独居高齢者の割合
2015年の統計によると65歳以上の高齢者は全国に約3300万人が暮らしています。
さらに、その内の約17%に相当する人が独居する高齢者です。
つまり、全人口の20人に1人くらいの割合で、65歳以上の高齢者が生活している計算です。
ちなみに、65歳以上で介護施設等入所される方は高齢者20人に対して1人という割合(全人口に対しては60人に1人)で、残りの19人は自宅に介護ヘルパーが訪れているかもしれませんが、在宅での生活を続けています。
とはいえ、核家族化が進む日本国内を考えると、65歳になって以降、どのように生きていくのか考えなければいけません。
既婚未婚に関わらず、どこかのタイミングで独居となる可能性は高く、老後の心配は尽きません。
考えるべきポイント
目安として、介護施設にも種類やグレードが設けられていますが、原則として月額10万円から20万円を用意できるなら、日常生活の大半を施設のサービスで賄うことが可能です。
具体的には、24時間365日、雨風のしのげる温かい施設内で、3度の食事と週に2度の入浴が確保できます。
施設によっては「看取りケア」と呼ばれるサービスを使い、人生の最期まで安心して施設が支援してくれます。
とはいえ、問題が全くないのかというと、施設によって、担当する介護スタッフによって、心地よい穏やかな生活はどうしても変わってくるでしょう。
介護保険制度が導入されたことで、施設を利用する高齢者を1人の客として扱い、「〇〇様」というような接遇が浸透していますが、中には今でも「おじいちゃん」「おばあちゃん」や「〇〇ちゃん」のような呼称を使うスタッフもいます。
呼び方そのものではなく、スタッフと利用者との立場が問題で、仮に親しみある呼び方でも敬う気持ちがあればいいのですが、スタッフの教育が不十分な施設では「してあげている」という感覚も残っています。
スタッフ自身にそんな気持ちが残ってしまうのは、介護士という仕事と異業種との社会的な評価を知ることがいいでしょう。
と言うのも、例えば介護スタッフとして施設に就職すると、常勤スタッフ又はパートスタッフを選択することになります。
常勤スタッフとは、正社員のことで、施設によっても多少の差はありますが、原則日勤帯だけでなく、早朝や遅番、夜勤全ての時間帯にシフト勤務します。
また、休日は4週あたり7日とか8日が多く、週休2日のように思いますが、正月やお盆、ゴールデンウィークなども特にないので、一年中その休日が適用されます。
特に台風などの影響で出勤が困難になる場合でも、一般的な会社のように全社一斉休暇というようなことは難しく、実際、前の日に来て別室で寝泊まりし、勤務日、さらに翌日まで過ごしたというスタッフもいるほどです。
そこまで頑張っての年収が、年二回の賞与込みで300万円だとしたら、月給が約20万円くらいと考えるとその金額はかなり安く感じるのではないでしょうか。
つまり、できるなら介護スタッフではない仕事を探していたという現役スタッフも少ないはずで、「正社員」という雇用や中高年という年齢から介護スタッフに就いた人も知っています。
「してあげている」という心理
これは残念というよりも、人が人として自身の精神を保つために「誰かの役に立っている」と思うことで、多少の困難も癒されたりするのでしょう。
実際、介護現場では、様々なタイプの利用者がいて、とても趣味や知識の豊富な人もいれば、認知症状が進み「ものとられ症候群」と呼ばれる対人不安に悩む人など、本当にいろいろな人が集まっています。
それだけに介護スタッフも適切な対応をしていても、暴言や暴力行為を受けることもあり、でも常に入所者の安全と安心を保ちながらの業務は、精神的にも肉体的にもかなりハードです。
だからといって誰が悪いということではなく、「老いること」にはそれだけ様々な問題が含まれていると考えるべきでしょう。
実際、利用者の中には料金を支払っているという心理から、スタッフを使用人のような感覚で考える人もいて、「〇〇をして!」「〇〇を持って来い!」と命令口調で接する人もいます。
一般的に介護サービス料金は、利用者の1割又は2割負担というケースが多く、月額にすれば約3万円程度の負担と部屋代、食事代が加算されてトータルの介護施設料となるのですが、約3万円の負担をするだけでも、人は相手を「格下」に思うことがあります。
それはスタッフも同様で、「してあげている」という意識を持ち、何か利用者と接する時に「早くして」とか、「少しは動いて」というような言い方が口から出てしまいます。
介護業界として考えるべきは、高齢者の暮らしを担うという仕事を社会全体で考え、例えば介護スタッフもしっかりと知識や経験を重ねると異業種同様に未来ある仕事に変革していくことでしょう。
ただ現実的な話をするなら、施設での3年以上のキャリアで介護福祉士になり、その後はケアマネ以外に看護師や社会福祉士の資格などにも進めるキャリアパスでもなければ、ケアマネでも介護福祉士と変わらない報酬で働くことを考えても、長く介護業界で働くメリットを感じません。
そこには、介護スタッフが日常的に担っている食事や排せつ、入浴などの業務が機械化できれば違いますが、誰かが行うべき業務として避けられないこともポイントです。
つまり、介護スタッフの単価を上げるにしても、現行の処遇待遇費のように一律の配布はできても、個々にスキルや役割を加味して評価できないからです。
実際、動けるスタッフ2名いれば、動かないスタッフ5名以上の仕事ができてしまいます。
それぞれに言い分や背景はあるのですが、介護施設におけるスタッフの役割は想像以上に差が生じているのです。
在宅で暮らす高齢者も
例えば、今現在賃貸という人は、リタイヤした後も家賃の支払いが待っています。
都心部なら10万円以上も多く、それこそ月の生活費も込み込みで計算すると20万円以上かもしれません。
そして、年金で補填するにしても、その全てをカバーできる人は少ないでしょう。
そうなると、高齢者になってからも健康で働けることが大切になります。
言い方を変えれば、施設に入るにしても月額10万円以上、在宅を続けるにもそれなりの費用が掛かります。
考えるべきことは他にもあって、例えば生活が困難になった場合、セーフティーネットとして生活保護という選択肢があります。
しかし、それも簡単に認められるものではなく、例えば身内と呼べる親戚がいる場合、彼らによる扶助が検討されるからです。
実際、年金を受給している高齢者で、その金額が10万円くらいあると、すぐに生活保護の申請が通りません。
というのも、アパート暮らしで認知症状も見られる。
さらに金銭管理も困難になっているとしても、特定の保護施設に入れる訳ではなく、多くは高額な有料老人ホームを紹介されるのです。
なぜなら、親戚による援助を見込んでいるからで、それこそ親戚の立場として心配や手を出すことで、生活保護の申請は見送られるという感覚です。
3親等の間柄であれば、皮肉なもので、独居老人となった人を心配するほど、行政の腰は重く、時には頼みの地域包括支援センターでさえ、施設を斡旋する業者を紹介してくれる有り様です。
不足する生活費を誰が賄うのか。
すでに働くことが難しい高齢者にはかなり厳しい話ですし、言い方を変えれば親戚の負担に頼るしかありません。
しかし、その親戚が老いて独居となった時、今度は子どもに負担がくるという流れで、それこそ老後生活を明るく楽しむには、しっかりとした未来像が不可欠です。
お金によって施設には入れますが、それ以上に健康的で生きがいある暮らしを維持するためにも、生涯続けられる仕事を見つけることでしょう。