第34回介護福祉士国家試験対策 「認知症の理解」を勉強する パート3

 認知症の理解をさらに深めるために その1

認知症とは、これまでに確立した知識が後天的で器質的な原因で低下してしまう状態を指します。

そこで、認知症の診断記述としては、以下の4項目に該当することで診断されます。

1、記憶に障害がある

2、失語、失行、失認、実行機能のいずれかに障害がある。

3、せん妄ではない。

4、ほかの精神疾患からでは説明できないこと

失語とは、言葉がスムーズに出て来ないなどの障害ですが、運動失語と感覚失語があります。

運動失語とは、 主に自分の想いを言語に置き換えることが難しくなる失語です。

感覚失語とは、話し方そのものは特に違和感を感じさせませんが、その際に使っている言葉が別の言葉や異なる文字に置き換わってしまう失語です。

超皮質性感覚失語とは、感覚失語の中でも特に復唱能力に長けています。

失行とは、日常動作がスムーズに行えない状況を指します。

失認とは、感覚機能に問題がないにも関わらず、認識することができない状態を言います。

実行機能の障害とは、衣類の着脱などのような場合に手順に沿って行うことができない状態です。

せん妄とは、環境の変化などで夜間などに不穏となり、また幻覚や錯覚を感じている状態を指します。

認知症の種類を再確認

神経変性疾患

アルツハイマー型認知症

非アルツハイマー型認知症

レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、パーキンソン病による認知症

脳血管障害

血管性認知症

脳梗塞、脳出血など

アルツハイマー型認知症とは

現時点で、アルツハイマー型認知症の明確な原因は特定されていません。

神経原線維変化と老人斑、大量の神経線維の脱落が特徴と言われます。

症状の進行段階としては、健忘期と呼ばれる初期段階では海馬病変に対応し記憶障害が起こります。

海馬が大脳の側頭葉の内部にあり、エピソード記憶などを深く関わります。

つまり、海馬が病変してしまうことで、エピソード記憶(日常の出来事)を認識し記憶することが困難になるのでしょう。

中期には、側頭葉、頭頂葉の病変に移り、失語、失行、失認の症状が現れます。

末期になると大脳皮質にまで及び、人格変化まで起こります。

比較的、女性に見られることが多いと言われます。

血管性認知症とは

アルツハイマー型認知症と並んで認知症として代表的な病症です。

脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などを原因とした脳血管の出血により発症します。

CT、MRIで深部灰白質や白質の多発性小硬塞と前頭葉白質を中心に不全軟化が見られます。

前頭葉の機能障害が見られるので、運動の神経中枢と運動性言語中枢があり、さらに先端部になると思考や判断を司ります。

そこで、血管性認知症では、運動まひや歩行障害が起こります。

感情失禁も特徴ですが、感情のコントロールが不得手になり、少しのことで笑ったり怒ったりと情緒が不安定になりがちです。

レビー小体型認知症とは

レビー小体型認知症は、レビー小体という構造物が脳内に出現することで発症します。

それにより、脳神経の変異が始まると神経細胞が欠落するのです。

特徴としては、具体性のある人物や動物などの幻視があったり、パーキンソン症状(ドーパミン神経の変性(運動機能の低下、振戦などの特徴がある))が加わるなどの症状が見られます。

アルツハイマー型認知症が女性に多いとされますが、レビー小体型認知症は男性に多いと言われます。

一説ではレビー小体型認知症が増加傾向にあり、アルツハイマー型認知症に次いで多い認知症です。

前頭側頭型認知症とは

前頭側頭型認知症の代表的な疾患はピック病ですが、大脳の前頭葉、側頭葉を中心に神経変性が生じることで発症します。

血管性認知症も前頭葉付近に変性が生じ、運動機能などに変化が現れます。

しかし、脳卒中の発作によって段階的に進行していく血管性認知症とは異なり、前頭側頭型認知症は初期段階から脱抑制、食行動異常、衝動性、常同行為などの行動異常が見られます。

中期、末期に進むにつれて、さらに行動異常は増し、側頭葉(言語、聴覚などの機能)の萎縮が進めば異食や性的行動の亢進が見られ、失外套症候群になって行きます。

若年性認知症とは

若年性認知症とは、65歳未満に起こる認知症の総称で、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、血管性認知症、さらには頭部外傷後遺症やアルコール性認知症なども含まれます。