第34回介護福祉士国家試験対策 「障害の理解」を勉強する パート2

「 障害の理解」をどう学ぶのか?

「障害の理解」を効率的に学ぶためには、障害者福祉の理念や経緯を知ることと、身体、知的、精神、発達障害、難病に分類し、大きな意味での障害が生活や心理行動にどのような影響を与えているのかを意識することがポイントです。

障害者福祉の理念とは?

障害者福祉の理念には、ノーマライゼーション、リハビリテーション、インクルージョンの3つを理解しなければいけません。

と言うのも、障害者の暮らしを彼ら単体で考えるべきではなく、一般の健常者たちと同じ環境下で社会生活が営まれるべきだと考えるからです。

そこで、障害者を社会の中でどのように受け入れるべきかから考えましょう。

ノーマライゼーション

ノーマライゼーションとは、障害の有無に関わらず、社会の中で当たり前に暮らせる理念であり、我が国においての障害者福祉のベースとなっています。

ノーマライゼーションはデンマークのミケルセンによって提唱された理念ですが、障害者にも健常者と「同じ生活」が提供されるべきという基本理念「1959年法」がデンマークの法律に結実されました。

では具体的「同じ生活」とはなんでしょうか。

つまり、あらゆる障害があるからと言って、それだけで社会から阻害される理由はないということ。

人としての権利が保障される社会であることが望まれるというもの。

ここでポイントになるのは、「障害という状態」をノーマル(通常)とするものではなく、障害ある人の住居、教育、労働、余暇などの生活条件を可能な限り一般的な生活と同等に扱うものであるということ。

これにより、障害者だからと言って阻害される社会であってはいけないが、障害者だからと言って健常者以上に優遇される理由はなく、全ての人が可能な限りにおいて同等の生活を営むものだとノーマライゼーションは考えているのです。

リハビリテーション

リハビリテーションとは、ラテン語で再生+適した状態を意味から成り立ちます。

現在のリハビリテーション治療では、単純に「身体機能の回復」という目的だけでなく、人が「人間らしく生きる権利」の回復をも目的としています。

つまり、身体的、精神的、社会的な意味での再生を目指すものです。

1960年代のリハビリは、ADL(日常生活動作)の向上を目的としていました。

しかし70年代を過ぎて、QOL(生活の質)を尊重するようになります。

つまり、「何かができる」という能力の向上ではなく、「どのような暮らしが営めるか」に目的が変化し、リハビリもまたそれに応じた手法へと変化していったのです。

インクルージョン

インクルージョンとは「包み込む」を意味する言葉です。

障害者が社会から排除されないように、社会全体で「包み込む」という考え方になります。

学校教育の分野で、インクルージョン教育という言葉が使われますが、児童はそれぞれに異なる個別性を持つことが前提とされます。

つまり、統合教育とは異なる形で、個々の児童に合わせた教育ニーズを提供することもインクルージョンの持つ役割なのです。