中高年の現実 「二十代の若い者との出会い」

 二十代の若い者

二十歳の若い者に出会ったのは、介護ではないもう一つの仕事でのこと。

製造業の職場なので、高齢化が進んでいた介護施設よりも若い人がたくさんいます。

施設の方は同じ部署で最も若いスタッフが30代でしたが、製造の方が20代も多く、逆に40代以上の人はすべて管理者です。

なので、日ごろ接する多くの人は、男女問わず若者たちで、それこそ介護施設で多かった「老後」や「健康」などの話題も出てきません。

こみちはあまり喋らないのですが、前回の勤務で近くにいた若者から「自転車」の話を振られて、車やバイクの話題へと移っていきました。

きっとこみちの風貌や世代をくみ取り、話題を選んでくれたと思うのですが、それこそ久しぶりに20代の若者と長く話しました。

想像ではイメージできないほど、若い人は有能です。

感覚的に言うなら、こみちが10のスピードなら、彼らは20や30、それ以上で頭が回転しています。

話すスピードも速いですし、話題の変化や展開も異なります。

それこそ高齢者の介護をして感じた印象を、相手の方が感じていると思いました。

その日、総務課に用事があって、帰り際に立ち寄った時には、若い女性スタッフが応対してくれて、もう子どもというよりも「孫」に近いとさえ感じました。

流石にそれは言い過ぎかもしれませんが、それくらい表情や雰囲気が、こみちの知っている若者像とは離れています。

例えばそんな彼らに「将来は…」などと説教じみた話題などできるはずもありませんし、逆に聞かれても返答できません。

中高年になったからこそ、老後に向けて準備をしておくというなら別ですが、若くて何でもできる可能性がある彼らに向けて何を与えられるでしょうか。

仕事場で話した若者も、総務にいた別の若者も、本当にキラキラと輝いて見えますし、きっと彼らには当たり前のことなのでしょうが、こみちから見れば羨ましい限りです。

逆を言えば、「中高年」と呼ばれる世代の立場や目指すべき方向を再確認できたように思います。

だからといって馴れ馴れしく接したりはしませんが、もしもまた話かけてもらえることがあったら、もう少し若者の興味や関心についても聞いてみたいです。