中高年の方なら知っておきたい介護士のポイント
超高齢社会に突入した日本。65歳以上の人が全人口の25%以上を占めています。
つまり、4人に1人は65歳以上。一般的な会社ならリタイヤしている年齢の人なのです。
言い換えれば、「介護」が今後の日本社会にとって重要な役割を担っていることが伺えます。
しかし、気を付けたいのは「介護」をあまりに真正面から捉えてしまうことで、特に介護士として働く場合に得られる報酬に対する労働が過剰になりがちです。
十分に高いとは言えない報酬の介護士だけに、働き方を知っていることが大切です。
今の仕事を時給換算してみると
介護士の仕事は、利用者の生活支援です。しかし、それ以外にもレクリエーションの準備や、書類作成など、意外に仕事は多岐に渡ります。
また、勤務する施設の方針によっては、ある程度のサービス残業を強いられることもあるでしょう。
「朝の忙しい時間帯に30分早出する」といったケースです。
こみちの勤務する施設でも、夜勤帯の休憩時間に連絡無線を携帯するか否かが問題になりました。
「休憩なのだから、一切連絡に応じない」と言う介護士の発言が発端です。
労働基準法に従えば、休憩中は完全なフリーでなければならないと定めています。
つまり、ある介護士の発言は正当なものなのです。
しかし、介護現場では、どうしても業務と休憩の境界線が曖昧で、利用者からのコール対応を誰かが担っているかいないかは大きな問題です。
そこで休憩中でも、コールが鳴ったら対応して欲しいと考えてしまう会社サイドの都合が定着してしまうのでしょう。
特に夜間帯は人手が抑えられます。仮に、休憩時間を完全にフリーにするには、さらに新たな人材を確保しなければいけません。
言い換えれば、介護施設は、それだけギリギリの状態で運営されています。
サービス残業や完全なる休憩など、今後解決しなければいけない問題が残されていて、働く介護士の処遇も施設のさじ加減で変化するのでしょう。
利用者に深入りしない介護士とは?
利用者の生活支援を根本的に解決するには、少なくとも医療機関と家族、さらに利用者自身のヤル気が必要です。
1人の介護士だけで、利用者の生活支援から身体的な回復を望むことは不可能でしょう。
一方で、介護支援のやり方によって、利用者の反応に違いが現れたり、意識の変化が見られることはあります。
できなかった日常動作を見守りだけでできるようになることは十分に介護支援の範疇と言えるでしょう。
そこに介護士がやりがいを感じるのも事実ですが、深入りしてしまうこともあります。
先にも説明しましたが、ある利用者がADLを向上させ、実際に自宅での暮らしに戻れるとは限りません。
そこには、自宅介護を可能にする人的なサポートが見込めるなどの新たな要因が伴ってくるからです。
事実、介護施設の利用者の中に、「なぜリハビリをするの?」と聞いてくる方がいます。
運動機能の向上が期待できると言う教科書的な答えもありますが、仮に良くなったとしても、その人が自宅に戻れる可能性はほとんどありません。
なぜなら、家族の受け入れが期待できないからです。
つまり、介護士と言う立場はある意味で曖昧で、「利用者の安全な暮らしを提供する」ことが介護なのかもしれないほどです。
何かをして欲しいと利用者に言われても、今できることをして、できないことは「できたらいいね!」と話しを聞くのが一番の対処方法かもしれません。
実際、そんな介護士の多い介護施設は、明らかに冷めた介護支援をしているでしょう。
それとは反対で、報酬額を度外視、休日やサービス残業をして利用者のニーズに応えたとしても、自己満足の範疇を超えることは難しいはずです。
良い介護士を貫こうとすると、稼げなくなってしまいます。
逆に稼ぐために介護士になるのなら、基本給以外の手当てにどんなものがあって、例えば夜勤を増やすなどの方法に絞るのも悪くない選択です。
夜勤帯は、利用者のサポートと言うよりも、見守りや排せつ介助など、技術的な介助が多いので、やり方に慣れてしまうと働きやすい環境かもしれません。
言い方を変えると、施設での看護士が行う作業は、医療的なケアや介助がほとんどです。
介護士のように利用者と密に接することは限られます。
しかし、そんな働き方をすることが、報酬を得やすい環境とも言えます。
そこには、専門的な知識を証する資格の存在があるでしょう。
介護士は、介護福祉士であっても、無資格者と明確な違いがありません。そのあたりの待遇面でも、介護士が仕事を頑張っても稼げない要因です。
個人的には、入職して数年は利用者との触れ合いを体験した介護に徹するのが良いでしょう。
利用者の変化や介護士としての成果を肌で感じられるからです。
一方で、介護福祉士になれる3年目を過ぎたら、介護士として稼ぐこと方法を考えていきましょう。
そのためにも、未経験からの下積み期間の過ごし方が大切です。
知識と技術をしっかり学び、上手な人に手ほどきを受けられる環境が施設探しのポイントになってきます。
フレンドリーで和気あいあいの介護施設は、働くうえで楽しいかもしれませんが、次の展開を考えると不安な面もあります。
もっとも、同じ施設で長く勤めるつもりならば、そんな選び方も否定されるべきではないでしょう。
そのあたりの計画を、入職前に考えておくと介護士を選んでも後悔しません。