努力を拒む父親の介護

 「受け身」の人生

物心ついて、父親が何かに夢中になった所を見たことがありません。

仲間内でワイワイと盛り上がった時に、勢いで何かやって退けたりしたことはありますが、趣味とか大切にしているものなども知らないくらいで、「受け身」の人生だなぁと思っています。

同居を始めたばかりの、十年くらい前に遡れば、同時に糖尿病の予防にも前向きになったらと思います。

「糖尿病なの?」

予備軍ではなく、糖尿病と診断された父親。

担当医の説明を両親が聞いて来たのですが「特に制限しなければいけない食品はありません」と教えられたとこみちに聞かせてくれました。

でもこみちは、「糖」や「塩分」「油」などの摂取を抑えた食事と運動習慣を身につけてもらうべきだったと思っています。

糖尿病の患者向けの料理本を母親に買って渡したりもしましたが、特に作る料理に変化はありませんでした。

というのも「特に制限は必要ない」と言われたからだそうです。

確かに糖尿病だから一切口にしてはいけない食品はないかもしれません。

しかし、先月の入院理由は、脳内の血管が破裂したことで、こみち自身も「認知症」との関連ばかり気にしていました。

でもよくよく考えてみれば、アルツハイマーの症状ではないと説明されていて、それは単純に糖尿病から来るものではなかったのかと思うようになったのです。

破裂する場所が違えば、右半身にマヒが出ていたかもしれないと言われましたが、今のテレビを観て過ごす生活を続けていれば、次回何かあったら自宅ではなく介護施設になることでしょう。

ここ最近、母親も感情的になりやすく、ちょっとした言葉で怒り出します。

してもらうことに慣れすぎて、甘えていると言えばそれまでですが、受け身な生き方を続けて来た父親の現状が今なのかもしれません。

食欲も落ちていて、甘いものやジュースなどを好みます。

母親が買って与える食事も、揚げ物や天ぷらも多くて、どう考えても糖尿病の患者に好ましいとは言えません。

かと言って、自分で努力したりできない父親なので、たくあんをおかずに白米を食べることも珍しくありません。

よくそんな食事で体調を崩さないなと思っていましたが、やはり体に負担を掛けているようです。

朝夕、こみちが食事を作りますが、父親は全く手をつけないこともあります。

塩っぱいもので簡単に済ませてしまっているようですが、ある意味でそれも父親の生き方なのかもしれません。

作ってもらうのが当たり前ではなく、自分で自分の健康を守ることが先ず必要だからです。