老後、そして最期の日
施設利用者の立場を考えると、「老後、そして最後の日」をどう迎えるかが課題です。
介護の仕事としてではなく、中高年の方が40代から60代までを過ごし、そして段々と老後を迎える中で、どのように生きたのかを自身で考えることが不可欠です。
時折、ニュースなどで、「老後の資金は〇〇万円だ!」などと報道されますが、正直なところ介護施設でのサービスには限界があります。
つまり、健康でアクティブな生活が難しくなっていく高齢者の暮らしでは、単純に高級な食材や高額な設備だけでは「満足な暮らし」は手に入りません。
もっと言うなら、介護士がどれだけ親身になって支えてくれるかで、孤独感や老いへの不安にも少しは和やかに迎えることでしょう。
なぜ、現役介護士は介護士という仕事を選んだのか?
こみちの場合、前職を辞めて生きる目的を見失いました。
これという仕事も無いし、でも生きなければいけないので、何か目的を作って働かなければいけませんでした。
そして、当時はライターの仕事もあって、それだけで生きて行こうとも考えていました。
しかし、ライターという仕事も、単純に文章を書けば良いものではありません。
クライアントから求められる文章の修正を受けて、その表現でこみちが感じている内容を伝えられているのだろうかと葛藤もありました。
稼ぐためには、巧みな表現でのテクニックも必要です。
それは読み手にすれば意図的なトリックでもあり、正直、うんざりとしていたのも事実です。
そんなこんなで、主なクライアントだった会社と距離を取り、それこそ何か見つけなければということで、介護職にたどりつきました。
実際に働いている介護士の中には、祖父母の存在から高齢者介護に入った人もいます。
また中高年の中には、こみち同様に仕事探しの延長で入職したという人もいるでしょう。
いずれにしても、冒頭に書いたような自身の今後と介護士の職業意識にはギャップがあって、その溝をどう埋めるかが介護業界の課題です。
これは現場経験からの話ですが、仕事内容が決まっているという意味では、看護師や機能訓練士として働く方が現段階ではやりがいもその対価も選べるはずです。
というのも、介護士の仕事は求人が多いものの、地方都市では時給1000円にも届かない金額で募集されています。
異業種のアルバイトと変わらない金額で、先に紹介した老後生活を支える介護士を育成できるでしょうか。
事実、面倒な仕事を避け、時間から時間までという働き方を望むスタッフが増えている施設では、利用者の満足度は下がってしまうでしょう。
そして、こみちの勤務先にも言えるのですが、近隣に似た機能を謳う施設が立ち、段々と評価されない施設には利用者が集まりません。
そして、スタッフへの待遇改善も困難になれば、負のスパイラルが始まり、施設運営は満足度向上の前に倒産回避の運営になるでしょう。
なぜ、大量の介護士や看護師が短期間で離職してしまうのでしょうか。
そこに目を向けることは、決して介護施設特有の話ではなく、経営者なら当然のことだったりします。
例えば、自身の生活費を稼ぐためだったとしても、入職して介護士として働き、その中でやりがいを見つけてさらに仕事に誇りを持てたら幸せな毎日です。
しかし、介護施設には何段階か「壁」があって、例えば直近の先輩次第で介護の仕事が決まってしまうこともあります。
こみちの場合、その点では恵まれていました。
今は異動されてしまいましたが、当時の先輩がとても面倒見が良くて、介護の基本的な仕事を面倒に思わず教えてくれたからです。
その後、こみちも仕事を後輩に伝えることがありますが、「メモを取らない」「自分からは練習しない」という人もいて、その内に「家庭の事情」を理由に退職された方もいます。
職種によって合う合わないがあると思いますが、それでも今までの経験を踏まえて自身が仕事を学ぶための方法があるはずです。
でも、意外なほど、受け身の人が多く、そして「介護の仕事は大変」となってしまうことに残念を感じます。
介護の仕事は「0か100」?
お茶を提供する時、乱暴にコップを差し出せば、利用者は嬉しい気持ちにはなりません。
ではどう出せばいいのか。
レストランのウエイトレスとして勤務していれば、その答えがすぐに思いつきます。
レクリエーションで利用者を前に何かする時、芸人のように「持ちネタ」があると与えられた時間も苦になりません。
不安そうな利用者にどう寄り添いべきかも同じことで、カウセリングとかコーディネーター、営業マンの経験を持っていたら、その答えに早く辿り着くでしょう。
つまり、介護士に求められるスキルは多岐に渡り、何かの専門家というよりも万能で器用な人でなければ務まりません。
例えば、事務的作業と考えて、スピードに価値を求める介護士もいますが、利用者の立場になって嬉しいとは思わないし、こみちならその応対に切なくもなります。
でも、モノのように扱わない欲しいと言えるでしょうか。
少なくとも、笑顔もない利用者を見かけると、そんな気持ちになっていないかと気になります。
というのも、これまで担当させてもらった利用者に笑顔を見せてもらいました。
毎回ということではありませんが、どうすれば「心地よい」と感じてくれるのかを常に気にしながら働いています。
それだけに介護士の仕事は、精神的にも肉体的にも疲労半端なく、現状だけで判断するなら労働に報酬が見合っているとは思えません。
現実的な話をするなら、施設で常勤スタッフ(週に5日以上勤務するスタッフ)を多く抱えるよりも、ある一定のスキルを持つパートスタッフ(例えば朝だけ。夜勤だけ。お風呂だけ)の雇用を作り、隙間時間でも働ける労働環境に移行できないかと思うのです。
そして、その全体管理を30代の若い常勤スタッフが担い、彼らの処遇を大幅に改善することで、介護士の年収を異業種並みに向上させるのです。
もちろん、それだけに彼ら中核となるスタッフには、幅広い知識や経験を課し、でも承認されることで将来の約束し、介護業界で長く働こうと思ってもらいたいのです。
実作業面の資格として「介護福祉士」があるなら、管理者としての資格として例えば「介護管理者」のような制度を作ることで、ケアプランと現場の乖離を解消します。
そして、介護施設に「格付け」を導入し、ホームページやパンフレットにもその格付けを集客の訴求に利用させます。
判定基準はケアプランの達成率で決定します。
介護福祉士の人数やスタッフの多い少ないという見かけのスペックではなく、実作業での判断によって評価されます。
施設自身の自己評価と、公的機関、もちろん利用者やその家族からの評価も交えます。
特に、その評価が施設の格付けに繋がり、そして働くスタッフの報酬にも反映していることをスタッフにも承知してもらうのがポイントでしょう。
どんな対応を求められているのかを個々のスタッフが理解し、その達成によって昇給もあれば、より高待遇にも繋がることで、労働意欲も高まります。
始めるだけなら…
介護士として働くためには初任者研修のみでも十分でしょう。
しかし、介護管理者のような立場になるには「介護福祉士」の資格を必須とするべきで、ケアプランのような立案作業にも慣れる必要があります。
「エキスパート」というような位置付けで、介護の現場業務の他、コスト管理や経理のことまで理解した人をケアマネとは別の位置付けで採用してもいいはずです。
そのように入職してから自身がどのようなスタッフとして進んで行くのかが理解できると、頑張れば報酬にも繋がり、初任者研修のみでは現状のままとほぼ変わらないという仕組みにして、スタッフの意欲を引き出す工夫が不可欠でしょう。
例えば勤続10年の間に、10から20くらいの課題を作り、それができることでスタッフも格付けされていくという制度を創設し、未経験で時給900円からスタートして、MAXで4倍の3600円まで狙えたら希望者も随分と違うでしょう。
特に一定の水準からは部下を抱え、チーム編成にして、個人スキルだけでは達成できない仕組みも必要にします。
MAX時給3600円の介護士とは?
売上額から言えば、異業種なら利益で200万円以上を出せたら十分に捻出できる時給でしょう。
ただ介護の仕事では、売上という概念はあまり馴染みがなく、それだけに走ってしまうのも想定と異なる結果を生みそうです。
そこで結論として、MAXのランクになる条件の一つとして、管理者レベルの部下を数名抱えていることを含めます。
つまり、個人だけの頑張りでは到達できず、現場での仕事ぶりを部下からも支持される模範的な立場でなければいけません。
そのためには、部下をアゴで使うような上司ではなく、一緒に成長するという感覚を持っていなければいけません。
つまり、人望を得られることで、個人スキルの向上から始まる格付けも、後半を迎えて到達できるようにします。
存在感とか安心感のような人格者になることで、MAXの時給になれるとすれば、それぞれのスタッフみ今後何を身につけるべきか理解できるはずです。