国家資格「介護福祉士」のポテンシャル
「介護福祉士」の資格を取得するには、国家試験に合格するだけでなく、例えば現場で働き始めた人なら、トータルで3年以上の在籍期間と出勤日数として540日以上の勤務が求められます。
つまり、多くの人は介護施設で試験日を含む期間も調整して受験することになり、例えば試験前日が夜勤明けで、翌日に試験ということもあり得ます。
その意味では万全の準備で当日を迎えられるとは限らないために、通常の試験にはない苦労もあります。
一方で、一般的に同じくらいの難易度とされる資格としては、電気工事士第2種や危険物取扱者乙四などで、未経験者から取得することが多いでしょう。
資格としての位置付けは、「未経験者からのステップアップ」ということになります。
例えば、介護施設で働くような場合、「介護福祉士」の資格がどのような形で表れるでしょうか。
「介護福祉士」という資格は、それが無いとできない業務がある「業務独占資格(医師や弁護士など)」とは異なり、「名称独占(介護福祉士ですと言える)」に過ぎません。
しかし、施設などでは給料の区分として、独自に資格手当てなどを支給している場合もあります。
常勤スタッフの場合、月額で1万円くらい資格手当てが支給されたりするそうですが、パートスタッフになるとさらに上限が厳しく、時給10円とか30円アップとか、勤務回数にも左右されますが月額換算で5000円アップするくらいでしょうか。
もらえないよりはもらえた方が嬉しいので、介護福祉士になって昇給できるのはポイントです。
しかしながら、実務者研修の受講や介護福祉士試験のテキスト、受験代などを含めると、約10万円は用意したいところなので、その手間があるのか検討しなければいけません。
介護施設で働く人の中でも、介護福祉士試験を受けない人の中にはメリットが少ないことを理由にされる方もいます。
「介護福祉士」を別の方法で活かすために
「介護福祉士」という資格は、ケアマネの受験資格の要件となる「資格取得後5年以上」に関わります。
つまり、介護施設で働くスタイルから、利用者と施設、介護サービスを結ぶ担い手として働く「ケアマネ」になりたいなら、介護福祉士の資格が有効です。
単純にケアマネになるだけなら、看護師など別の資格でも十分ですが、介護福祉士になってどんな未来像が描けるのかという意味では、「ケアマネ」になるなら「介護福祉士」は必須です。
もう一つは、「講師」や「教師」という方向です。
ここでいう教師等は、福祉系の学校で介護士として働きたい人に指導する仕事を言います。
ただ、ケアマネもそうですが、介護福祉士になってから5年以上というような条件があるので、それこそ介護福祉士試験に合格してすぐに進路が開かれる訳ではありません。
その意味では、中高年の方が未経験から介護施設で働き始めて、「介護福祉士」になったとしても、年数が必要になります。
「介護福祉士」資格にプラスする
介護福祉士でなくても可能ですが、第二種自動車免許をプラスして介護タクシーや高齢者向けのバスなど運転手として活躍するのはどうでしょうか。
また、介護施設の入所先を決めるのは意外と大変で、例えば地域包括支援センターのような機関と連携し、条件に合った施設探しのお手伝いをする介護系営業マンという働き方もあります。
さらに、介護福祉士の資格を取得すると、その資格には福祉用具のアドバイスも行うことができるので、大手ショッピングセンターなどに設けられた福祉用具の売り場で、まだ公的介護サービスを受けていない一般層向けに介護相談やアドバイスなどを行いながら、介護に関わる働き方もできます。
意外とパートタイムで勤務するような場合には、介護施設で働くよりも待遇が良かったりもします。
最後におすすめなのが、「介護系ライター」でしょう。
いわゆる介護施設の種類や役割のような一般知識ではなく、現場経験を経たからこその情報や知識を伝える人として活躍するのです。
介護福祉士に上書きするなら
実際に介護施設で働いて思うのは、介護福祉士よりも、看護師、理学療法士、作業療法士の方が長く安定して稼ぐことができます。
ただ、これらの資格を取得するには、3年以上の専門教育機関で学ぶ必要があり、その学費としてざっと300万円以上必要です。
また、その間の生活費まで見据えれば、500万円、600万円くらいは準備しなければいけません。
中高年の方の場合、その費用分を今後の報酬で回収できるのかと試算すると、定年まで10年を残したいので、余裕をみて40代までにそれらの資格を取得したいところです。
同じ中高年でも40歳なら狙えますが、50歳に近くなっていたり、50代以降ならメリットは少ないでしょう。