ターミナルケアとは?
病気だけでなく老衰などでも、その人の寿命に限りがあるとことを知ります。
その様な場合に、今までの生活を続けることが望まれるとは限りません。
というのも、実際の介護現場ではターミナルケアが必要な時期になると、寝起きさえ億劫になり、始終寝て過ごしたいと訴える利用者も少なくないからです。
しかし、食事から栄養を摂取するので、口から食べる行為を無くしてしまうと、体力の低下が顕著になります。
また、利用者の中には口周りの機能に異変が無くても、自らの意思で食べ物を拒絶するような態度も見受けられます。
その様な場面で、介護士が介助に入る場合にどれだけ飲食を強要するのはセンシティブな問題です。
介護士としての経験を踏まえても、食事量の低下と寿命末期の期間とは密接な関係があり、食事量の低下した原因を早急に究明することはとても有益です。
ターミナルケア開始の手続き
明らかに寿命末期の様子が見られる場合に、これまでのケアを中止して、ターミナルケアに切り替えることは現実的です。
一方で、現実的な話をするなら、そもそも食事量が低下した理由と探ると、精神的な意味での生きる意欲を失うような機会があれば、それをきっかけに高齢者の健康状態が変化することがあります。
介護士が日常的に食事介助するようになり、その度にスキルの異なる介護士によって行われる介助によって、利用者の食事が段々と減ってしまうことも起こり得ます。
特に、久しぶりに会った時に、以前とは表情が変わってしまっているという経験も多く、それだけ日々の介護によって利用者の健康維持は気づかないうちに変化し始めます。
最近のケースを例にするなら、ターミナルケアの開始によって以前までは行われていた服薬がなくなりました。
薬を飲むことで受ける肉体的な負担を緩和させるためでしょうか。
しかしながら、今回のケースでは食事に対する意欲が減ってはいるものの、介助者によっては十分に食事を行う意欲を見せる段階で、これまで見てきてような完全なる拒絶反応とは異なります。
ただ、このまま継続的にターミナルケアが続ければ、当然ですが遅かれ早かれ体力の低下が起こり、食事量も同様に減少するでしょう。
つまり、何を持ってターミナルケアを開始するのかというのはとても重要で、一般的な介護士では十分に食事を提供できない段階となるのか、それとも本人を含む家族による判断なのか考えるとなかなか難しいところです。
ただ、なぜにそれほどまでに急いでターミナルケアが開始されたのか、一介護士の立場からでは察しがつきません。
ターミナルケアが必要になった利用者の看取り
施設によっては利用者の最期を迎えることができない場合もあります。
看取りとは、このままでは疑いなく「最期」を迎えることになる状況です。
「終の住処」と言われる特養でさえ、「看取り」を対応するサービスに挙げるほどで、裏を返せば全ての特養で対応しているとは言えないことになります。
その様な場合には、ある時期で施設を出て、本人や家族の意向に合わせて病院や自宅へと移されます。
また、看取りに対応している施設でも、急変時の対応を主とした意図だったり、見込まれる段階から最期までを担うとは限りません。
さらには、コロナ禍の状況で施設による対応の場合には、危篤時の連絡も適切に繋がるとは限らないため、家族が間に合わないことも十分に起こり得ます。
どこで最期を迎えるかは家族にとっても重要ですが、やはり多くの利用者が自宅に帰りたいと言っていることが多いのも事実です。
経験的な話を加えるなら、自宅に帰ることを望まない利用者は皆無で、むしろ自身が自宅に戻って家族に迷惑を掛けることを避けているに過ぎない様に感じます。
しかしながら、介護士として「自宅を望まれていますよ」とは言い難い状況もあり、利用者本人が明言しない限りは家族の問題として伝えないことも珍しくありません。
なぜなら、ターミナルケア開始を促されて、自宅での看取りを検討したとしても、その後引き取ったケースは極めて少ないからです。
事実、多くの利用者が施設で暮らす現実を理解されていて、「帰りたい」とは言いません。
それは何も自宅より施設がいいからではないことくらい介護士なら理解できるでしょう。
それだけ利用者本人はターミナルケアを迎える時期が来ても、家族に気を使いながら最期を迎えることが多いという話です。