現役介護士が紹介する効率的な「介護施設」の探し方

先ずは条件を整理するところから

介護施設選びで困る理由は、考えるや事前に知っておくべきことがたくさんあること。

そこで、初めてでも簡単に介護施設を探すポイントを紹介します。

とは言っても、先ずは条件の確認として「介護認定を受けていること」とその判定で「要介護1から5」のいずれに該当していることが必須です。

また、預貯金や年金の支給額から、月額10万円程度をねん出できるかも調べておきましょう。

介護施設で最も大切なこととは?

例えば、まだまだ自宅での生活が可能なレベルなら、要介護も要支援を含めて1または2くらいではないでしょうか。

これは個人的な目安ですが、要介護3以上になったら施設入所を検討するべきです。

感覚としては、移動手段が車いすになる健康状態で、トイレが一人で使えるかどうかのラインです。

というのも、高齢者が転倒して怖いのは、足の骨を折り、完治までベッドで寝たきりが続くこと。

そうなってしまうと筋力低下も重なり、殆どが車いす生活でオムツ着用になるからです。

オムツを使う理由は、ある程度介護者の負担を考えての部分も多く、特にトイレを使っていた人がオムツになって多いのは「トイレに行きたい」ということでしょう。

在宅でも施設でも、そんな要望を受けて、トイレに誘導して用を足すことが続くと介護者の負担はかなり厳しいものです。

しかし、オムツ慣れしてもらおうとするあまり、トイレに連れて行かない習慣が続ければ、確実に認知は進みます。

オムツになれば、自ずと食事意欲も軽減し、自然と体力や意欲が低下していくという傾向になります。

その時には要介護も4や5の段階で、健康寿命という意味では厳しい状況です。

つまり、オムツにしないことがとてもポイントで、車いすでもしっかりとトイレは使うという生活を長く維持するべきです。

しかしながら、施設の外観や設備を見るだけでは、トイレ誘導をしてくれることまで分かりません。

つまり、施設選びはどれだけオムツを使わずに外れるかが重要です。

特に夜間帯だけで、日中はリハパンを使うなど、生活の中で少しでもADLやQOLを向上させる手間をかけているかに尽きます。

現役介護士のこみちがおすすめしたい介護施設

在宅での生活を送っている人で、少し足腰に不安を感じ始めたなら、デイサービスではなく、デイケアに分類されるリハビリにも積極的に対応してくれる施設を探すこと。

また、入所を希望される方なら、老人介護保健施設(老健)と呼ばれる施設から探しましょう。

一般的には老健は3ヶ月しか入れないとか、在宅復帰を目指した施設と考えられていますが、現状としては2年以上も施設で継続して入所されている方も少なくありません。

それは同じ老健でも、それぞれの施設が目指す介護スタイルがあって、ある施設では3ヶ月以内に在宅復帰を掲げたり、また特養待ちのニーズに合わせた施設になっていたりします。

というのも、特養はどこも100名近くが入所を待っているような状況で、長く施設では3年以上も待たされることだってあります。

その理由は、同じようなサービスを提供する有料老人ホームが特養と比べて高額な傾向にあるからです。

それこそ、有料老人ホームの場合、月額20万円以上のところもあって、収入面で問題ない世帯ならそれだけ手厚いサービスが受けられます。

先に紹介したオムツ慣れの部分でも、できる限りトイレ誘導にも応じてくれるでしょう。

その点で言えば、特養はずっと住めることがウリとなり、在宅復帰を目指したリハビリやトイレ誘導をこまめに行うことよりも、安全安心に暮らせる日常を提供してくれます。

そのように考えと、一般的には介護が必要となったら、探すべきは老健なのです。

希望したい老健を絞り込むためには?

サービス内容にある程度の好感を持てたなら、居室のタイプに着目します。

月額の利用代金を10万円から15万円くらい掛けられるなら、ユニットの料金を調べてみても良いはずです。

介護の形態から、4人部屋などの複数名で利用する居室に比べて高額ですが、利用者が気さくに声かけしやすいのもユニットです。

一方で、四人部屋などの居室なら、月額利用代金が10万円以下というケースもあって、厳しい予算でねん出する場合には、相部屋を申し込みましょう。

少し古い施設の場合には従来型個室というタイプもありますが、ユニットととの違いは介護スタイルです。

ユニットが10名くらいの利用者をチームとして支えるのに対し、従来型個室ではあくまでも部屋が一人部屋というだけで、介護スタイルとしては四人部屋と変わりません。

大切な家族を施設に預けることになるので、どこまで予算を掛けられるかがポイントですし、家族の健康状態や認知度の進み具合とを踏まえて、どこまでの手厚さが必要なのかを検討しましょう。

それこそ、3度の食事や週数回の入浴、オムツ交換など最低限の介護で十分なら、四人部屋などの複数名で利用する居室を完備した老健がおすすめです。

例えば、ナースコールを自身で押せないとか、寝返りやベッドから車いすへの乗り移りが困難な状況で割り切れるなら、金額が抑えられる複数人部屋でも十分です。

しかし、プライベートな空間やテレビなどの趣味を誰にも邪魔されずに楽しみたいと思えるくらいなら、ユニット介護を提供している施設が便利です。

ユニット型の老健でも、中には月額利用代金20万円以上の施設もあります。

そして、意外なポイントが継続して入所している期間の確認でしょう。

というのも、老健は在宅復帰を目指したケアを得意とし、早い段階で在宅復帰に進む施設もあれば、数年以上も在籍できる施設もあるからです。

施設を直接見学する際に、案内してくれるスタッフに入所期間を確認してもいいでしょう。

というのも、長く施設生活が続けば、どうして介護度は上がってしまいます。

そこで、リハビリを通じて在宅復帰し、また様子を見て施設へと戻るという行き来を通じた介護スタイルを行う老健も多いからです。

一方で、特養待ちの施設として位置づけられ、老健ながら多くの利用者が年単位で利用しているような施設もあります。

在宅復帰して世話できるかどうかで、施設の方針と合っているか検討しましょう。