第34回介護福祉士国家試験対策 「発達と老化の理解」を勉強する パート8

ざっくりでも知っておきたい高齢者疾病その3

脂質異常症

脂質異常症とは、血液中のコレステロール、中性脂肪などの脂質が異常値を示す病気です。

血液中には、LDLコレステロール(悪玉)、HDLコレステロール(善玉)、中性脂肪がありますが、LDLコレステロールは動脈硬化を助長させる働きがあって、HDLコレステロールには逆に動脈硬化を抑える働きがあります。

脂質異常症はサイレントキラーと呼ばれ、自覚症状がほとんどないことでも知られています。

動脈硬化がさらに進めば、心筋梗塞、脳梗塞などを招く可能性も高まります。

痛風、高尿酸血症

血液中の尿酸値の値が「7mg/dL」以上を、高尿酸血症と呼びます。

ビールに含まれる「プリン体」が尿酸に変化し、関節に付着することで起こります。

甲状腺機能低下症

甲状腺ホルモンの分泌や働きの低下を起因とする疾患です。

喉仏周辺に位置する甲状腺ですが、それ自体が原因である場合と下垂体、視床下部の場合があります。

多くは、橋下病による原発性甲状腺機能低下症と言われます。

寒さ敏感になったり、便秘、体重の増加、疲れやすくなることもあり、中年以降の女性で物忘れが気になる場合にはこの病気ではないか診察します。

甲状腺機能亢進症

亢進とは、なんらかの理由でホルモンバランスが崩れて、必要以上に活発になってしまうことを指します。

亢進症の多くが、バセドウ病とも言われます。

脳血管疾患

脳血管疾患には、脳梗塞など見られる虚血性と脳出血やくも膜下出血などの出血性があります。

虚血とは、血流が悪くなったり詰まってしまうことを指します。

そのために脳梗塞などでは、必要な血液が不足し、結果として脳細胞を失わせます。

出血性の場合、加齢や高血圧などで脆くなった血管が脳内で破れると脳神経にダメージを与えます。

出血性の一つ、くも膜下出血では、脳内の三層の髄膜の二層目、三層目に当たるくも膜と軟膜の間で出血した状態を指します。

結果的に、運動障害、嚥下障害、高次脳機能障害などが起こります。

また、左脳(言語を司る)で出血した場合には、失語症を招きます。

脳血管症では、後遺症も問題になります。

高次脳機能障害では、様々な行為が発症後に困難なってしまいます。

失行症とは、手足などの機能的には問題がないのに、また本人としても何をしたいのか理解していても、実際には上手くできない状態を指します。

構成障害とは、手順に従って行うような動作が難しく、例えば衣類の着脱などが困難になってしまいます。

失認症とは、視力の問題ではなく、見えたものをしっかりと認識することができないために、起こる障害です。半側空間無視のようなケースがあります。

失語症とは、言語を司る左脳に障害が起こることで、話すことや聞くことなど、様々なケースで言語が上手く扱えなくなります。

注意障害とは、何かに集中し、注意を払うことが難しくなることで起こる障害です。

その他にも、遂行機能障害や情緒の障害などがあり、全体を通じて機能には問題がないのに、結果的に上手く行えないという問題が発生します。

パーキンソン病

介護保険の特定疾病の一つにも数えられるパーキンソン病は、50代から60代で発症する神経変性疾患です。

パーキンソン病の特徴は、安静時に見られる「振戦」「固縮」「無動」でしょう。

振戦とは、力を入れていない時に起こる震えです。

固縮とは、本人は力を入れていないつもりでも、誰かが関節を動かそうとした時に固まっているように感じてしまう筋肉の緊張状態を言います。

無動とは、寡動ともいい、身体の動きが少なくなることを指します。

歩行時にも特徴があり、小股でちょこちょこ歩いているように見えます。

その後は段々と歩行スピードがコントロールできない状態になって、転倒することも増えます。

発症後、10年くらいで介助が必要となり、15年を過ぎる頃には全介助になります。

中脳(いわゆる脳と言われる部分の中央にある)の黒質にあるドーパミン生産細胞が脱落し、レビー小体が蓄積することで発症します。

ドーパミンは、脳内で情報伝達を担う物資です。

つまり、そんなドーパミンの生産が滞れば、適切な情報が伝達されなくない、歩行時などの筋肉運動さえも困難になるでしょう。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)

筋萎縮性側索硬化症とは、脊髄と脳の運動神経細胞が減少し、進行的に筋力の低下と萎縮していく疾患です。

発症後、数年で呼吸筋力も低下するので、人工呼吸器が必要になります。

大腿骨頸部骨折

大腿骨頸部とは、太ももの付け根、股関節部分の部位を指します。

高齢者は骨粗鬆症になりやすく、転倒をきっかけに骨折しやすい部分です。

変形性膝関節症

加齢による関節の変形により、痛みや可動域に制限が現れます。

椎間板ヘルニア

背骨は椎骨で構成され、骨の間が椎間板があります。

その椎間板の中には軟骨様の髄核があり、この髄核が飛び出すことで椎間板ヘルニアとなります。

骨粗鬆症

骨の密度が低下することで、外部からの圧力などにより骨折するなどの障害が発生します。

腎不全

腎臓の機能低下によって、体内の老廃物を排泄出来なくなります。

その結果、尿毒症症状を招き、血中に尿に含まれる毒素が溜まることで、貧血や高血圧、むくみなどを招きます。

運動を制限するなどに加えて、透析を行うことで毒素を取り除くことが必要となります。

まとめ

他にも、注目するべき疾患はありますが、主な病気を試験対策としてピックアップしてみました。

次回は、過去問題を再確認して、このカテゴリの学習ももう少しです。