介護士に向いている人いない人

 介護士」になるための適正とは?

学習系企業が運営している有料老人ホームの口コミを閲覧していて、幅広い研修とスキル向上に期待ができる一方で、施設サイドから求められるマニュアルも多いという声が聴こえてきました。

なぜそのような声が多いのでしょうか。

例えば、20代の時に感じる心地よさと70代、80代ではかなり差があります。

時間への感覚や心地よいペース、こだわりや好みが同じ人でも年齢を重ねて変化するからです。

その違いを若い世代が理解するには、どうして目の前の介護スキルを熟るようになった先に、スタッフの管理や施設運営の基本、時には資産運用や法律、医学知識など、介護にまつわる様々な知識や経験を一周した先に見つけられるとも言えます。

中高年のこみちからすれば、二十代前半から介護業界に身を置き、そこで3年くらい現場経験を重ねた後が大きな課題ではないかと感じます。

というのも、「介護」をオムツ交換などの作業として考えれば、どの年代から始めても3年くらいである程度の作業が覚えられるはずです。

しかし、その先には同じ作業の繰り返しと考えるか、それとも老いてからの生きがいにどう歩みよるのかで大きな分岐点を迎えることになるからです。

その意味は、特養や老健などの社会福祉法人系の介護施設と、有料老人ホームのような株式会社系では運営方針にそもそもの違いがあり、求められるスタッフの資質も異なります。

例えば、大手介護施設を運営している企業であるなら、不動産物件に詳しく、地域による利便性や広告、収益性などを分析できる人材もまた有望視されるでしょう。

それは現場スタッフとは明らかに異なる資質で、例えば大学で経営や経済を学び、今後の高齢化社会を踏まえた介護施設運営に興味を持ち、大手介護企業でその運営ノウハウを学ぶために現場スタッフを志望した人であるなら、多彩な研修やそのレポート制作も有益な経験ですし、統一されたマニュアルの目的や意図にも共感できるでしょう。

少なくとも、統一された目的と改革案の可能性にも理解があるでしょうから、現場経験から学ぶべきこととして一度は受け入れ、その後のキャリア構成としてマニュアルの改革や変更プランに改めて進むはずです。

若い現場スタッフが離職してしまう原因として、「マニュアル作業の多さ」や「研修、レポートの多さ」をあげているのだとしたら、それは株式会社として運営している介護系企業としては頭が痛い問題でしょう。

もちろん、現場スキルも重要ですが、高齢者の心地よさ住まい環境の提供を考えた場合に、学んで欲しい知識や経験はまだまだたくさんあるからです。

例えば、ある介護企業の入社し、現場経験が3年以上になると社会人枠で大学の経済や経営、法律などの分野で4年間学び、その後再び企業戻り、新規開拓事業や各施設での育成プログラムに関わるようなキャリアパスがあれば、若い世代にもやりがいが生まれるのではないでしょうか。

最近では大卒の介護スタッフも増えているので、大学といっても大学院で学び、特に異業種に興味関心のある人材と交流する中で、今後の介護企業や介護市場の行く末を思い描くのも面白い経験です。

介護士としては入職後3年で頭打ち!?

成長のスピードに違いがあるものの、現場での経験だけでは多くの人が3年くらいでマンネリ化を感じるのではないでしょうか。

こみちの場合、最初の半年、その後は半年、一年毎に変わらない現場経験とその中にも新たな発見とがあって3年を迎えます。

ちなみに、こみちが二十代の頃に介護施設を人生の目的に不可欠なものとして考えたことはありませんでした。

当然ですが、介護士になろうと思ったこともありません。

ある意味、中高年になって仕事探しを迫られて、介護士ならまだ採用してもらえるという話を聞き、初めて介護士という仕事が自分にもできるのか検討したという感じでした。

そもそも、他人様の下の世話をできるとは思っていませんでしたし、それは自分自身に対しても、される高齢者の立場になっても、想像するだけでは解決できない問題です。

例えば、施設の方針としては、男性スタッフにも女性入浴介助を配置したがります。

理由は女性スタッフに制限するとスケジュール管理が難しく、時に無理ある配置になるからです。

しかし、こみちが女性利用者なら、男性に身体を洗われるのは抵抗がありますし、それを受け入れるしかないと思ってしまう現実に何か切ないものを感じます。

だからこそ、施設運営では非効率だとしても女性利用者には女性スタッフを原則として欲しいと思うのです。

その意味で、男性であるこみちが利用者の下の世話をするとなった時に、相手が嫌ではないかと考えると、若い頃に介護士になろうとは思えませんでした。

例えば、大きな介護事故を起こさなければ、高齢になった利用者は段々と老けていきます。

歩くことができた人も車椅子となり、寝たきりになるという流れです。

しかし、それが本当にそうなのかというと、そこまで単純な話ではなくて、しっかりとしたリハビリを経て在宅復帰できるケースも少なくありません。

そのためには施設内にリハビリの専門スタッフがいて、介護スタッフと連携していなければ可能性は生まれません。

つまり、施設内のスタッフの大半が介護スタッフという場合、そこで提供できる介護サービスは安全性を主体とした「老いる」ことを前提とした運営です。

それはそれで在宅復帰が難しい利用者やその家族の都合などもあるので、現実的な話ではありますが、本来ならそれ一択ではありません。

これはあくまでも経験的な話ですが、現場スタッフの中で介護をよく知っている介護系の学校を出たスタッフほど、一択に対して疑問を持っていないように思います。

もちろん、在宅復帰して家族が看られないケースも目立ちますが、現場スタッフとしての経験だけが増えるとそこに違和感さえ持たなくなってしまいます。

もしも、介護スキル以外に、経営や行政の知識、建築などの分野に長けていれば、施設ではそもそも補えないような生きがいを提供できるかもしれません。

つまり、介護士としての適正とは、どこまでを見据えるかでも大きく異なり、それこそ中高年の場合には現場スタッフとして任される作業を安全にこなすことが大切になります。

その意味では「年齢不問」も可能で、各作業の手順を覚えて行くことができれば十分でしょう。

しかし同時に、賃金として介護士がなかなか昇給できないのも、そこに理解があるはずです。

中高年としては、就職先の確保として「介護士経験」は今後も役立ちます。

しかし、体力を求められる作業も多く、いろいろと考えることで稼ぐというよりも、決められた作業を継続させるということで稼ぐイメージです。

それゆえに、若い世代ならもっと割のいい仕事がある一方で、中高年になると介護スタッフなら採用されやすいというメリットに惹かれてしまうのでしょう。

事実、中高年でも離職される人は多く、その中には現場スタッフとの齟齬も少なくありません。

異業種経験者は、違和感を感じるかもしれませんが、現場スタッフはそれが常識だったりして、なかなか馴染めないこともあるからです。

しかし、大元まで理解を深めることができれば、そこには表面的な違いがあっても、先ではかならず合致する部分があって、そこに至るまで介護に踏み込めることができれば、それこそ介護スキルだけでは超えられない現実も理解できるでしょう。

介護士は誰にでもできる仕事である一方で、なるのが難しい仕事でもあります。

その意味では資質を考えるよりも、やってできるかがポイントなのでしょう。