高齢者介護で「リハビリ」とは何か?

 入所3ヶ月を超えた利用者で…

介護施設では高齢者向けのリハビリを実施しています。

介護スタッフによる生活リハビリと、理学・作業療法士のよるリハビリがあります。

まだ介護スタッフになったばかりの頃、理学療法士でもあった施設長に質問したことがありました。

「高齢者のリハビリで、どれくらいの方が以前の生活を取り戻せるのでしょうか?」と。

その時の答えは、リハビリの目的は回復ばかりではなく、残存機能の維持でもあるというもの。

「そうなんですね」と話を理解したものの、実際に現状を知ったのは介護スタッフとして半年が経過した頃でした。

その理由は、入所して3ヶ月が過ぎた利用者の中に、施設を移転した人はいても、自宅に戻った人は少数派です。

特に戻れるか否かの部分では、利用者の健康状態よりも家族の受け入れや住宅改修などが原因です。

つまり、家族構成的に在宅復帰できない場合、リハビリの回復状況とは別に施設での生活が続くのです。

結果として、3ヶ月以上施設で生活しているケースでは、様々な理由から自宅に戻る可能性は少なく、自宅に戻れる前提での入所ではリハビリもより生活に則した内容で行われます。

理学療法士などの機能回復訓練士となっても…

介護スタッフを経験し、看護師や理学療法士などの学校に通い直す方がいました。

同じ高齢者介護に関わる仕事でも、役割が異なります。

特に機能回復訓練士と呼ばれる方々は、介護職よりも高待遇ですし、夜勤などもありませんから、働きやすいと思います。

一方で、先に紹介したように、リハビリを介して目標として掲げていた独歩ができたとしても、利用者が在宅復帰できる訳ではありません。

つまり、目標を達成しても、そこから何かが始まる訳ではないので、それこそ入所する段階で家族の受け入れ意思を確認しておかないと訓練士の役割は半減してしまうでしょう。

ケアマネや社会福祉士の有資格者が、施設では家族との連絡を担うので、担当者が明確に流れを確認していないと、利用者はリハビリの成果とは無関係に施設での生活が続きます。

それこそ、最終的な住処として考える特別養護老人ホームであれば、リハビリでの成果よりも、自分らしく暮らすことを目標にするべきでしょう。

一方で、リハビリを通じて在宅復帰を目指す介護老人保健施設のような施設では、ケアプランの在り方次第で訓練士のやりがいを損なわせてしまいます。

目安として、自力でのトイレができるレベルとなる要介護3くらいでは、家族による支援ではどうしても苦労が多く、その意味では「歩ける」だけでなく、日常生活動作ができないと在宅復帰は一時的になってしまうでしょう。

実際、介護予防がどれだけ大切なのかが分かるのですが、加齢による生活の不便を感じた段階からリハビリを開始することが重要で、完全に支障が生じた段階になると、もうリハビリの目的がかなり薄れてしまいます。

しかし、こみちの家でもそうですが、足腰が弱くなった父親などは、家事を頑張ろうとしません。

年代もあると思いますが、同じように老いた母親が苦労していても、手伝おうとせずに夕方から夕飯ができるまで仮眠をし、食事を済ませて眠くなるまでテレビを鑑賞する生活を続けてしまいます。

足腰のためにダイエットを勧めたこともありましたが、結局は実行されないまま太ってお腹だけ大きくなってしまいました。

もちろんそんな生活から、本当にリハビリが必要になっても、もう在宅で介護はできないと思いますし、もしも重い父親の介護を母親が担って腰でも痛めたら、両親揃って施設になってしまいます。

理想もありますが、生きるのは本人なので、その意味では今を自由に生きることで、人生を悔なく生きてもらうしかありません。