NHKの人気番組「ドキュメント72時間」きっかけで
神戸市長田区にあるアーケード街に密着。
間口が数メートルほどのお好み焼き屋を訪ねた。
関東圏で暮らしていると、関西圏には独特の雰囲気がある。
話し言葉にも出ているが、人と人との距離感が近い。
文字に起こせばそれほど伝わらないが、「ココにはよく来るんですか?」という言葉にも、独特な抑揚があって、それが関西弁として親しませれている。
みなさんの中にも、「ドキュメント72時間」を好きだという人がいるだろう。
定点カメラのような視点と、カメラクルーの方々の努力もあって、そこにある生活感を茶の間に届けてくれる。
小学生二人組みの少年たちが、店の「おまんじゅう」を買いに来た。
「おまんじゅう?」と思ったら、丸い円形型の中にあんこやクリームが入ったオヤツを関西ではそう呼ぶらしい。
関東圏では「今川焼き」の方がピンと来るし、名古屋圏では「大判焼き」と呼ばれる。
全国的にもいろんな呼び方みたいで、その呼び名を調べて紹介しているサイトもたくさんある。
関東圏でも下町であれば、商店街があって、そこで人と人との適度な距離感のつきあいが存在している。
でも、大型ショッピングセンターが全国的に進出し、便利さの一方で、生活感のある人情は希薄なってしまった。
もちろん、物事には一長一短だから、全てが上手くいくことなどない。
だから、便利さや多様性を優先すれば、結果的に昔ながらの付き合い方は後回しにされる。
客と店の関係には、少なからず上下があって、人と人にはどんな立場でも持ちつ持たれつに変わらない。
番組中にも、一見すると姉妹か親子なのかもと思う女性二人は登場した。
しかし実際には、ご近所さんという間柄で、そのお好み焼き屋の店先で一緒に食べることがあるらしい。
店舗内での食事ということなら、それこそこみちにも想像できる。
でも、あの距離感は関西圏特有の感覚だなと思う。
旅先で友だちやカップルが、ちょっと店先で何か食べるという感覚なら分かるけれど、近所という間柄で、しかも店先のテーブルに座って食事をするというシチュエーションに馴染みが薄い。
一時期、キャンプが流行った時に、日常生活にはない雰囲気を好む人が多かったけれど、ある意味で同じような感覚が味わえるのだろう。
今回、なぜこんな話を持ち出したのか説明すると、問題解決にも地域性があって、島国とも言われる日本だけど、それぞれの場所で暮らす人がいて、同じような悩みを抱えていても、その解決策は同じとは限らないように思ったから。
コロナ禍がもう少し収まって、また自由に生活できるようになったら、旅もしたいなと思う。
一見すると当たり前の日常生活だけど、別の地域から訪れると旅情を感じるだろう。
悩み事も日常生活の中では解決できないけれど、ちょっと見方が変われば、別のものに見えて来たりしないだろうか。