中高年の再確認 「芽が出る人、出ない人」の差

 「芽が出る」とは何か?

未経験者が一人前になり、さらにその業界でも屈指の実力者になることをいう。

つまり、成長過程の話。

例えば、格闘技というスポーツで、レベル1の選手がレベル10や20の選手と対戦して勝てる可能性はほとんど「0」だろう。

ゲームの話であれば、「ちょっと無理だったかぁ〜」で終わらせられる。

しかし、仕事という場面では、次戦の調整で同じレベル1の選手と組ませる前に、「試合そのものに出るのが早いのではないか?」となってしまう。

レベル1同士が対戦するのだから、確率的には五分五分のはず。

仮に二戦目にレベル1の選手と対戦しても、勝てるのは50%で負けるのも50%だ。

そこでもしも「負け」てしまうと、本当に試合そのものが早いと判断されてしまう。

一方でレベル1の選手が、流石に10や20は無理でも、事情でレベル5の選手と対戦することになったとしよう。

先の例で言えば、負ければ巡り巡って試合に出られるレベルではないと判断されてしまう。

ところが、「芽が出る」人というのは、少し無謀に見える状況でも「勝利」を拾ってくる。

つまり、総合的な分析ではレベルに差があるはずだが、レベル1とレベル5の場合なら実力が近い部分もある。

言い換えれば、得意な分野を持ったレベル1でも、その分野の試合に持ち込めたらレベル5にも勝ってしまうことが起こり得る。

もちろんレベル10まで来てしまうと、もうそんなことは起こらないのだが、適度なレベル差なら「勝ち」をもぎ取って来るのが「芽が出る」人の特徴なのだ。

「勝つ」と「上手い」の違い

「勝つ」とは、「負ける」の反対で、望んでいた結果を手にすることだ。

一方で「上手い」とは、「勝つ」だろうと思わせる期待感である。

先の例を使えば、自分がレベル5の選手で、レベル1の選手に勝てると判断するのは、「レベル」というバロメータで評価されるからだ。

しかし実際に試合をして本当に勝てるのかは、やってみないと誰にも分からない。

事前に勝てると言われる前評判が、意外と大きなプレッシャーになることがある。

レベル差が10も20も違うなら、それでも評価は覆ったりしないが、5くらいの場合、試合中の何かで変わってしまうことがある。

もちろん、「芽が出る」タイプの人は、レベル1にもしっかりと勝つだろうし、レベル1では到底勝てないレベル10にも勝ってしまうことがあるのはレベル5ならではのことだ。

つまり、どんなに「上手い」と言われても、結果を残せない人はいる。

「一気に出世した人」と「上手いのにね」で終わる人の違い

出世できる人は、レベル1、レベル2と一つずつ階段を登るように実力と結果を手にした人だ。

一気に出世した人は、レベル1の時に5の選手を倒し、その後に苦手を克服してさらに長所を磨いてレベル5の選手と完全に互角で渡りあい、もうレベル1ではなくレベル5ではないかと評価を一変させることに成功する。

さらに中にはレベル5でレベル10を、レベル10で30をという具合に、勝ち星を手に入れて行くことで「一気に出世」してしまう。

一気に出世できる人の特徴は、「自身の強み」に過大評価も過小評価もしないこと。

逆に「上手い」で終わりがちな人は、「本番」に弱い。

つまり、ある程度の実力者ではあるのに、強い相手に持っている最大の実力を出し切れなかったり、弱い相手に強みで戦わずに脆く屈してしまう。

「上手いのにね」で終わる人の多くは、ポテンシャルこそあるのに試合という評価される場面で自身の強みをコントロールできない。

それではどんなに上手いなっても、出世することはできない。

自分が「上手いのにね」タイプだと思ったら

先ずは一旦、「実力」を無視することだ。

レベル10まで来たのなら、レベル1の相手ならやすやすとは負けることはない。

だから、少しくらいミスをしたり、上手くことが運ばなくても、順当に試合運びができたら、それで十分に勝つことができる。

そして、手堅く「勝利」を得ることだ。

少し話を脱線させると、こみちは格闘技が好きで、打撃系のボクシング、キックボクシングや、打撃と寝技がある総合格闘技の試合を楽しみにしている。

打撃系の実力者が総合格闘技に移行してハマるミスが「競技の違い」で、端的に言えば「距離の潰し方」だと思う。

打撃のみのボクシングなどでは、ステップワークを活かして、自分が得意な距離で戦うのが求められる。

つまり実力者ほどギリギリの距離感で攻撃と防御が行える。

一方で、総合格闘技になると距離感も二つのパターンがあって、ボクシング同様の選手同士距離感と、選択するべき技の種類がある。

つまり、ボクシングではギリギリ避ければ問題なかった場面で、総合格闘技になると打撃からタックルという技の切り替えが起こる。

そこでボクシング出身の選手は、「ギリギリ」で解決できたことが、タックルによるレスリングへと競技スタイルが変わってしまうことに面食らう。

格闘技の「か」の字も知らない人には伝わらないかもしれないが、これは「芽が出る」という意味でも重要な分析で、総合格闘技に於いて「ギリギリ」が通用しないことがあると気付けるか、捨てられるかがポイントだ。

つまり、総合格闘技の選手が打撃のみの試合に出ると、「ギリギリ」で避けることはできない。

いわゆるクリンチと呼ばれる抱きつき行為になってしまうのは、「ギリギリ」という局面を総合格闘技では遭遇しないからだろう。

「間一髪」の間合いで競う打撃系とは違い、技の種類を使って攻め込む総合格闘技とでは根本的戦い方も、求められる技術も異なる。

少し話を戻すと、ボクシングでは評価されずに、総合格闘技で一気に実力を開花させたとか、その逆も起こり得る。

競技特性を事前に理解していてば別だが、レベル1から始めると自身のどこに才能があるのか分からない。

たまたまボクシングで発揮できる人もいるし、総合格闘技が合っている人もいる。

どちらでも大丈夫な人も、どちらも不向きな人もいる。

出世できる人になるなら、どれだけ自分の強みを客観的に評価できるかで、さらにその実力をどう発揮すれば良いのかを間違わなければ、実力に従って結果もついて来るだろう。

「上手いのになぁ」で終わる人は、特にどう発揮すればいいのかを掘り下げるといいのだろう。