「 勝利を掴む」ために
チャンピオンと呼ばれる人は、決まって試合中に「勝利を掴む」パターンに持ち込む。
その形になると、まず疑いなくイメージした結果が得ることができる。
そんな経験則が「強み」や「得意」を作ろうということになるのだろう。
中華料理店で、炒飯が絶品という評判の店になれば、自ずと客が集まってくる。
さらに客の多くが「炒飯」を注文し、「旨い!」と唸って満足してくれる。
つまり、もう勝ちパターンができたことになる。
あの店の「炒飯」は本当に絶品なのか?
料理を食べて旨いと思うかは、それまでの経験がものをいう。
どこかで聞いた話ではあるが、高額な高品質のオーディオが売上を落としているらしい。
中級のオーディオと聴き比べれば、確かにワンランクもツーランクも上質である筈だ。
しかし、その「上質」を手に入れるために、10倍、100倍の価格を準備できる人は少数派だ。
当然ながら、企業として安定的に収益を確保するなら、売上が不安定な高額商品だけでなく、手頃な価格の商品もライナップしたい。
ところが、例えば炒飯で言えば、冷凍炒飯の美味さはかなりなもので、レンチンすればいつでも安定した味が手に入る。
冷凍炒飯ばかり食べている人が、人気店の炒飯を食べた時、そのこだわりや手間暇を「味わい」として感じ取れるだろうか。
価格も3倍で、手間も掛かる。
しかも食べてみても、「味の違い」を感じることもできない。
もしもそう思ってしまう客がいたら、どんなに絶品と評判になっていても、わざわざ通い続けるリピーターにはなってくれないだろう。
ここまでの流れをまとめると、強みを作ることが大切だとしても、それをしっかりと評価してくれる環境が整っていなければ、正当な評価は得られない。
本当に旨い「炒飯」に出会うために
最も簡単な方法は、客にも炒飯を作ってもらうことだ。
実際に自分でいろいろと工夫しながら、美味しいと思う炒飯を食べてもらうことで、冷凍炒飯と店舗で提供する炒飯の違いを感じてもらうのだ。
オーディオの場合、何より聴く人の耳が健康的でなければ、上位機種の持つ豊かさが伝わらない。
時には中間グレードでも十分に満足してしまう。
しかし、そんなユーザーが増えると、企業としてはコスパを考えてその辺りの音質で商品化をするだろう。
すると、高品質に繋がる技術が活かせなくなり、また活かしても正当に評価されない状況になってしまう。
そう、安くて高品質が当たり前になってしまうのだ。
それは業界的に、本当に旨い「炒飯」が出し難い状況にもなってしまう。
本当の味が分からなくても…
有名な料理人や知名度のあるタレント、YouTuber が「気になる炒飯がある」と告知してくれたら、その味の違いが分からないかもしれないが、一回は食べてみたいと思う人が出てくる。
確かに普段食べている炒飯よりも高額だけど「旨い」と思う人もいるだろうし、話のネタとして「あの店で食べた」と誰かに話すかもしれない。
きっかけはいずれにしても、「気になる炒飯」と認識されれば、市場での潜在的な評価を勝ち取れる可能性がある。
つまりこの辺りは売り方やマーケティングによるもので、仕事探しでは自己プロデュースの必要性を意味する。
このように、必勝パターンを見つけるには、そもそも強みを作ることも欠かせないが、それだけでは達成できない部分もある。
努力しても思うように評価されない場合、その努力不足が理由ではなく、その目標設定に問題があった可能性も見直すべきだろう。