「昭和」ってどんな時代だろう?
同じ「昭和時代」だとしても、高度経済成長期以前と以降でも印象は異なるだろう。
中高年のこみちは、そんな昭和時代に子ども時代を過ごしたが、カラーテレビだったし、エアコン(当時はクーラー)もあった。
いつだったか電子レンジも追加されたし、大きく異なるのは「YouTube 」がなかったことだろう。
好きな曲は、レンタル店で借りてテープに録る。
ノーマルやハイポジ、メタルというグレードも懐かしい響きだ。
全ておさがりだが、自室にエレクトーンとギター、一畳くらいある大きさのステレオ、思い出せばテレビもあった。
友だちの家も、多少は違っていても、大体が同じで、学校では人気歌手のアルバムをテープに落とし、ウォークマンで聴くのが日常だった。
それは中学、高校時代のことで、小学生の頃は外で野球かサッカーばかりしていたと思う。
学校に行けば誰かがいて、「遊ぼう」と声を掛けて仲間に入る。
そして近くの駄菓子屋で、50円くらいで買えるお菓子を買ってまた遊ぶのだ。
田舎町で田んぼも多かったが、駅前には商店街もあった。
子どもの頃からお使いはよくしていて、食パン一本を2日か3日おきに買いに行かされていた。
両親が共働きだったこともあって、学校から帰るとメモが置いてあって、精肉店で「もも肉をください」とか、「焼き鳥ください」と、他の店でも買い物をしてきた。
自宅から数百メートルの範囲が当時のこみちには全てで、隣町まで行くことは滅多にない。
小学生の高学年になって、未来のサッカー選手を育成するプロジェクトが県主導で立ち上がり、その候補生に応募したこともあった。
あまり上手くはないこみちだが、なぜか合格して喜んだものの、最終的には送り迎えする親の負担が調整できずに辞退した。
中学生になって一気にサッカー熱も失せて、その頃から「絵を描く」ことを始めた。
中学で親しくなった友人が、アニメ好きでイラストを描いていた。
あまりアニメそのものには興味を持たなかったが、友人との出会いで絵が身近になった。
そんな親友も二年生の時に転校し、高校時代は縁遠くなってしまう。
高校に入ると、世界がまた広がった。
こみちの入学した高校には、学校近くに下宿があって、遠方から生徒が親元を離れて暮らしていた。
何度か訪ねたことがあって、彼らはのんびりしていたこみちとは違い、「〇〇大学に行く!」と夢を持っていた。
紆余曲折あってこみちも東京に移り住り故郷を出たのだが、その時代毎に大切な思い出がある。
なぜこんなことを書こうと思ったのか?
きっかけは、YouTube で1980年代の歌謡曲を聞いたから。
当時の映像を観て、もちろん歌手の名前は知っていたが、改めて表情やプロとしてステージで歌う姿を再確認して、気付かされたことも多い。
ひと言で言えば、「プロ」なのだ。
本格的な歌声で聴かせるミュージシャンも可愛いアイドルも、それぞれがそれぞれの立場で「プロ」を演じている。
特に印象的だったのは、歌番組に出演した歌手が歌の寸前まで司会者の質問に応じ、イントロが始まると一瞬で空気まで一変させて「歌手」になる。
さらに、雑談中の表情を見ていると、子どもの頃に気づかなかった人柄にも気づく。
「大人」に見えた芸能人も、みんな一生懸命に役目を果たそうとしていた。
もっと言えば、そこに興味を持ったのは、ある元アイドルが数年間の活動期間に思うような注目を集められなかったというインタビューを知ったことだ。
その芸能人が、「人気が出なかった」と当時を振り返る。
平成、令和のアイドル歌手と昭和のアイドルで差があるかはこみちには分からない。
でも、「その世界で生きる」という覚悟が違っていたのかもしれない。
YouTube が誕生し、素人でも動画コンテンツを作ることができる。
「歌ってみた」というシリーズでは、プロ級の素人を見つけることもできる。
では彼らが「プロ」なのかというと、こみちには分からない。
収益化されて報酬を得ているから「プロ」とも言えるし、既存の世界で生きるという覚悟があるのかで言えば、やはり素人だと言えるからだ。
歌が上手いことがプロではなく、誰かの生き甲斐になれるかがプロだと言うなら、昭和時代の歌手はそれぞれに熱量があった。
カメラの前で歌えることがそうなかっただろうし、そこに行き着くまで歌以外のことを学んだはずだ。
簡単に言えば、たくさん泣いただろうなと思う。
でも本気だからこそ、相手にも本気で、それが芸能界を作っていたのだろう。
日本国内の活気もまた、それぞれの業界で同じことが起こっていた結晶ではないだろうか。
便利になって、生活は快適になった。
でも、熱量は減ってしまった。
「頑張っている」が、どこか昭和時代とは違うのだ。
当時の映像を観て、こみちの悩みはまだまだ悩みではないと気付かされた。
彼らほど真剣に向き合っているとは思えないからだ。
昭和時代を知るみなさんは、令和という時代に何を感じるだろうか。