理
優しい人や親切な人が嫌われるとしたら、それは価値観が何周も巡っているから。
大昔だけど、ある職場で「そんなに頑張らないで欲しい」と別の部署の人に言われたことを思い出した。
その方がどんな部署でどんな役割だったのかさえ知らないけれど、部署毎に算出される社内達成度が給料の査定にも響くので、そんな言葉になったのだろう。
みんなが頑張らなければ「楽になる」と言う考えは、狭い世界では成立する話。
でも少し視野を広げて、また時間が経てば、そんな会社ごと吹き飛ばされてしまうだろう。
仕事ができるかどうか、それも気になるけれど、実はもっと別のことの方が大切で、それが「人の道理」なんだと思う。
つまり、嫌われることをして、「オレはついていない」とか、「不幸だ!」と言うのは無しだってこと。
「昔のことだから…」
そんな風に身勝手に解釈しても、その時に歯を食いしばって耐えてくれた人がいたと言うことを忘れてはいけない。
だからこそ、「あの時の過ちを少しでも恩返しできるように…」と、報われない時期を甘んじて受け止めることをしなければ、人の道理に反してしまう。
未熟だから失敗をする。
それは若い時なら仕方ないこと。
そして、その時の失敗を糧にして、経験を積み、恩返ししてチャラになる。
人間ができた人なら、知識や経験を活かして人材育成に取り組んでいたりもするだろう。
高齢者になっても安心できる社会
高齢者の暮らしを守るために、若い世代の生きがいを奪ってしまっては本末転倒だ。
今、社会保険料が高くて、うんざりしている人も多いだろう。
例えば集めたお金をそのまま高齢者福祉に補てんしても、何も気づかないまま消費されてしまう。
かと言って、集めたお金を元手に投資で運用して、本当に利益を生み出せるだろうか。
投資は、総量が決まったパイを再分しているだけなので、儲かる人がいれば、必ず儲からない人がいる。
一番確実な方法は、これから未来がある若い世代に投資すること。
例えば、奨学金を活用して進学するのではなく、医師や看護師のような社会貢献度の高い職業に優秀な成績で学ぶ、さらに一定期間社会的に貢献することで、その学費を免除するような仕組みをいろんな形で実現してはどうだろうか。
AIが欠かせないのではあれば、それに関連する学部に進学すると学費が安くなるなら、若い世代も進路選択の時に検討できる。
漠然とした「夢」に学費を払うのではなく、「この職業になってくれるならサポートしますよ」と言う支援システムを社会で設けるのだ。
そして、その資金を中高年を中心に募る。
と言うのも、若い世代に活気がなければ、これから活動量が低下する中高年の未来も描けない。
高齢者を支えることを、若い世代の生きがいを奪うことで成立させてはいけないと思う。
価値がお金を作るなら、そのお金を集めて解決するのではなく、価値となる社会基盤を作るべきだと思う。
そうすることで、若い世代が活躍できる場が生まれ、結果的に高齢者の福祉も潤うと言う流れ。
ただ人の道理として、力を持つ人が入れ替われば、今までと同じような構図が出来上がる。
つまり、高齢者福祉が潤わず、若い世代のための社会になってしまうのではないかと。
そうなってしまったとしても、消費税率を上げて、社会保険料も上がって、若い世代がこれからの時代に追いつけなくなってしまえば、世界からも取り残される存在になってしまうだろう。
しかも簡単に口にする「価値」って、数年の努力では得られるものではないし、一人のスーパースターだけで築けるものでもない。
特に絶対的なパワーで勝負するタイプではないのだから、連携や協力のような強みを活かせることが欠かせない。
それには基礎学力や思いやりのような、社会環境によって培われるものを育てたい。
だからこそ、そんな社会環境を作るためにも、今後の未来を託すためにも選挙に行った方がいいと思う。