叔母の施設入所が当日に迫り
父親がふと「アイツも施設だってさ」と言い出した。
その言い方がやはり変で、急に老けたというか、認知とか脳の血管性とか、本当に早急に診察してもらわないと思わせるほど心配になる口調だ。
元々性格的に甘えん坊だから、昔から母親に甘えたがるところがある。
また、構ってちゃんでもあるから、責任あることは嫌がるけど、例えば家族でクリスマスを祝う時にケーキを切ったら真っ先に食べ始めるようなタイプだ。
父親の日常をもう少し観察し、介護認定の区分の一般的な状態に照らして判断すると、おおむね要支援1または2、話している様子を見ると要介護1くらいだろう。
まだトイレの床にオシッコを漏らすことも増えたけれど、とりあえず一人でズボンの着脱はできている。
でも、確実に在宅介護になってきているから、叔母の次は父親のことを考えないといけない。
物忘れ外来
「物忘れ外来」とは、普段の生活でちょっとおかしいと感じた高齢者が認知症を疑う時に訪れる診療所のことだ。
こみちの近所にも大学病院をはじめとする総合病院の他、個人経営しているクリニックなどでも「物忘れ外来」はあったりする。
父親に「物忘れ外来」の話を振ってみると、即座に拒絶という話ではなかった。
ただその後の具体的な話を母親に頼み、後からその反応を聞き出そうとすると、「忙しくて行けない」を繰り返す。
「お母さんの予定は良いんだよ。それで何て言っていた?」と話を戻そうとするのだが、「金曜日は仕事もあって一日、動きっぱなし」と自身のスケジュールを繰り返すのだ。
これは憶測レベルの話だが、叔母の施設入所の話題が出たことで、父親に変化が生じた。
叔母の様々な問題が原因で苦労やストレスが大きかったとも言える。
一方で、こんな考え方もある。それが、身内に迫った「老い」から自身の今後を覚悟するというものだ。
つまり、兄弟や配偶者の「老化」を目の当たりにして、機能的には問題などないのに一気に老け込んでしまうというケースだ。
そしてそれは父親を経由して母親にも起こっている。
叔母があまりに強烈だったから父親の異変は目立っていなかった。
しかし、叔母が今度施設に入り落ち着けば、父親の異変に対応することになり、きっと父親の目処がつく頃には母親もということになるだろう。
もちろん、こみちにも別の形で起きていて、将来に対する希望や目標を考える意味で、随分と方向転換している。
「物忘れ外来」という言葉は、ある意味親しみやすさもあって、認知症を早期発見することを目的としている。
というのも、「物忘れ」は思い違いや勘違いなど、年齢を問わず誰にだって起こり得るミスにすぎない。
一方の「認知症」は、アルツハイマー型や脳血管性認知症など、脳細胞や神経、血管などに何らかのトラブルを抱えている。
その意味では、偶然のミスというよりも必然的に起こるミスとも言える。
なぜ、お風呂の沸かし方が分からなくなったのか。
何かに気を取られて不意に物忘れしたという話なら、次回は落ち着いて対応すればいい。
しかし、「お風呂とは何か?」のような以前なら問題なく認知できていたいたことが根本的に認識できなくなっているのなら、認知症の初期症状かもしれない。
その意味では、大きく環境の変化で起こるとされる「せん妄」のような症状が父親に起こっているのなら、叔母の件が落ち着けば次第に以前のような生活に戻るだろう。
しかし、そう思い込んでいる間に、例えば父親の脳に変化が起こっているのだとしたら、それこそ注意が必然だ。
ただ、実際近所の診療所を調べてみると、コロナ対策の一環で、「物忘れ外来」の初回診察を中止しているところもある。
また、特定の曜日で行っていた場合では、午前中だけ、午後だけというように時間制限が設けられ、また予約が取りづらくなっていたりする。
父親の仕事
このままでは叔母のようになってしまう。
そんな焦りもあって、父親の内職を探していた。
不思議なもので、母親にどんなに説明しても、「お父さんはしない」という。
その判断は別に否定されるものではないが、こみちが内職を勧める理由や目的を理解してくれない。
つまり、認知症のような傾向は、一日中テレビを観てあとは寝ているだけの生活を改善したいからだ。
内職で月に10万円を目標にしている訳ではない。
でも具体的な金額を掲げると、今度は父親が自身の仕事量をコントロールするから、まだ今は金額には触れていない。
そんな中、なぜか母親は父親が内職をしたり、それこそ物忘れ外来も同じだが、否定的な反応を示す。
でも、叔母の件わかっているが、最後は「私たちはもう年老いているから若い人たちにお任せするしかない」と言い出し、どこかに行くというだけでなく、その処理や手間まで一切の労力やコストを負担させる。
そもそも、叔母の件で父親が対応することになっていた。
相手との交渉も手続きや費用面もそうだ。
それが、急に感情的に怒り出し、相手との連絡を一方的に遮断したことで、こみちに回ってきた。
それは手続きやとか窓口的なことではなく、なぜか支払う面も負担する話になり、ゆくゆくは父親たちにも負担できないかとお願いする関係に変わっている。
そんなバカなと思う人もいるだろう。またこみちが甘いとか騙されていると思うかもしれない。
しかし、実際の父親と話したら分かるが、そもそも何を話しているのかどこまで理解しているのかも怪しい。
もう内職のような決められた作業を繰り返すことが大きな負担になっていて、それこそ一日中何のストレスもかけない状態で過ごすことしかできなくなっている。
廃用症候群という言葉があるが、ひと月、半年とこの生活を続ければ、それこそ認知症を誘発しているようなものだ。
でも1週間前なら内職もという考えもあった。
しかし、母親にしても何か変化があるし、父親の内職をバックアップすることも負担になっている。
家族それぞれが精神的にも疲弊していて、ジリジリと弱っているような印象だ。
こみちの仕事
正直なところ、一日5000円でも稼げれば十分だ。
月に換算して15万円。
中高年の月収としてはかなり心もとない金額だが、家族のことや自身の健康、継続できる仕事と考えたら、控えめ過ぎることはない。
割と時給のいい仕事なら半日で稼げる金額だし、低単価の内職では厳しいが、ちょっとした請負を始めると割とクリア出来そうな設定でもある。
ただ介護で稼ぐとなると、週4〜5日のペースになるので、意外と妥当な金額に見えてしまう。
そう考えると、介護ってやはり仕事もそうだが、稼ぐのが難しい仕事だと言える。
夜勤一回2万円とか3万円と言うけれど、実質2日分の報酬なので、1日あたりhs1万円で、しかも夜間の割増を含んでいるから、かなり微妙な設定だろう。