やはり、考えてしまう自分がいる
社長との会話をきっかけに、あえて避けて来た感情に向き合ってしまった。
若い会社、まだ発展途中の会社だけに、エネルギッシュな部分と拙い部分が混在している。
ただこみちにしてみれば、会社の体制や将来性などは重要ではなくて、自身が納得できる仕事を請け負えるのかがポイントだ。
不完全な仕事を押し付けられて、その瑕疵までもこちら側の業務に組み込まれるのは、そもそもとして信頼関係を保てない話にも繋がる。
「面倒な仕事は、内部で作業するのは御法度なんです!」
「分かりますよね!? コストのこと…」
これは社長から聞いたことではなくて、その後に現場の若いスタッフが教えてくれた内部事情のことだ。
正社員は人件費が高く設定されていて、アルバイトやパートはそれよりも単価が安い。
さらに下請けはもっと条件の悪い仕事をもらうために、時給換算で100円になるとしても仕方がないという理屈だ。
経営という言葉を分かっているようで分かっていない人が口にする典型例で、例えばクリエイターとして仕事を受けるとは底値でもなんでも有り難がっていてはいけない。
「〇〇くらいなら〇〇日掛かり、その時のコストは〇〇円です」とはっきりと伝えて仕事を始めないと、後になってその一方的な修正や根本を覆した場合でも同じコストで担当する流れには乗れない。
でもそんな話をしていたら、そもそもその会社との繋がりは早々に切るしかなかった。
当時のこみちはコミュニケーションが取れなくて、毎日働くことが辛かったから、淡々とできる仕事を選び、時間給での金額はあえて考えなかった。
でも段々と気持ち的に回復し、やりたいことや変わりたい自分が芽生えてくると、他の仕事を選んだ方がずっと稼げてしまうと気付かされて、やっぱりそれでもその会社の下請けを続けるメリットをどこに感じるのかになるだろう。