「信用」を担保する難しさを感じる時

 「雇用」を辞めて感じる「信用」の重要性

会社に勤めている時は、個人事業主や社長になると「自由」が増えると想像します。

一方で実際に会社を辞めて思うのは、「信用」という言葉の大切さです。

例えば、社内でしている仕事は、ほぼ100%の確率で報酬に換算されます。

つまり、給料が支払われるということ。

当たり前に感じるかも知れませんが、個人事業主などになるとこれが当たり前ではなくなります。

まず、今月受注できた仕事を来月に納品できたとしましょう。

依頼した会社は納品書と納品物を検査し、依頼通りに納品されたと判断します。

頃合いを見て、個人事業主の方から「問題は無いかったですか?」と問い合わせ、今度は代金を回収するために「請求書」の送付となります。

法的には、納品物を納めることで「代金を請求する権利」が得られたという状態になります。

一方で、納品された会社は、請求に応じる義務が生じるということです。

ポイントは、納品=支払いではないこと。

意外に感じるかも知れませんが、契約を交わすことで債務が発生し、納品で対価を受ける権利を得るという流れです。

つまり、個人事業主をして最も重要なことが「代金の回収」でしょう。

なぜなら納品しても、それだけで支払いが始まる訳ではありませんし、請求書を出しても実際に代金が支払われるのは納品した会社の締日、支払い日に合わせることが一般的だからです。

「翌月払い」や「翌々月払い」ということも多く、納品して数ヶ月後に代金が振り込まれるということも珍しくありません。

それでも代金を100%支払ってくれれば良いのですが、中には資金繰りが厳しくて「値引き」を持ち掛けられることも無いとはいえません。

なぜなら、個人事業主の多くは一人で何もかもします。

値引き交渉で、時間を取られるのは嬉しいことではありません。

ダラダラと時間を消費し、支払ってくれない相手と交渉するよりも、新たに信用できる相手と取引した方が得な場合もあります。

「約束通り支払ってくれる」ということは、思いの外、簡単なことでは無いのです。

時給1000円の仕事

例えば、アルバイトで時給1000円という仕事が募集されていたとしましょう。

個人事業主の価格としては、3倍の3000円が見込めるかがポイントです。

つまり、アルバイトで10万円稼ぐことは、個人事業主なら30万円稼ぐことができるという意味です。

しかし、先に紹介したように、100%の売掛金(支払いを請求できる代金)が回収できるとは限りません。

一部は諦めたり、法的な手段に進むか考えたりもしなければいけません。

つまり、30万円という金額は、全て回収できた時に見込める最大値という認識です。

また、個人事業主には「有給休暇」もありませんし、「臨時ボーナス」も出ません。

全て自分の働き次第ということになります。

仕事が少なくなれば当然収益は下がりますし、忙しい時はトイレや食事の時間も惜しいほど、フル稼働して間に合わせるしかありません。

組織が大きくなると、作業を分担化でき、例えば事務仕事と現場作業を分割できるだけでも、仕事は随分とやり易くなるでしょう。

さらに、原材料の仕入れが絡む職種なら、先の納品と逆の立場になりますが、納品時に代金の支払いが条件という強気な相手もいたりして、「現金主義」で動く世界でもあります。

つまり、ライターやイラストレーターのような自身で何かして納める職種はまだ良いですが、飲食店などになると店舗の家賃まで必要になり、見通しが立たない中で売上を確保するのは簡単ではありません。

こみちが昔、勤務していた会社を辞めることにして、自分で仕事を受けることにした時、勤務していた会社の方針で取引先は「株式会社」に限ると定めていたことを知りました。

ただ、元従業員という関係もあり、仕事を振ってもらってしましたが、個人事業主という立場では「信用」が得られないと判断されることも無いとは言えません。

個人事業主と法人化の境界線は、税制的には利益が1000万円を超えるか否か。

しかし、仕事をしていくなら、法人化して信用を失うということは考え難いでしょう。

会社員なら日々の仕事を考えていれば良いのですが、個人事業主や会社を作ると、常に「信用」というプレッシャーの中で動くことになります。

取引先からゴルフのお誘いがあったら、どうしますか?

「興味がないのでお断りします!」と言えないのも実情で、それこそ会社員は「社長はゴルフだってよ」と思うかもしれませんが、会社経営という意味ではそれも仕事に含まれます。

コロナにウクライナ情勢、タイミングとして個人事業主として動き出すには必ずしも追い風とはいかないでしょう。