webライターで生きるのは難しい!?という話

 数年前までなら

webライターという仕事は、それまでのライターとは別の職種として出会いました。

ライター仕事は、多くの場合、現地取材やインタビューのような「情報を仕入れる」ことから始まります。

あるお店の紹介記事を依頼されると、先ずは取材先に連絡をしてカメラ持参で聞き取りさせてもらいます。

「記事」とは、あくまでもそんな一連の流れから見つけられた結果であって、ライティングは「まとめ作業」に過ぎません。

当時、と言っても数十年も昔ですが、新人ライターでも400字詰め原稿用紙1枚の記事を書くと1000円くらいの報酬だったと思います。

一般的にwebライターでいう1文字換算の指標にすると2円以上です。

一方で、昨今のwebライターがどれだけの単価で仕事を受けているのでしょうか。

無名で未経験のライターの場合、時に1文字あたり0.2円前後というケースも珍しくありません。

仕事として一日中タイピングして、1日で打ち込める文字数はどれくらいでしょうか。

こみちなら3万文字くらい、つまり報酬額は6000円程度です。

しかも、全ての記事が「承認」されるとは限らないので、時に書いた文章がごっそりと稼ぎにならないこともあります。

それ故に、webライターとして成功するには、タイピングスピードと承認されるレベルの内容が求められました。

業界で「名前を売る」

それっぽい内容の記事を、どんなジャンルでも書ける器用なwebライターも少なくありません。

webライターとして活躍できる人なら、必須のスキルなのでしょう。

しかし特定のジャンルに絞ることで、より深い知識と考察から有益な記事が生まれます。

ネット上で集めた情報は、広く知るには適していても、実際には重さや大きさなど、目の当たりにしてみないと気づけないこともたくさんあって、ある意味でライターとしての個性が発揮できる部分です。

コンセプトから練り込んで作った商品は、無理矢理頭を捻らなくても、そこにしっかりとしたストーリーがあって、どこをどう売り出したいのかがとても明確です。

一方で、寄せた商品は、基準となる商品と比較することで価値が見えて来るので、売り込めるポイントがどうしても限られてしまいます。

動きさえすれば良いという商品ほど、それ以外の魅力を後付けすると、文章はどうしても安っぽく見えてしまいます。

これはライターとしての評価にも言えて、業界で「名を売る」ことで、相手からも期待され、ライター側もそれまでの経験や知識を提案でき、より良いものを作る関係が築けます。

「とにかく販促効果の高い記事にして欲しい!」

そんな唐突過ぎる依頼は、本来ならあり得ません。

なぜなら、手塩にかけて商品化したものほど、そこまでの苦労や発見も多く、開発者にインタビューでもしたものなら話が尽きないでしょう。

その全部を記事に載せられないので、「今回はどこを推していくのか?」という部分が記事ではポイントになります。

つまり、良い文章を書きたいと思っても、日本語としての正確さは勉強できるとしても、ライターとして活躍するには相手企業との信頼が不可欠です。

相互に経験や知識を持ち寄れることで、新たな発見に繋がると思うからです。

言えば、このライターの記事であれば、その記事の内容はこれくらい信用できると読者に認められることで、実は記事としての価値が決まります。

どこの誰がどんな目的で書いたのかさえ分からない記事では、仮に良いことがたくさん書いてあってもそのままでは読者も鵜呑みにはできません。

webライターという仕事は、ライティングで稼ぐことができますが、そこからもう一歩先に進むと一気にハードルが上がってしまいます。

そこには「専門性」とか「評価」が付いて回るからです。

個人的な見解ですが、どんな業界であっても、その業界に5年から10年くらいの経験がないと、表面的なことは分かってもその先にある「核心部分」まで到達できません。

こみちは介護福祉士の有資格者ですが、介護保険制度の簡単な説明はできても、業界が抱える共通の悩みや介護施設での現状を下調べもしないで紹介することはできません。

まして、介護士として働いたことも、介護に触れたこともないライターが記事を依頼されても、介護が本当にどう大変なのかを理解するにはそれなりの時間が必要です。

もしも依頼された文字数に合わせて時間内で書き上げるとするなら、その記事を読んだ読者にどんな有益さが期待できるでしょうか。

結局、webライターも従来のライターも行き着く所は同じで、そのライターにお願いすると、どんな視点で情報を集めて、それをどんな感じで記事にまとめてくれるかを業界で知ってもらうことでしょう。

話は脱線するけれど

こみち自身、ライティングではない仕事を請け負っています。

ここだけの話ですが、その仕事内容に関して、以前から改善点がいくつもあって、請負という立場の歯痒さを感じます。

もちろん、こみちの提案で改善できるとは限りませんし、同じようなことを既に試した結果なのかもしれません。

何が言いたいのかというと、ライターとして記事を書くという行為は、時に歯痒さや不甲斐ない気持ちとの葛藤でしょう。

その中で、求められる記事を書き続けることの難しさがあって、言い換えるとライター志望の全ての人に向いているとは限りませんし、もしかするとライターとしてではなく、その業界の一員として活躍できるタイプかもしれません。

どっしりと腰を据えて考えると、ライターという仕事がとても難しい仕事だと分かります。

物やサービスをどういう視点から見て、どう良さを伝えられるのか、でも時に個人としては魅力的に思えない内容ということも起こります。

「安い」でも本質的には満足度は低い。

安くて、パワフルで、持ち運びにも便利。

ありがちな言葉ばかりを並べてしまうことに、段々と書く気力が削がれます。

仕事だから疑問に思わないようにするか、それとも業界での評価を上げて、期待される仕事を目指すか。

でも、ライターに限らず、どんな職種でも同じような葛藤に中で頑張っています。

常々思いますが、一生涯を賭けて続けられる仕事に出会えたら、どれだけ幸せでしょう。

苦労だとしても、その経験がいつかどんな形でも活かされるでしょうから、厳しい努力も報われます。

でも、評価はおろか、仕事そのものがなくなってしまうような環境では、思うように未来ばかり考えてもいられません。

先ずは努力するだけの価値ある環境を探してみることでしょう。

多くの場合、そんな環境は競争率も高いもので、希望すれば叶う場所ではありません。

だからこそ、小さな規模や制限のある環境でも、そこで先ずはしっかりと結果や手ごたえを感じて、より良い経験にすることです。

特にwebライターに限っては、近年のAI技術の躍進により、もう人間では勝てないほどの高速なライティングが可能になっています。

つまりそれだけ、「無名」のライターでは勝ち目がなくて、業界内でしっかりと頼られる人材として認知されることでしょう。

そのためには、「書くこと」だけではなく、専門性やそれに類する経験を持って他のライターとの違いを見いだすことです。

ライターという職業が、この先も生き残るためには、「書くこと」に趣きを置くのではなく、「誰の記事なのか?」で勝負できることでしょう。