中高年の人が「介護スタッフ募集」に応募する時に考えるべきこと

 社会から見た「中高年の人」の期待値

「中高年だから」というネガティブな評価はありません。

しかし、若者と比較して、体力的に、記憶力的にとどうしても年齢を感じる部分が見え隠れします。

特に40代の後半になれば、無理できないと感じることも多くなり、若者に負けないようにと頑張るのも限界があるでしょう。

そんな年頃を迎える中高年の人が介護スタッフを就職先の1つに加える理由は様々ですが、その一つとして就職のしやすさがあげられます。

しかし、ここにも落とし穴があって、例えばこみちが勤務している介護施設の場合、3ヶ月以内に退職するスタッフは少なくありません。

その原因はいくつか考えられますが、初めて介護スタッフとして仕事をして分かる苦労に気づくこともあるでしょう。

というのも、時間給だけを比較すれば、一般的なアルバイトと大差ない金額で募集されているので、「わざわざ介護スタッフでなくてもいいのではないか?」と感じる人も多いからです。

しかし、冒頭でも触れましたが、無資格や未経験、さらに中高年という年齢を加味して、就職先を決めるのは容易ではありませんから、介護スタッフとしてのやりがいを評価する以前に、収入源を得られる方法として考える必要もあるでしょう。

実際、介護に特別なこだわりも持たないスタッフも多く、業務として淡々と仕事をしている姿も少なくありません。

もしも、そんな風な気持ちで働きたいなら、大勢のスタッフが一緒に働いている大きな施設を選ぶといいでしょう。

一方で、利用者個人に合わせた踏み込んだ介護に興味があるなら、ユニットケアとかグループホームのように、利用者との関係密になった施設を探しましょう。

現役介護士が思う介護スタッフの限界値

中高年から、しかも未経験で介護スタッフになる場合、普通に考えると管理職にはなれないでしょう。

ここでいう管理職とは、フロアリーダーのような役職ではなく、施設における介護部長のようなポジション指しています。

というのも、もしもそのポジションが狙えるだけの経験者なら、異業種でも十分に可能性があるはずで、介護スタッフを選ぶ利点が感じられません。

あくまでも、中高年で未経験者という場合に限って、介護スタッフなら苦労もあるけれど、就職先が決まりやすいという話だからです。

具体的には、年収500万円を超えるのは難しく、都内の介護施設で夜勤もしっかりこなして、450万円くらいが頭打ちではないでしょうか。

例えば、サービス付き高齢者住宅のように、比較的小規模な施設の施設長に任命されれば、その後の運営実績次第で自身の年収を伸ばすこともできるかもしれません。

しかし、それだけに「数字」にはシビアでしょうし、現場スタッフへの期待や教育もしっかりこなさないといけません。

思うに、その方向性には無理も多く、そもそもどんな利用者やその家族が頼ってくるのかを考えると、売り上げ優先では補えない介護サービスの難しさと葛藤するはずです。

その意味でも、年収400万円後半あたりが、介護スタッフとして得られる限界値ではないかと思います。

とはいえ、多くの介護スタッフは、そんな金額に届いていません。

年収300万円前後で、夜勤もこなしているスタッフも都市部以外ではたくさんいるでしょう。

つまり、ボーナス無しで月収25万円、ボーナス有りなら月収20万円くらいのスタッフが多いということです。

それを知った上で介護スタッフを目指すなら

介護スタッフと言っても、そのポテンシャルはかなりバラツキがあります。

看護師志望から介護スタッフになった人もいれば、異業から未経験で参入する人など、その経歴は本当に様々です。

中には、介護スタッフを経験後、看護師資格を目指して休職する人もいたりして、介護スタッフが最終形とは限りません。

それでも、現段階で介護スタッフとして就活するなら、資格としては「介護福祉士」を、実務スキルとしては排せつ介助や入浴介助が安全に正確にできるようになっていれば有望です。

現場経験で考えると、介護福祉士の試験は3年後ですから、その3年間で現場経験をできるだけ多く経験し、場合によっては資格取得後にさらに待遇の良い条件で仕事を探してもいいでしょう。

特に、都市部に近いエリアで働いている人なら、再就職することで年収が数十万円も変わることだって十分にあり得ます。

そのためには、施設側から求める介護スタッフの希望を汲み取り、また自身のやりがいや目標を理解してもらうような就活ができれば、希望年収に応えてもらえるかもしれません。

そのためには、最初の3年間でどこまで経験できるかがポイントで、オムツ交換という作業を単純にオムツやパットの交換と思っていてはいけません。

高齢者の場合、褥瘡やかぶれ、剥離なども珍しくなく、それはベッド上での寝姿に問題があって、安楽の姿勢やクッションを用いたポジションニングに対する理解も不可欠です。

体位変換の必要性や、体調管理へと目を向ければ、食事の方法や形状、咀嚼力など、介護スキルは自ずと広範囲になります。

こみちの場合、老健を最初の職場に選んだのは、医療的処置をしっかりと見たかったからです。

例えば、いきなり介護スタッフだけの職場に入ると、その作業は現場仕事になりやすく、時に医療的には疑問が残るような方法も、それが正解と思ってしまうでしょう。

そう考えると、幅広い経験が出来そうな施設を選ぶことで、同じ期間の勤務でも、得られる経験値に差が生じます。

いずれにしても、次の展開を考えるなら介護スタッフになって最初の3年が大きなポイントでしょう。