2023年も師走を迎えて

 もうそろそろいいのではないだろうか?

両親との同居は、誰もが想像するように簡単なことではない。

なぜなら、子供世代も世間的には大人として自立した立場で、もちろん両親はそれ以前から自立して生きていた。

日々の食事に関しても、簡単に惣菜や冷食で済ませて、浮いた時間で趣味などに費やす生き方があって、一方では食事こそしっかりと手の込んだものを口にしたいという生き方もある。

どちらが正しいということではなく、どう生きるのか、どう生きるために何にこだわり、それに向けた生き方を続けて来たのかということだろう。

父親や母親の生き方とこみちの望む生き方は全く違う。

でも、人は老いていくもの。助けられて生きるもの。

だと当然に思って生きるのはちょっと違う。

最近の高齢者はひと昔よりも若々しく、でも70代の10年間はとても大切な時期だと言える。

1つには、60代の生活と80代の生活はいろんな面でかなり違って来る。

60代はそれこそ40代からの生き方を続けることもできなくはない。

しかし、80代は70代の続きではなく、90代以降の生活の始まりでもある。

介護士時代、施設で関われた利用者たちも、70代はまだまだ若く、80代90代は個人によってその雰囲気が大きく変化する。

施設では90代や100歳を迎えても元気な人が多く、しかも笑顔に溢れていたりする。

しかし一方では、かつての生活スタイルではなく、施設の提案するスケジュールに沿って日々の暮らしがある。

食事も洗濯も、掃除もしなくていい。

買い物さえしなくていいから、目が覚めて身支度したら、時間をみて朝食を食べるという流れだ。

上げ膳据え膳で、食器洗いさえしなくていいから、食べた後はフロアでゆっくりとテレビを観ててもいいし、自室に戻って趣味に時間を費やしてもいい。

しかし、現実的な話をすれば、そんな施設での生活も、一般的には月額10万円前後必要で、今の住まいに近い施設を探すとなれば、都内なら20万円以上は用意したい。

年金にしろ、預貯金にしろ、経済的な準備がなければ、施設入所も選択肢には入らない。

もちろん、環境によっては国や自治体からの支援を受けることもできるけれど、そのハードルは低いものとは言えない。

両親共に80代を迎える時期が近づき、やはり気になるのはこの10年を過ごしたのかということ。

親の生き方を責めたいのではなく、こみち自身も決して行末が見据えてはいないからこそ、彼らには自身で生き方を考えて実行して欲しいと思って来た。

だからこそ、今年も師走を迎える時期になり、「もうそろそろいいんじゃないか?」と今の生活スタイルを無理して続けるのではなく、本当に必要なことが何で、無理なら手放すべきこともあるだろう。

あと3年、5年という時間がとても重要で、「準備期間」ではなく「残り時間」という認識で、それぞれが最後にしておきたいと思うことを成し遂げて欲しい。

生まれ故郷を訪ねてみたり、気になったいた場所や国に足を運んでみたりということができるのも、それだけ期限が迫っていて、その後は急速に日常生活の話ばかりになってしまうからだ。

三度の食事以外、あとはゆっくりと時間を過ごす。

たとえ施設にいなくても、誰もが自然とそんな暮らしになって来る。

今の生活のままというわけにはいかないんだよなぁ。