「介護士」という仕事を深掘りしてみたら!?

 中高年の人が「介護士」を選ぶ背景

20代や30代ではなく、40代以降の方が介護士を仕事として選ぶ背景には、年齢不問の採用されやすさばかりではありません。

実際、今の60代は我々中高年と変わりませんし、むしろアクティブな人が目立ちます。

感覚としては70代の前半、人によっては中後半なっても人生を楽しんでいる人を見かけます。

一方で高齢者になると老化現象も増えてきます。

特に、男性の場合には出不精になったり、頑固さが現れる人も増えたりします。

病いや特別な状況にない限り、老化現象によって顕著に老いていく時にはパターンがあって、活動量が減ってくると認知も進行するように思います。

その意味では家族でもいいのですが、できるだけいろんな立場の人と短時間で良いので接することができる環境をできるだけ維持することが健康的に暮らせるポイントでしょう。

つまり、男性の場合には女性と比べて活動量が一気に低下しやすいので、「長く続けられる仕事」を早目に見つけておくことも大切です。

介護士という仕事は本当に様々な関わり方ができる仕事で、中高年のうちに基本的な作業を習得していれば、週に一度でも社会とつながるきっかけができます。

男性の場合、定年後は年金でのんびりと考える人もいるでしょう。

本音を言えば、投資などの方が効率的に稼げるのも事実です。

しかし注意したいのは社会との関わりが減ってしまうと、人は段々と決まったことはできても、イレギュラーなことを避けるようになり、気づけば五年前、十年前と比べて暮らし方がワンパターン化してしまう傾向があります。

一度、生活が変わってしまった後で、例えば社会的な交流を始めることができる人は男性よりも女性の方が得意で、体操教室や趣味の集まりなどを見つけて参加できるのも女性の方が多いようです。

中高年を迎えたこみち世代の特に男性は、「仕事」を持ち続けることを考えて、60歳を迎えたいものです。

中高年で介護士になって分かること

過去におじいちゃんやおばあちゃんと暮らしたことがある人なら想像できると思いますが、高齢者と言っても何か人間的に変化することはありません。

老化現象によって、歩くことが困難になれば、趣味だったゴルフに行く回数が減り、場合によっては散歩だけとか、公園のベンチまで行ってそこで日向ぼっこするというように身体のコンディションに合わせて、生活が変化するだけのことです。

事実、介護施設を利用している高齢者の多くが、施設の利用料金や家族の負担を理解して、施設で暮らしていたりします。

つまり、施設が過ごしやすいとか、料理が美味しいとか、介護士が親切で優しいとか口にするのも、自身がどうして施設に身を寄せているのかを理解した上でのことなのです。

当たり前ですが、施設で暮らすよりも自宅で暮らしたいのが本音で、でもそうすることが困難なことも分かった上で施設を使っています。

さらに言えば、老化現象が進めば、そんなことを考えることも減り、目の前の暮らしに追われるようになるのかもしれません。

そして、あるタイミングで食事を摂ることにも苦労したり、身体が拒否反応を示したりして、数日から一ヶ月くらいベッド上で寝たきりの状態が続きます。

その後は、「お迎え」を待って天命を全うすることになるのです。

80代以降になると、そのお迎えが訪れるタイミングも予測不可能で、「最近笑顔が少ないね」と感じていた利用者が、急に寝たきりになることも珍しくありません。

「人生とは何か?」

小難しい哲学としてではなく、介護施設で見る人の最期は概ね同じような過程を経ていると感じます。

つまり、中高年になった我々にとっては、これから迎える「老後」をどう過ごすべきかを問われているので、例えば100億円稼いだけれど健康も失ったのでは本末転倒なことも理解できるでしょう。

コロナ禍ではありますが、若い頃に訪ねた海外の地をもう一度見てみたいのなら、それが叶うような人生プランを今からしっかりと計画するべきです。

同様に、欲しい車や会っておきたい人など、老後になって難しくなるであろうことを前倒しして考えるのもこの時期の大切な課題です。

中高年で介護士を選ぶメリット

自身の老後を考える意味で、介護士の仕事はおすすめです。

しかし、現段階での介護士を取り巻く環境は、異業種と比べて充実しているとは思えません。

なぜなら、介護士が扱いのは、生活が困難になった人の「大変な部分」を支えることだからです。

トイレに行くことも、10分おきに繰り返せば、若い人でも大変でしょう。

しかも、高齢者になると立ち上がるのも大変ですし、時間も掛かります。

転倒予防を考えると、万が一に備えて支えなければいけません。

つまり、介護士という現場仕事を選んだら、大変な作業しかありません。

もしも効率的に作業したいと思うなら、介護士を辞めるべきです。

しかしながら、実際の施設ではいろんな介護士がいて、トイレに行く回数やサービスを提供する時刻を事務的に管理したがる人もいます。

理由は簡単で、四六時中利用者に合わせてしまうと体力に自信があっても介護士の身が持たないからです。

中高年の課題でもある「継続できること」が、介護士にも求められます。

つまり、体力的に配慮したい人がいる理由は、このまま利用者に合わせてしまうと肉体的にも精神的にも壊れてしまうと感じるからです。

そこで、施設側による環境改善や人員の増加など、継続可能な環境を工夫しなければいけません。

こみちの個人的な考えとしては、体力も知識も充実した30代が主体となって施設を動かし、そのサポートを20代や中高年の我々が支えるくらいが理想です。

当然、メインとなる30代の介護士により高額な報酬を支払い、それを目指した20代にも手厚いサポートをするべきでしょう。

一方で、業界で長く働いてきたベテランの年配介護士は得意な分野で活躍を願い、我々のように中高年から未経験で参入した方は、基本作業を習得し、そこからさらに自身の経験や個性をいかに介護現場で反映できるか試行錯誤できるといいはずです。

本来ならプロの歌手でもなければ、歌を歌って稼ぐことはできませんが、介護士なら利用者と一緒にカラオケをすることも仕事になります。

同様に、オヤツを作ったり、スポーツや楽器演奏なども仕事にできるのも介護士という仕事の面白い部分です。

生活に関わることなら、アイデア次第でどんなことも活かせるので、中高年から未経験で参入した場合でも、多趣味な人や何か特技を持つ人なら馴染みやすいでしょう。