第34回介護福祉士国家試験対策 「社会の理解」を勉強する パート6

 「社会の理解」とは社会保障の変化で分かる?

介護福祉士試験で「社会の理解」が問われる理由は、「介護」が個人だけの問題ではないからです。

誰しもが歳を重ねていく中で、老いていき、やがてできていたことが出来なくなる時が来ます。

それは肉体的なことだったり、精神や思考力に現れるかもしれません。

もしも、そんなことが起こり、生活を維持することが難しくなったら、人は親しい家族に頼りたくなるでしょう。

しかしながら、ご存じの通り、核家族化が進む日本国内の家族事情を考えると、もう10年以上も会っていない兄弟や姉妹という間柄も珍しいことではなく、さらに言えばそれぞれが別の世帯構えれば、経済的にも肉体的にも容易に支援することは難しいはずです。

それを踏まえた時に、個人は個人で自身守るしかないのでしょうか。

仕事中のケガによって身体的な不自由を背負うことになったら、それもやむを得ないことと思うしかないのでしょうか。

つまり、誰もが生きている限り、不慮事故や病に遭遇する可能性があって、それを個人だけで対処しようとおもえば、自ずと人生設計も保険を掛けたような生き方になるはずです。

そこで、一定のリスク回避として「社会」の役割を決定し、例えば思わぬ事故などで困窮したような場合にも、しっかりと社会のセーフティネットが個人を支えるようにしています。

その意味で、社会が必要以上に個人に手助けすると、個人の自由を結果的に奪うことにも繋がります。

しかし、先にも触れた通り、全く手助けしなければ、個人は個人で身を守るしかありません。

それはそれで、やはり不便なのです。

現代社会から見た「社会保障」の変化

その大きな特徴は、「介護保険制度」の創設でしょう。

従来は行政の高齢者福祉として捉えられてきました。

それが、加齢により起こり得る社会保障として「介護」が容認されました。

さらには、経済的救済策として存在して来た従来の社会保障が、生活上の様々なハンデを感じる人へと対象が拡大したことで、保健と医療、生活支援などがより連携されました。

そして、子育て支援という考え方も取り込み、これまでの児童福祉が親から隔離された子どもの支援だったのに対し、子育てを社会全体の課題とし、社会としても具体的に支える取り組みを講じることになったのです。

障害者総合支援法

「障害者」と聞いてどんな状態をイメージするでしょうか。

当初は身体的な意味合いが強かったわけですが、時代と共にその対象範囲は拡大されて、身体、知的、精神、発達、難病を救済対象としています。

また、その対象年齢は18歳以上で、18歳未満の人は児童福祉法によって支えられます。

障害者や児童の総数は、780万人とも言われ、この数字は全国民の約6%に相当する人数です。

さらに、その約半数が65歳以上の人で、障害者の世界でも高齢化の波が寄せています。