あえてトラブルについては具体的なことを何も書きません。
この事件を知ったのは、YouTube の「おすすめ」に出ていたからです。
介護の仕事をしていたので、様々な理由や原因から、思うようにできないという方々に関心がない訳ではありません。
最も身近な父親ですが、もしも施設の利用者の一人として出会っていたなら、全く問題ない業務だったでしょう。
ポイントは、「これくらいできるでしょう!」と他人が判断する難しさです。
公的な介護サービスの場合、利用者は必ず介護認定と呼ばれる「介護レベル」を調べられます。
介護認定を受けたからと言って、すぐに利用者になれる訳ではなく、逆を言えば利用したい人は介護認定を受けなければいけないという話です。
つまり、今は何か直面した不自由さはなくても、それが家族などの支えによるものであった場合、時に何か状況が変化して援助出来なくなるということもあり得ます。
そうなった時に、介護認定を取っているかいないかは大きな問題なのです。
父親場合は、申し訳をしたにも関わらず、勝手にキャンセルしてきました。
そして、そのまま自宅で3度の食事を家族が用意し、テレビを見て過ごしています。
「認定取らないなら、働いてくれない?」
家族の正直な気持ちです。
父親が一日中家にいることで、様々な制約が生まれ、家族に負担となっています。
そのことを家族会議で話したこともありますが、父親は最終的に理解できません。
次の日になると、全く覚えていないと言い出すからです。
「昨日の話だよ!?」
最初は驚きましたが、施設で関わってきた認知症の方々とは異なり、家族が見る「老い」とはこんなリアクションになります。
「お父さんはどうやって生きていくの?」
「働く」
「どこで?」
「前の職場」
「そこまでどうやって行くの?」
「馬鹿にするなぁ!」
と怒りますが、もう100メートルさえ歩けないレベルです。
おまけにリハビリの重要性をどんなに時間を掛けて説明しても、「忘れた」で振り出しです。
嘘だと思いたいですが、それが父親の実情です。
でも本人はまだまだ若いと思っていて、みんなとも対等です。
仕事で疲れて帰っても、テレビの前で居眠り中で、ようやくコーヒーでも飲んでいたなら「お父さんも飲もうかなぁ」と言い出します。
どうやって家族が稼ぎ、この家を回しているのか、どうも理解していないのか、考えたくないようです。
正直、こみちは父親との関係で頭がおかしくなりました。
もしも、父親と二人暮らしなら、将来を悲観したかもしれません。
施設に入ってくれるなら、入って欲しい。
そうでないと、こみち自身が壊れてしまうでしょう。
「介護疲れ」を発端としたニュースがあります。
何も知らない人には、どうにかなっただろうと思われるでしょう。
でも、解決策の大半が選択できなくなり、わずかに残された選択肢さえ、介護する家族はギリギリで毎日を乗り越えていたりします。
その意味では、助けに入る行政や地域の住民の初動次第では、問題をさらに悪化させることも珍しくありません。
だからと言って、放って置いては本人だけでなく、支える家族も潰れてしまいます。
それだけに、YouTube でたまたま見た動画は、ため息しか出ませんでした。
妻にも簡単に話を振ったのですが、周りの人がその状況を汲み取るのは難しいし、残念だけれど酷ではないかと。
これは、「ある事件」に対しての意見ではなく、悩みを抱える家族の問題を、近隣住民が察することができるのかに対して。
「おはようございます」とあいさつされれば、やはり元気そうだと思うでしょう。
まさか、その家庭で深刻な悩みがあるなんて思いもしません。
一方で、その事件を知った時、父親に対するアドバイスにも感じました。
「本人だって好きでしないんじゃない」
一見するとわがままや自分勝手に思う行動も、その背景が異なれば判断結果も別物になるでしょう。
思えば、昔から父親は厄介ごと嫌う人でした。
面倒だからと思っていましたが、例えば、物事が複雑になった時に、その状況を理解できないとどうなるでしょうか。
つまり、「嫌う」ではなく、「どうしていいのか分からない」のです。
誰かが横に付いて、「こっちとこっちとどっちがいい?」と順番に確認していけば、解決できるかもしれませんが、それこそ「明日までに結論出して!」では「言ったよね!?」となるのです。
諦めるのではなく、その人の状況を理解しようとすることが大切です。
現実的には、「なんでいつも楽ばかりしているの?」と思ってしまいますが、ここ数ヶ月の間で、父親という人間を今まで以上に観察し、分析し、様々な事例と照らして理解しようと頑張っているところです。
「老いてしまうのは仕方ない」という考え方は、施設では常識だったのかもしれませんが、家族として自宅で関わる時には、「なぜ老いてしまうのか?」さえも簡単に飲み込むことができません。
みなさんはいかがでしょうか。