ある利用者の入所が決まって

 介護業界の常識!?

まだ介護業界に携わったことがない人で、こみちのように「介護施設って何をするの?」と疑問に感じている人なら、「ケアプラン」という支援計画書を知ったとしても「なるほど!」とは思わないでしょう。

多くの人は、すでに「ケアプラン」というものを知っていると思いますが、あえて未経験の方に向けて簡単に説明したいと思います。

人は誰でも加齢や病気、事故などで今まで暮らしを維持することが難しくなってしまいます。

人によっては生命保険などを利用して万が一の助けに準備しているでしょう。

こみち自身が「介護施設って何するところ?」と思った原因にも通じるのですが、それこそ保険金でお金は貰えても、それを使ってどう困難となった生活をカバーできるのかと考えます。

特に高齢者になると認知症など、食べ物とそうでないものの区別がつかず、紙でも食べてしまうことがあります。

そんな状況になると、家族や「介護士」がその人の側にいて生活を始終見守る必要が出てきます。

その際に使われる支援の方法や内容を決めるのが「ケアプラン」の役目の1つです。

そんな風に考えると「ケアプラン」の内容がどれだけ大切なのか分かるでしょう。

ある計画者(ケアマネ)の人生経験が豊富で、表面的な問題を支える計画書ではなく、その人の性格やこだわりに合った計画書を作ったとしましょう。

一方で、ある計画者はどんな介護士でも支援できるケアしやすい計画書を立てました。

どちらの計画書がよりいいものかは、簡単に判断することはできません。

介護施設に何を求めるのか?

「少し利用料金は高くなりますが、ユニットケアなら手厚い介護サービスが期待できますよ!」そんな説明をある介護相談員が施設を探している高齢者やその家族に説明したとしましょう。

「手厚い介護を受けられるなら…」

こみちにすると、とても不適切で誤解を招く言葉を相談員が使っていると感じます。

ケアプランを立てる時もそうですが、単純に利用者やその周辺環境だけを調べて、計画を立てても実践できる介護施設が存在しなければ、予定された介護サービスは受けられません。

つまり、どれだけ地域の施設が柔軟で高度な介護サービスを備えているのか知らなければ、机上で計画書を作っても予定通りには成果が現れません。

場合によっては、入所を決めた利用者や家族から説明と異なるとして「民事訴訟」に発展することもあります。

なぜなら、もしも適切な説明を受けていれば、別の施設を選んだということもあるからです。

どのようなサービスが提供されているのかを、利用者に正しく伝えることも相談員の大切な役割です。

それはつまり、施設内のスキルアップをどう維持向上させるべきかにも発展し、介護士にとってはより今度な知識や技術を身につけて、労働単価にも反映されれば全体として上向き状態になります。

ところが、未熟な介護士が多く、勤務年数長くとも固執した介護しか知らない人ばかりでは、幅広い介護サービスを提供することはできません。

つまり、基本として「合理的な説明ができる最大限のサービス」をいかに提供できるかが介護施設に求められることでしょう。

魔法のような介護などありませんから、何でもできるような誤解を招く説明は避け、どのような支援によってどれくらいの回復が期待できるのかまで説明できる相談員がいなければ、選んでいい介護施設ではないでしょう。

相談員として知識が豊富なことは、相談員としての評価に過ぎず、利用する人からすればどうでもいいことです。

しかし、個人スキルを向上させることに比べて、施設全体を押し上げることは遥かに難しく、そこに取り組める施設運営者や相談員がいなければ、そもそも施設として選ぶべき施設ではないのです。

民事訴訟にも発展することも

信頼して預けた家族が、想像できない状況で、変わり果てた姿になってしまったら、利用者家族はどう感じるでしょうか。

当然ですが「施設で何があったのか?」と思うでしょう。

そんな時に施設から医学的な説明ばかりされたとしても、心理的に納得できるものではありません。

なぜなら、聞きたいのは医療的な症状ではなく、介護施設としてのサービスにあるからです。

「もう少し早い段階で状況を説明できなかったのか?」とも感じるでしょう。

事実、食事量が低下すると、数日から一週間も経過すると高齢者の様子は大きく変化します。

そこの判断を誤れば、利用者やその家族にすると想像していない結果になってしまうのです。

場合によっては「民事訴訟」「損害賠償」という法的話になることもあります。

しかしそれは、元を正せば、入所前の説明にあったとも言えるのです。

設備やスタッフ育成に力を注いでいない施設というのは、それだけリスクも増しているので、例えばこれから勤務する施設選びとしても注意しなければいけません。

介護士として施設で働く場合に施設見学をしますが、こみちも最初はどこを見て判断すれば良いのか分かりませんでした。

しかし難しい話ではなく、単純に「この施設に自分の両親を預けたいか?」と思って職場を観察してみましょう。

トイレが汚いとか、床が汚れている。

介護士が笑顔もなく、身なりも整っていないと感じたら、その施設で働く価値はありません。

介護だからという特別なことなど一切なく、異業種で経験した疑問や違和感が介護施設で感じるなら、それはその職場が気づかずに続けている悪習です。

今回のテーマ

正直なところ、ある利用者の入所が決まって、その説明があまりに我々の施設では対応が厳しいと感じるケースでした。

それでも巧みに説明をして入所させてしまう相談員の役割に甚だ嫌気をさしてしまいます。

施設のどこを見て、そんなサービスができると思ったのでしょうか。

確かに粗末な事情を説明するのは相談員として言いにくいことも分かります。

しかし、それを踏まえて口先を巧みにするのではなく、施設全体の向上に何が足りないかを考えるべきなのです。

人件費削減なのか、辞職願いが続くのか、ここ数ヶ月で人員の配分がまた削られました。

しかもスタッフの平均年齢は上がり、多くの仕事を手際よくこなすことができません。

当然ですが、抜けや取りこぼしが増えて、ギリギリの運営が続いています。

そんな中での「何でもできます」的な入所なので、ある意味でこみちとしてはそれだけ経営が圧迫されていると感じます。

その先には施設閉鎖や経営権の譲渡だってあり得るでしょう。