良いケアマネと悪いケアマネ

介護支援専門員とも呼ばれる介護職の憧れ!?


介護現場では、ケアマネと略称で呼ばれることが多いのですが、ケアマネジャー又は介護支援専門員と呼ぶのが正式です。

2000年に介護保険制度が誕生した頃、介護は医療から分離する形で独立しました。

その意味では、介護士を始めとした各役職も今とは随分と異なっています。

その1つが、ケアマネになるまでの期間ではないでしょうか?

介護未経験者にとっては、介護がどのような役割を担っていて、介護士が日常業務でどのようなことをしているのかも明確ではないでしょう。

さらに言えば、介護プランと言う計画書があり、それをケアマネが作成しているとなれば、ケアマネと言う役職が介護専門家と思うのも当然です。

そんなケアマネ、受験するには何より実務経験が必要になります。しかもその年数は「5年」。

中高年の方であれば、いくつになったら受験できるのだろうと思うことでしょう。しかも、以前は介護職として5年以上の勤務で良かった条件が、介護福祉士になってから5年以上に改められました。

つまり、介護未経験者は、最低でも8年以上の実務経験がないとケアマネとして働くことはできません。

40歳でも48歳。8年以上という条件は思いの外長い期間です。

なぜ、そんなにもケアマネになるまでに長い期間が必要なのでしょうか。

思うに、キャリアパスというスキルを向上させることが重視される介護業界では、ケアマネはある意味で「ゴール」とされる職種だからでしょう。

ケアマネを持っている人や持っていた人と聞けば、介護のいろいろなことを熟知していると誰もが思うからです。

しかし、こみちの周りにいる人の多くは、ケアマネ資格を持っていても、ケアマネとして働いていない人も少なくありません。

その理由の多くは、「大変だから」ということでした。

実際、夜勤をしている介護士に比べて、ケアマネの報酬は少なくなることが多いようです。

つまり、ケアマネだから高額報酬を得られるということではありません。

また、ケアマネになるのは、介護士上がりだけでなく、看護師からも大勢います。

その時に、介護士上がりは介護現場は知っているつもりでも、医療分野には弱いケアマネになっていまう可能性も少なくないのです。

利用者の何を見てケアプランを作成するのか?


ある意味では、ケアマネは情報を集めて判断することが重視される仕事です。

コミュニケーション能力が低ければ、十分な情報を集められないでしょうし、介護を超えた幅広い分野に知識を持っていなければ、他職種とのやり取りもできません。

つまり、看護師とも知識で張り合え、機能訓練士にもリハビリの方法や効果を話し合えるというには、かなり重い負担でしょう。

知識がなければ、相手の言うことを否定することができません。

「そんなことも知らないの?」「常識だよ!」

そう言われて、別の方針を認めてもらうことが実際のケアマネにできるでしょうか?

そもそもケアプランとは何か?

ケアプランは、個々の利用者が幅広い介護サービスを適切に利用するための方針です。

ある利用者は、足腰が悪くなったことで、買い物などをするのが困難になり、宅配サービスを利用したいと考えました。

あるケアマネに相談して、週3回の宅配サービスの他に、週2回のデイサービスにも通うことにしました。

たとえ、足腰の不自由さをベースに考え、日常生活の不便さを宅配サービスで賄います。

さらに、デイサービスに行くことで社会生活が充実し、同年代とのコミュニケーションにも積極性の向上を期待したとしましょう。

方針は悪くありませんが、どのようなスタイルで活動しているデイサービス何でしょうか?

規律を重んじるあまり、余計なことを一切認めない厳しい施設では、せっかくのデイサービスも楽しめません。

また、フレンドリーを誤解して、馴れ馴れしく接する介護士が多いデイサービスでも、不快な気分になりそうです。

つまり、ケアマネがどんなに緻密なプランを作っても、それを理解し実行できる介護施設がなければ、「絵に書いた餅」になってしまいます。

ケアマネ1人で補える限界も考慮しなければいけません。

良いケアマネと悪くケアマネの違い


ケアマネと言っても、ある介護施設内で介護士として働きながらケアマネとしても働いている人がいます。

ケアプランと実際の現場を確認できるのがポイントです。

それでも、介護施設は年中無休で動いているので、自身が担当できるのはせいぜい全体の3割から4割に過ぎません。

残りは、一緒に働く介護士をどう育成するかに掛かっています。

月に数回の夜勤をこなす介護士よりも、ケアマネだけでは稼げない現実。

ケアマネは、介護士としても働きながら、さらに現場を監督し、利用者家族とも向き合わなければいけません。

ところが、報酬は介護士として勤務する以上に割が悪いとなれば、ケアマネになっても担当を持たなくなってしまうのです。

こみちの周りにいる元や現職のケアマネが、「大変だ!」と言うのも無理はないでしょう。

そもそも、ケアマネが作るケアプランをAIで作れないのか?


こみちが思うのは、ケアマネはケアプランを作成することを担うのを止め、AIを活用することです。

条件をインプットすれば、どんなプランがいくらでできるのか判断するのはAIの得意分野だからです。

しかも、ビックデータとして、各介護施設の特色をポイント制にし、その評価によってふる振り分けを行います。

知識としての介護福祉士と介護技術を持った資格などを加え、現場の介護力をポイント化するのです。

時には、施設内に設置されたカメラ映像を元に、介護力を測るシステムを開発しても面白いでしょう。

どれだけの人数が、どれ仕事を効率的に行っているのか判断していくのです。

一見すると、見られて嫌に思うかも知れませんが、介護はリスクとも隣り合せであり、介護士たちは予測不可能なアクシデントにも遭遇します。

そんな時に、このアクシデントはどれだけの過失があったのか判断されれば、現場で働く介護士にとっては安心できるでしょう。

また、しっかりと働いている介護士には、それに見合った報酬を出すなど、介護現場の活性化につながります。

そんな時代になった時、ケアマネの役割は大きく変化し、特に現場の介護士たちを指導することになるでしょう。

利用者の様子に応じた介護支援の方法を、それぞれの介護士に合わせてレクチャーできれば、介護施設はもちろん、介護業界が生きてきます。

間違えても、勤務年数だけで役職を与え、その人たちのために制度を合わせてはいけません。

介護経験は、確かにある価値を持っていますが、人をどこまで理解できるかは、心理学や医療的知識、その他、これまでの人生経験が不可欠だからです。

その意味では、介護現場だけを知っていても、様々な人生を生きた利用者を本質的に理解することは難しいはずです。

そこに行き着くまでに、何をどのようにして来たのかが伴ってこそ、利用者のニーズを聞き出し、計画書に反映させられると思うからです。

そう考えると、良いケアマネも悪いケアマネもありません。

結局は利用者やその家族にとって、計画書が意味を成したかどうかに尽きるからです。

「もっと別の方法を教えてくれたら、違っていたのに」

別のケアマネに代わって、分かることもあるでしょう。

悪気はないにしても、ケアマネだって人です。知らないことも有れば、知っていても決断できないこともあります。