互いの嫌なところを
昨日、部屋から出て来ないまま午後になって、そのまま放置してもよかったけれど、結局はこみちが昼食を作って声を掛けた。
「チャーハン作ったけど食べる?」
部屋に入ると横になったままスマホをイジっていたようで、声に合わせて身体の向きを変えた。
「食べる」
それだけしか言わなかったけど、もう過去はスルーして運んできた2枚の皿の片方を差し出した。
「あとスープあるから」
「テレビでも見る?」
こみちが答えるよりも先にテレビがついて、画面にまったりした昼下がりの番組が映し出された。
心底から信頼できるとか、愛するに値する人など、そうそういるものではない。
でも補足するなら、妻とはもう何十年と過ごしながらも「別れ」には至らなかった。
結果ではあるが、それが夫婦なのだろう。
今朝も朝食を作り、弁当を作り、それが「大して美味しくない!」と言われたとしても、そこで何か反応したり一歩を踏み出さないことが、夫婦なのだろう。