ゴールデンウィークなのに…という話

 価値観の違いはあって当然!

たまたま、あるニュースを見ていて、稼ぐために努力する方法を間違えてしまうという事件を知った。

知識や技術を会得しても、さらにいくつかの条件が整わないとその成果が発揮されることはない。

そもそも、知識や技術を身につけるだけでも、こみち個人的な見解では3年は必要だし、そこからさらに経験を重ねてトータルで10年が経験した頃、やっと一人前と呼べるレベルになると思う。

その頃には、知識や技術だけでなく、さらに必要とされる条件にも一定の理解が深まり、トラブルやアクシデントが起こってもその対処方法も分かっているから、仕事として稼ぐことに行き詰まることはないだろう。

一方で、その10年を耐えきれずに、5年や3年、もっと言えば半年くらいで表面的な理解をして、プロっぽい話をしたがる人も出てくる。

最初は一人前になった人で、それこそ価値観の違いなのだろうと思っていたことが、ある時と境に何か違うと感じることが見えてくる。

それは見解の違いやプロデュースの差ではなく、努力するべきことをしっかりとできていないからだ。

こみち自身も趣味でイラストを描いている。

しかし、なぜ趣味で仕事にしないのかというと、イラストを描くことで稼ぐのは本当に難しいからだ。

作者として有名になり、「その人が描いたイラスト」という領域にならないと、それこそイラストを描くだけでは稼ぐことは難しい。

例えば、イラストに文章力をプラスして、さらに取材力までをセットにして、トータルで価値あるものを作れることができないと、食べていけないと思っている。

しかもそうなると、イラストを描く能力はとても比重が低く、今ならカメラ撮影ができることがより求められるだろうし、トーク力やビジュアルなど、より広範囲能力がないと万全にはならない。

だからこそ、縁とかキッカケが重要で、チャンスを活かせる瞬発力がないと、生き残ることは難しい。

イラストレーターになりたいと思うなら、正統派の模写はもちろん、それ以外のタッチで2、3種類くらい描けて当然だといわれる。

今にして思えば、知名度の低い駆け出しの新人のために仕事が与えられるのではなく、ある仕事を誰かに頼みたくて、その条件に応じられることが求められるから、作風にバリエーションがないとそもそも仕事を請けることができず、経験を重ねることも難しい。

もっと上手くなって、プロになりたいという目標にできないのは、画力向上が面倒なのではなく、仕事を依頼されてそれに応じることの難しさがあるからだ。

例えば、全く絵を描くことができない依頼人は、雰囲気で話す。

それを聞いて、サンプルを出し、雰囲気を掴んで一回目の案を出す。

これはイラストではないが、デザインなのでは3案欲しいとかいわれることが当たり前で、サンプル出しで価格に乗せるのは厳しい。

つまりこの作業はサービスになる部分で、仕事としては1時間くらいで仕上げないと、効率が悪いことになる。

ということは、イラストレーターが絵を描くことに精神の集中が必要と言っていたら、まず仕事として続けるのは難しくて、描くことの半分くらいは無駄になり、だからこそトーク力をつけて無駄にならない交渉力がないと仕事にはできないと気づく。

絵が好きな人が、時間を忘れて描いてしまうのは、もう当たり前過ぎる話で、経験的なことと重ねれば、夕方に依頼を受けて、翌朝までに納品できるレベルのカットを20枚描けるのかというような振られ方をする。

つまり、一枚あたり1時間も掛けられない中で、でも手を抜いているとは見えない仕上がりで描けることも大切になる。

半年掛けて渾身の作品を描くのは、イラストレーターではなく、芸術家の仕事だ。

異業種にも言えること

やっぱり、どの業界でもプロである以上は、好きというだけでは稼ぐことができない。

だから、いわれてできるとか、自分から動けないという段階では、そもそもプロにはなれない。

だからこそ、好きな業界で働くことで、少しでも好きになれると思いたいし、頑張れるキッカケにしたいと思う。

でも現実は、見ない大変さをいちいち露呈させていては、仕事にはならないから、各業界で働く人は知識や技術を身につけて、さらに経験を加えることで乗り切れるパワーを持つ。

「他に当てがあるならどうぞ!」

と言えるのはプロだからの言葉で、少しかじった素人の意見にも落ち着いて答えられるのは、知識や技術の話だけでは回せないことを知っているからだ。

今は時代も変わって、それさえ成立しない状況になっているから、頑張ることの意義を見つけるのは厳しいだろう。

でもだからと言って、知識や技術を持たない人が業界を動かし始めると、その下にいる素人からプロまでの様々な立場の人たちは身の振り方を強いられてしまう。

楽しいから続ける人。苦しいけど続けるしかない人。耐えきれずに業界を離れる人。

いろんな決断をすることになる。

よく若者の中に何を仕事として選んでいいのか分からないという話を耳にするけれど、ポイントは知識や技術の部分はどの業界でも結局は同じようにあって、仕事をする中で段々とやり方が見えてくる。

それがきっと3年くらいの経験ではないだろうか。

その時に異業種に行っても、その3年の経験を再び感じられるような体験があって、つまりどんなに転職しても同じ3年なのだ。

転職の回数も、その中で一つでも稼げるレベルになっていたら、回数はもう意味を持たない。

つまり、知識と技術を習得するステージを終えて、その先に来たことになるから。

アルバイトやパートの経験しか無い人を会社的に高く評価しない理由があるとするなら、困難をどれくらい克服できるのかという経験値を求めたいからだ。

全て準備されて、手順通りにできるのは3年で学ぶこと。

でもその先は、仕事の進め方や交渉、人材管理や育成と、仕事を進めるもっと大きな枠で考えたい。

だから正社員として採用されるためには、3年の経験しか話せないのは採用側にアピールが不足する。

35歳を過ぎて正社員採用が難しいのは、実は3年の部分を繰り返す人と思われてしまうからではないだろうか。

でも言い換えれば、一人で稼ぐことができる人なら、あえて就職を選ぶ理由はなんだろう。

自分に自信があるなら起業すれば良いし、働きやすい環境を求めたいなら3年の経験をしている時から将来の目標を掲げるべきだろう。