第34回介護福祉士国家試験対策 「発達と老化の理解」を勉強する パート3

加齢と老化

高齢者介護を考える際に、加齢と老化についてもう少し掘り下げておきましょう。

加齢が年を重ねていくことだとするなら、老化は心身機能の低下を意味します。

また、老化を遺伝子に予め組み込まれたものと考える学説もあれば、生きることで蓄積された障がいがもたらすと考える学説もあります。

高齢者の場合、ホメオスタシス(恒常性)を保つことが苦手であり、肉体的精神的に必要なきっかけに応じる準備段階で以前よりも時間が掛かります。

人体の成り立ちを理解する

人体には約60兆個の細胞と液体物によって構成されています。

細胞の種類としては200から300種におよび、それらが集まり集合体になると組織化されてます。

人体には、上皮組織、支持組織、結合組織、液状組織、筋組織、神経組織の5つで構成されます。

一方で、器官としては、運動器系、循環器系、呼吸器系、消化器系、泌尿器系、生殖器系、内分泌系、脳神経系、感覚器系、皮膚器官があります。

器官系をさらに掘り下げる

運動器系とは、骨格系、筋系に分類され、運動動作に関わります。

人体にある約200個の骨が連結し、骨格になります。

骨中にある「骨髄」は、造血機能があります。

高齢者の場合、骨密度の低下から骨粗鬆症や、関節のすり減りによる関節炎、変形性膝関節症にも注意しなければいけません。

また、老化による影響として、円背(猫背)なども特徴です。

循環器系をさらに掘り下げる

循環器系とは、血管系、リンパ系に分類できます。

心臓と血管による血液循環を血管系が司るなら、生体防御、免疫機能を担うのがリンパ系になるのでしょう。

骨の中にある骨髄が造血機能の担うので、身体中に送る酸素が少なくなると倦怠感や疲労感が低下します。

リンパ液には白血球があり、異物を攻撃する免疫機能が発揮されます。

呼吸器系をさらに掘り下げる

呼吸器系の役割は、酸素を体内に取り入れ、二酸化炭素を排出する器官です。

肺内部にある肺胞では血液と組織間で酸素と二酸化炭素を交換します。

高齢者になると、血中の酸素濃度が低下することもあって、効率的なガス交換ができません。

そのため、息切れしやすくなります。

また、肺機能の低下は呼吸器系感染症も心配で、喉頭蓋反応も低下しやすく嚥下のむせこみ、誤嚥性肺炎などにも注意が必要です。

消化器系をさらに掘り下げる

消化器系とは、食料を摂取してエネルギーに変換する器官です。

腸壁の蠕動運動により消化された食物を排せつに向かわせますが、機能の低下のより便秘や下痢が起こりやすくなります。

肝機能も年齢とともに低下しやすく、薬剤の副作用も増加します。

泌尿器系をさらに掘り下げる

泌尿器系の役割は、体内に蓄積された老廃物を排除することです。

また、体内の水分、塩分、phなどの調節も担うので、機能低下により頻尿、多尿が高齢者に増える理由でしょう。

生殖器系をさらに掘り下げる

生殖器系は、子孫を残すためにある器官系です。

男性では、前立腺肥大による排尿の困難を招くことも注意しなければいけません。

内分泌系をさらに掘り下げる

内分泌系の役割は、ホルモンを分泌して、体内のホメオスタシス(恒常性)を維持させます。

具体的には、体温、血糖、免疫、血中カルシウムの4つを平衡します。

そして、高齢者の睡眠の特徴でもある浅い眠りは、内分泌である脳の松果体で分泌されるメラトニンの減少が影響しています。

脳神経系をさらに掘り下げる

脳神経系の役割は、身体のコントロールを司る器官です。

感覚器系をさらに掘り下げる

感覚器系の役割は、外部からの刺激を受けた時に脳神経系へと情報伝達することです。

身体の平衡感覚は内耳の三半規管によって保たれ、目を閉じていても感覚的に身体の位置や向きを感じ取れるのは深部感覚によるものです。

また、五感とは、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚を指します。

皮膚器官をさらに掘り下げる

身体の表面を覆う皮膚器官には、複数の役割があります。

外部からの刺激に対し身体を保護すること、発汗や皮脂からの分泌で新陳代謝による老廃物の排出、触覚や圧覚、痛覚、冷覚、温覚などの感覚機能も担います。

加齢により、発汗、皮脂分泌の機能低下、肌内部の水分量低下による痒み、シワ、たるみが現れます。

各器官系を掘り下げる目的と学習の指針

身体の機能を分類して、理解することができます。

ただ、医療系の資格者とは異なり、介護系の場合には苦手意識もあるでしょう。

資格試験でも、医療系の問題は簡単な基本問題が出される一方で、かなり踏み込んだ難問も出たりするので、まずは6割の正解率を目指した学習を意識し、さらに時間に余裕があればさらに踏み込んだ学習を目指してもいいでしょう。