いきなり出た「父親の本音」
認知症状が疑われる父親は、相変わらずテレビの番をしています。
叔母の施設入所は済みましたが、まだそれまで住んでいた住宅の明け渡しが終わっていません。
30年以上も一人で住み、最終的には認知症状があって生活が難しくなった叔母ですから、家の中がどんな風になっているかは想像できるでしょう。
中高年の方々に宅建士の資格をおすすめしていますが、不動産の賃貸契約ができるのもこの宅建士という有資格者の仕事で、それは原状回復など不動産の価値に見合った社会通念を維持するためです。
例えば、どんなに丁寧に使っていても、モノは30年も経過するとそれなりに壊れたりするものです。
家で言えば、建て付けが悪くなったり、角のぶつけたキズができたり、畳が黄ばんでほころんでしまうこともあります。
では住宅を引き渡す時に行う「原状回復」とは、経年劣化を含めた社会通念上の回復を意味するのもで、むしろ入居中に生じた故障等は適切な家賃を請求する際の「瑕疵」に当たります。
「瑕疵」とは、困難を意味しますが、正常に使う際に水道がでないことや水漏れしているなど、修繕費は家賃に含まれているからです。
当然ですが、故意に、又は過失から壊したような場合には、借り主が代金を支払うことになります。
叔母の場合も、本来は無かった家具や生活道具について、引き渡しの際には撤去しなければいけません。
又原状回復の意味でも、クロスの張り替えや畳の入れ替えなど、実際には貸し主や仲介に入る不動産屋との話し合いになるでしょう。
その意味では、それなりに引き渡し向けた話し合いが必要で、「あとは知りません」とはいかないのも事実です。
ところが、父親はもうその不動産の一件を覚えていません。
正確には自分には関係ないと思っているようで、誰かが代わりに対応していることも忘れています。
認定調査は受けない!?
昨日、とても怒った様子で「認定調査は断る!」と言い出しました。
その理由は聞き取りできてしませんが、「俺はまだ老いていない」と話していたことがあるので、認定調査を受けることが老いた人に感じるのかもしれません。
しかし、父親の収入源は年金だけです。
それこそ預貯金も十分にあるとは思えません。
当然ですが、今後介護が本格的に必要となった時に、介護施設入所するにしてもそれなりの収入がないと、又は扶養する家族が支援しないと父親は公的サービスを受けることも叶いません。
認定調査を受けずに、今のようにテレビを観て過ごせば、介護状態になった時に大きな負担が迫るのは家族です。
叔母の件でさえ100万円の負担があるのですから、父親の身辺の解決するとなるとそれ以上のコストが必要です。
それこそ葬式やお墓のことなど、将来的に誰が管理するのかまで考えると全ての費用を家族から負担させるのは容易ではありません。
認知症状というと…
介護の分野では、中核症状や周辺症状というような説明があります。
しかし、実際の家庭では、物忘れなど大きな問題ではなく、状況判断が低下したことで起こるトラブルを解決できないまま拗らせてしまう所に問題はあります。
父親のケースで言うと、欲しくもない商品を電話して注文したり、契約書の内容を読み、理解したりと、後から知らされる家族にすれば寝耳に水で、「何それ? どうなっているの?」といきなり慌ただしく自分のスケジュールをそっちのけで、対応しなければいけません。
しかも対応している事実や状況を理解できないので、いつも通り父親の場合はテレビをを見ています。
成長過程の乳幼児が家の中をぐちゃぐちゃにする煩わしさとは異なり、大人の場合は多くが「お金」に関わるトラブルを含みます。
母親などは、父親が夫婦の洗い物をしてくれたと庇うのですが、それ以外の部分を支える家族の立場になると、父親はすでに在宅介護状態で、それこそ介護認定を受けて週に何度かはリハビリ型の介護サービスを受けたりして健康回復を目指して欲しいと願うのです。
今、母親が脊髄の圧迫骨折を患っていて、数ヶ月前よりも格段に不自由な生活が迫っています。
そんな中で「母親のことを助けてあげてね!」と言った時に、父親はとても気に無い表情で黙りしていました。
稼いでもいない。家事もほとんどしていない。
でもご飯は誰かが作ってくれて温かいものが食べられている。
しかし、「風呂を洗っているのは自分だ!」と何か一つでもしたことがあると父親はずっとそのことを覚えているみたいで、母親が痛そうにゴミ出ししていても、そこを助けることはできません。
ご飯を食べたらいつも観ているテレビ番組があって、それを見逃したく無いからです。
でも、「観たいから後でする」と説明できれば良いのですが、そんな時も黙りで、自分の負担を軽くすることが優先されるのはもう昔からずっと変わりません。
こみち自身のこと
外で介護士として働く以上に家族の介護は負担です。
感覚的には10倍とか100倍と言っても言い過ぎではないでしょう。
自分を保つためにも壊さないためにも、施設を積極的に利用するべきだと思います。
お金の心配、家族が倒れないかの心配、父親の介護の心配、叔母の件の心配。
いつもそれが気持ちの中に横たわり、でもこみち自身は今以上に前に進んでいかないといけません。
現状維持では、それこそ自分自身が介護を必要とする時に、父親と同じようになり、家族に迷惑をかけるからです。