第34回介護福祉士国家試験対策 「障害の理解」を勉強する パート3

 障害概念の変遷と障害者福祉の歴史

障害の基本

1980年に国際保健機関(WHO)が示した国際障害分類(ICIDH)では、「障害」を「機能・形態障害」「能力障害」「社会的不利」の3つに分類できます。

また、2001年には新たに国際生活機能分類(ICF)を提唱し、「障害」を「生活機能」と「背景因子」の相互関係からとらえました。

高齢者介護の分野でも学んだICFですが、「健康状態」とは「生活機能」と「背景因子」の両面によって成立していると考えることが大きなポイントです。

つまり、日常動作として単純に食事ができることや歩く座ると言った動作だけでは、健康状態を推し量ることはできずに、「どのように」とか「どんな環境下で」ということが大切であると考えます。

ある時にある動作を行ったことが事実だとしても、それを行った人がどんな気持ちや思いで行えたかで、実は動作意味や目的が大きく変化し、評価も変わることを想像すれば、障害をICFに基づき理解するようになったことで、障害者福祉の概念も刷新されました。

障害者福祉施策の変遷

国内の障害者福祉制度が大きく変化したのは、1981年の国際障害者年でしょう。

国連が1975年に「障害者の権利宣言」を採択し、障害者の基本的な人権を確認するともに、その権利の保障を各国に求めました。

国際障害者年では、障害者の社会への適合を援助し、適切な訓練や指導を通じて雇用に結びつけ、公共物や公共機関の利用を身近なものに適合させる取り組みが主な内容です。

一方で、国内での「国際障害者年」に基づいた制度改革が行われたのは1984年の身体障害者福祉法の改正です。

ポイントは、「すべての身体障害者は…社会、経済、文化その他の活動に参加機会を与える」と条文に明記されたことでしょう。

福祉関係8法は、1990年に改正されました。

そもそも、福祉関係8法とは、児童福祉法、身体障害者福祉法、精神薄弱者福祉法(現、知的障害者福祉法)、老人福祉法、母子及び寡婦福祉法、社会福祉事業法(現、社会福祉法)、老人保健法、社会福祉・医療事業団法を指します。

障害者基本法は1993年に施行されるのですが、精神障害者を障害者に加え、福祉サービスの論拠を提示しました。

障害者基本法が、国や地方自治体での責務や基本を示すもので、身体障害者だけでなく精神障害者についてもサービス提供が示されたことになります。

さらに、障害者基本法は2004にも改正されました。

新たに「何人も、障害者に対して、障害を理由とした差別や権利の侵害行為を禁止する」と定めたことで、障害者計画の義務化つながりました。

2003年には、障害者福祉制度が措置から支援費制度へ変更されました。

その背景には、障害者自立支援法が誕生し、措置制度から支援金制度へと変わったことでしょう。

2006年にはサービス提供者を市区町村に一元化しました。

2013年には、障害者自立支援法が障害者総合支援法に改められ、身体、知的、精神に「難病」も加わりました。