病院から自宅に戻ってしまう!?
そもそも、高齢者の全てが介護施設に入って老後を過ごす訳ではありません。
何より、介護施設がどのような場所なのかよく知らない高齢者も多いはずです。
ある資料によれば、施設に入っている高齢者は、65歳以上の全人口の20分の1、つまり全体の5%過ぎません。
この数字から分かるように大半の高齢者は多少の不便を感じたとしても、すぐさま施設入所するわけではなく、できる限り住み慣れた環境で生活を続けています。
なぜなら、介護施設が担うのは、基本的に雨風をしのげる住居と3度の食事、入浴、さらに施設によってはリハビリなどが加わり身体機能の回復に貢献します。
一方で、施設に入れば、3度の食事の時間を筆頭に、様々な生活で規則があり、それこそ朝から夕方まで何かと忙しい利用者も多いのです。
もちろん、有料老人ホームやそれ以外の施設で、スタッフによる指示や関わりを全面的に拒否することも不可能ではありませんが、安全面や健康管理の面で施設による担保が難しい場合には退所を促されることもないとは言えません。
つまり、介護施設という場所も老後を支える万能な施設とは言えないのです。
さて、叔母が病院から自宅に戻ってしまった背景ですが、実はその理由は定かではありません。
そんな風にいうと、少し変だと感じられるかもしれませんが、実際にそうだったので「戻ってしまった」以上の説明をすることができないのです。
そして、自宅に戻った叔母に会うために出掛けたのですが、思った以上に元気で、会話も十分にできます。
顔を見て微笑んでくれ、何か嬉しかったのか、いろいろと話をしてくれました。
最も、日常的に仕事をしているこみちにとって、叔母の元を頻繁に訪れることができません。
そこで、普段の様子は民生委員の担当者や地域包括支援センターのスタッフ、さらに地域の住民が叔母の様子を見守ってくれているという状況に変わりありません。
というのも、金銭的に目処がつけば施設入所に向けた準備も方々でしていたのですが、結果的に全てが途中で止まってしまい、病院から退院を迫られ行き場を失って叔母は自宅に戻されたというところでしょう。
「施設に入って長生きしても意味がない」
そんな言葉を聞き、確かに一理あると思います。
というのも、施設介護を担う仕事をしていて、どんなに利用者のケアに努めても、自宅以上の心地よさには到達できないからです。
一方で、再び入院するような事態になれば、現実的にこみちを含めた親戚の経済的負担はより一層深刻になります。
ざっくり、一回の入院で1ヶ月約15万円から20万円くらいを考えていた方がいいでしょう。
つまり、叔母の場合には2ヶ月ほどだったので、40万円という金額が請求されます。
そうそう、高額医療費の上限額というものが、75歳以上の後期高齢者には自動的に適応されるようになっています。
収入額によって異なりますが、注意したいのは「治療費」に関するものだと言うこと。
例えば入院につきもののリネン交換などの費用は、全て実費原則です。
つまり、病院としては売上を伸ばしたいなら、できる限り実費部分を増やすことで、患者やその家族から高額の請求ができるのです。
そこに意味があるのかというと、病院経営としては少し疑問が残りますが、中にはそんな稼ぎ方をする病院もあるでしょう。
さらに、地域包括支援センターの勧めで紹介された介護施設は、どこもすべて有料老人ホームで、東京から片道数時間掛かる地方都市です。
月額料金は、有料老人ホームなので、食事や居室の割引き適応もなく、大体15万円前後。
しかも入所前に入所金や前家賃などで持ち出しが20万円から30万円が必要と言われています。
つまり、1人の高齢者を介護施設に預けるには、本人の意向は抜きにしても、年間で180万円以上が求められる計算です。
実際には、特養や老健のように、月額10万円以下でも利用可能な施設もありますが、そこに向けた打診を許されない状況になると、高齢者の生活費は年間で50万円以上も違ってきます。
しかし、それだけの金額になると、入所が大きな負担になるケースも当然ですがあるのです。
年金受給額によっては、介護費用を捻出できないことも多く、そうなると家族や親戚からの援助が求められます。
ところが、最近では両親の奇怪な行動も増え、叔母の一連の騒動から強いストレスを感じて、どこか認知症状に似たような態度を見せます。
物覚えが極端に低下し、電話を受けたことや、その会話で聞いたことをごっそりと忘れているということも本当に増えました。
いやいや、本当に実際に起こる介護の実情は、教科書を読むだけでは全くわかりません。
現役介護士として貴重な経験をさせてもらっていると感じる一方で、父親や母親が介護サービスを受ける時になって、叔母を含めた3人の支援が待っていると思うと、あまり無駄なお金は使うことができず、堅実に謙虚に生きるしかないのかもしれません。
それでも、こんな風に介護に関する記事を書かせてもらえることに感謝します。