嫁からの話で
何となく、「家族会議」を避けて来たように思う。
と言うのも、それぞれの考え方が話し合いで変えられないと知っているからだ。
何がどう決まろうと、父親は「自分の価値観」を変えることはしない。
それを尊重し頑張ろうとする母親は、こみちたちをどこかで頼りにしている。
すべてをそのままで受け入れられないから、「こんな風にできないか?」とこみちたちから意見を出しても、全く変えてくれないのが「叔母の件」で理解できた。
「「叔母の件」があったのだから、それを機に変わっていこう」と話したのもいつのことか。
嫁は本当に良い人だと思う。
あまり自分から自己主張しないけれど、「良いですか?」と家族全員に話出したのは相当の覚悟があったからだろう。
しかし、父親はテレビを見たまま何も言わない。
母親は「大変ね」と言うが、それが自分自身へと話だと理解していない。
妻が途中で、こみちをチラ見して、話が尻切れになってしまった。
「ごめん。もっとはっきり言わないと伝わらないよ」
こみちが妻の選んだ言葉を、さらにもう一段階強い言葉で言い換えて話す。
それでも父親はテレビを見て何も言わない。
母親も、妻の時と同じで「大変ね」と言う。
実はもうこみち自身、家族会議をするつもりはなかった。
それぞれが「悔い無く生きる」しかできないから。
あと5年もして、父親もテレビを見ていられない身体になったら、施設に入ってもらう。
事実、「その覚悟さえしてくれたら、何をしてもいい」と言った。
父親たちの家の片付けを二人がいなくなたら、こみちたちがすることになる。
体力も金銭的にも負担が出るだろう。
でもそれを言ったところで、両親が「備える」わけではない。
アレしてコレしてと言ったこともあるが、何もしないで今まで生きて来た。
別にこみちが良い人と言うことではない。
むしろ、自分も同じ部類だから諦めている。
ただ、両親のことやこみちのことで心配させてしまっている妻には申し訳ない気持ちだ。
だからこそ、悔い無く生きなければ。